「キャリアの悩み」と「キャリア」について
一般社団法人 Japan Node.js Associationの代表理事や、株式会社リクルート グループマネージャ、株式会社ニジボックス デベロップメント室室長などを務め、Google Chrome Advisory Boardや数社での技術顧問などの活動など、多彩な活動を行っている古川陽介氏。一見、キャリアの悩みなんてなさそうな肩書揃いだが、本人は「キャリアの悩みがなくなることなんて無い。肩書は単なる仕事上のラベルや役割に過ぎず、肩書とキャリアの悩みとは無関係だ」と語る。
そもそもキャリアとはなんだろう。辞書などでは「仕事の経歴」を指すことが多いが、古川氏は「チャレンジしてきたことを指すのではないか」と語る。つまり、「今後のキャリア」とは「今後のチャレンジ」と同義語というわけだ。
多くの場合、「キャリアの悩み」は「このままでいいのかな」という悩みであり、消えることはない永続的なものだ。何か挑戦を決めた時に悩みは消えるものの、すぐに復活していく。だから「挑戦している人」を見ると焦るのは、「一時的に幸せそうに見えるため」ではないかという。
新しいチャレンジをして、それがうまくいっている最初の頃は悩みがないことが多い。しかし、停滞しだすと悩みだし、落ち込み、新しいチャレンジ先を見つけ出すという繰り返しだ。それでもうまく行っている状態が続けばいいが、一定時間ですぐに消えてしまい、チャレンジはそうそううまくいくことはなく、失敗するほうが多い。失敗したり、試行錯誤したりしている間も悩むことを考えると、ほとんどの時間をキャリアの悩みとともに過ごすことになる。
「悩んでいない時なんて一瞬しかないし、基本的にはずっと悩んでいる。みんなが挑戦したい、うまくいきたいと思ってる。たとえすごい肩書を持っていてキラキラしている人でも、みんな悩んでいるといっても過言ではない」と古川氏は語る。
つまり、キャリアの悩みはずっとついてまわるものであり、キャリアの悩みを解消するのは無理なもの。それならば、うまく折り合いをつけながら、「悩もう」と思うことが大切というわけだ。
しかし、古川氏は「だからこそ、『ここでだったら悩んでもいいや』と思える環境を見つけて欲しい」と語る。たとえば、「会社のビジョン」に共感している、一緒に働いているメンバーをリスペクトしている、まだチャレンジしたいことがあるといった環境ならば、悩む価値もあるだろう。
逆に「悩むのに適切ではない環境」と感じるのなら、転職など環境を変えるのも"あり"だ。ビジョンに共感できない、不毛な人間関係で悩み続ける、もうやりたいことがない……などはその指標になる。