SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

ますます便利になるPHPの新機能を探ろう!

1年ぶりにリリースしたPHP 8.2──気になる新機能は? 型やクラス定義の強化ポイントも解説

ますます便利になるPHPの新機能を探ろう! 第1回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

読み出し専用のプロパティとクラス

 PHP 8.1以降では、プロパティとクラスを読み出し専用とする機能もサポートされました。

readonlyアクセス修飾子[PHP 8.1]

 readonlyアクセス修飾子は、PHP 8.1でサポートされました。readonlyアクセス修飾子の指定されたプロパティは初期化のみが可能で、その後は読み出しのみが許可されます。privateアクセス修飾子やprotectedアクセス修飾子によってプロパティを隠し、ゲッタメソッドを使うという手間なしに、読み出しのみができるプロパティを定義できます。

 以下のリストは、読み出し専用プロパティの例です。インスタンス生成後、valueプロパティに値を代入しようとすると「Cannot modify readonly property」のエラーとなります。

リスト readonly.php
class ReadOnlyProp {
    public function __construct(public readonly int $value) {}
}

$rof = new ReadOnlyProp(10);
$rof->value = 20;   // Cannot modify readonly propertyエラーとなる

readonlyクラス[PHP 8.2]

 readonlyアクセス修飾子によって、プロパティを読み出し専用にすることができました。PHP 8.2でサポートされたreadonlyクラスは、同じくreadonlyアクセス修飾子によって、特定のプロパティに限らずクラス全体を読み出し専用とするものです。オブジェクトの初期化に関わる代入以外は、初期化済みのフィールドの変更や動的プロパティの追加もできません。また、静的プロパティや型宣言のないプロパティをreadonlyにはできませんし、readonlyクラスに含めることもできません。

 以下のリストは、読み出し専用クラスの例です。インスタンス生成後、valueプロパティに値を代入しようとすると「Cannot modify readonly property」のエラーとなり、存在しないpropプロパティに値を代入しようとすると「Cannot create dynamic property」のエラーとなります。

リスト readonly.php
readonly class ReadOnlyClass {
    public function __construct(public int $value) {}
}

$roc = new ReadOnlyClass(100);
$roc->value = 200;  // Cannot modify readonly propertyエラーとなる
$roc->prop = 300;   // Cannot create dynamic propertyエラーとなる

 なお、読み出し専用クラスを継承できるのは読み出し専用クラスのみという制約があります。読み出し専用クラスを継承するには、子クラスも読み出し専用とする必要があります。また、読み出し専用でない普通のクラスを読み出し専用クラスに継承することはできません。

finalクラス定数[PHP 8.1]

 readonlyアクセス修飾子に関連した機能に、PHP 8.1で利用可能になったクラス定数へのfinal修飾子があります。これにより、継承されたクラスで変更できない定数を定義できるようになりました。これまで利用可能であったfinalクラス、finalメソッドに加えて、finalクラス定数も利用できるようになります。

 ただし、プロパティにはfinal修飾子は指定できないため、変更できないプロパティが必要なときは、上記のreadonlyアクセス修飾子を指定するという方法があります。readonlyアクセス修飾子を指定されたプロパティは、サブクラスからも上書きできなくなります。

まとめ

 今回は、PHP 8.2における新機能のうち、選言的標準形や列挙型に関連する機能を中心に紹介しました。

 次回は、callable(コールバック)に関連する機能強化と、標準関数についての強化や変更などについて紹介します。

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ますます便利になるPHPの新機能を探ろう!連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

WINGSプロジェクト 山内 直(WINGSプロジェクト ヤマウチ ナオ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介> WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。出版社を経てフリーランスとして独立。ライター、エディター、デベロッパー、講師業に従事。屋号は「たまデジ。」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/17290 2023/02/21 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング