社内初のGCPを採用したプロジェクトでリードを務める
現在、田畑氏がリードとして携わっているのが、GCPを使ったアクセスログの集約・分析用基盤の構築プロジェクト。「実は当社がGCPを使ってデータ基盤を構築するのは、初めてのことでした。かなりチャレンジングなプロジェクトですが、良い経験になりました」
ゼロから基盤を構築するため、要件定義から設計、構築、テストという開発の一連の流れを経験できただけではない。KDDIが取り扱っているデータは個人情報などが含まれるため、高いセキュリティ要件が求められる。田畑氏はGoogleが実装したゼロトラストモデル「BeyondCorp」やGoogle Cloud リソースを安全に運用するマネージドネットワーク機能「VPC Service Controls」などのGoogle Cloudが提供する最新のセキュリティ関連サービスを活用して、その高いセキュリティ要件を満たしていくことに挑戦したという。
また、データ基盤を構築するプロセスでは、これまでのWebアプリケーション開発で学んできたTerraformを使ったIaC(Infrastructure as Code)化や、開発効率の向上のためのCI/CDの導入などの技術を横展開ができたことも良い経験になったという。
このほかにも「Webエンジニアの経験が生きている」と感じることがあった。例えばTerraformやApache Airflowなど、コードで管理するツールを活用していることから、Webアプリケーション開発時代に学んだ可読性やメンテナンス性の高いコードを書くというスキルが生きている。
活用する技術は異なるが、データアーキテクトへの転身については特にとまどいはなかったという。新しい技術を学ぶという意味では、Webエンジニアと変わりがないからだ。動画教材を使って技術の概要をざっくりと把握した上で、実際に使ってみるというのが、田畑氏の勉強法。以前から動画学習の教材としてUdemyを活用していた田畑氏。ARISE analyticsではUdemyの法人向けプラン「Udemy Business」を導入し、動画教材が自由に受講できるようになっており、スキルアップに非常に役立っているという。
「もちろん、わからないことが出てくれば公式ドキュメントで調べたり、書籍を読んだり資格の勉強をしたりなどを並行して行います。こうすると効率よくキャッチアップできると思います」
ワーキンググループ活動やギルド活動は向上心の表れ
キャッチアップがうまくいったのは、田畑氏の向学心もさることながら、周囲に頼れるメンバーがいることも大きかった。田畑氏は「困った時に助けを求めたら必ず答えをもってるような頼れる方もいるので、不安なく仕事ができます」と笑みを浮かべる。そんな向学心溢れる田畑氏がそう語るぐらい優秀な人の多いARISE analytics。ワーキンググループ活動とギルド活動という2種類の活動が積極的に行われていることも、それを証明している。
ワーキンググループ活動には、組織力を向上させる目的があり、ギルド活動には、個人のスキルを向上させる目的がある。田畑氏はいずれの活動にも積極的に参加。
例えば、田畑氏が参加しているオンボーディングワーキンググループでは、新入社員や新規着任者のオンボーディングに関わる工数およびそれに関わる上司の負担を減らすことを目的とした活動を行っている。「例えばPySparkやAWS、シェルスクリプトなど、ARISE analyticsで一般的に使っている技術をスムーズにキャッチアップするための学習教材を作成しています。PySparkの教材はリリースから約1年経つのですが、累計80人ぐらいに使ってもらっています」
一方のギルド活動は、モバイルアプリギルドとDevOpsギルドに参加している。業務で忙しいながらも、2つのギルドに所属する理由をたずねると、「普段、業務では使わない技術に触れる機会になること。そしてもう一つはプロジェクト外で同じようなキャリアのイメージを持っている人と、関わることができること」と明かす。
モバイルアプリギルドでは、Flutterを活用したアプリ開発を行っているという。一方のDevOpsギルドは、DevOpsにまつわるスキルやツールの使い方を学ぶ活動である。いずれの活動も個人のスキル向上が目的だが、「組織への貢献も期待されている」と田畑氏は言う。
例えば前者のモバイルアプリギルドで作っているアプリは社内向けにリリースし、社員それぞれが持つスキルや経験などのプロフィール可視化に活用される予定となっている。後者のDevOpsギルドでは監視ツールのDatadogを容易に導入できるIaCツールや、最近ではChatOpsを用いて開発や運用をスムーズにできるようなプログラムを作成している。そしてDevOpsギルドで学んだ知識を実際のプロジェクトにも適用しているという。
お客さまに寄り添い最適なデータ基盤を提供できるアーキテクトに
田畑氏はARISE analyticsでどんなキャリアを目指していくのか。
「データを活用する大事さは分かってはいても、データを活用する文化が根付いている企業は、まだそれほど多くないと思います。そんな環境の中で私たちの業務はお客さまの課題を、データを使ってどう解決するかを考えていくこと。そういうデータ活用の勘所をお客さまに提示して課題解決に導くお手伝いができるのは、ARISE analyticsならではです。
目指すのはお客さまに寄り添いながら最適なデータ基盤を提供できるようなアーキテクトになること。そのためには、まずは今任されているプロジェクトでお客さまに貢献すること。そしてまだ経験したことのない技術を触れるためにも、さまざまなプロジェクトに関わり幅広い経験を積んでいきたいですね」