TFSで行うチーム開発、プロジェクトマネジメント
Visual Studio 2005 Team Systemを使ってみよう-第6回
チームビルド
チームビルドとはTFSのソースコード管理にある最新のソースコードファイルを任意のタイミングで実行する機能です。これだけですと、以前までのビルドと変わらない印象を受けますが、チームビルドでは更にVSTDの機能であるコード分析やVSTTの機能である単体テストを同時に行うことができます(ここで、VSTTの単体テストとしたのは、チームビルド内で利用されるテストケースは、VSTTにあるテストマネージャで編集されたテストリストを利用する必要があるからです)。さらにビルドが失敗した場合には作業項目の「バグ」が自動生成されます。これらを利用すると夜間にチームビルドを実行しておき、朝に結果を確認して作業に取り掛かるといったことも可能になります。
チームビルドの結果は過去のものも含めて一覧表示されますが、選択すると詳細なビルドレポートを表示することができます。
ビルドレポートには4つのカテゴリがあり、それぞれ次のような情報を持っています。
- 概要
- ビルド名やビルドの開始・完了日時やビルドコンピュータ等のチームビルドの概要が表示される
- ビルドステップ
- 中断された作業があった場合の状態やビルドの合否が表示される
- 結果の詳細
- エラーや警告、実行された単体テスト、コードカバレッジの結果を表示する
- 関連付けられた変更セット
- ビルドに関連付けられたチェックインのIDやチェックインしたユーザー名などが表示される
- 関連付けられた作業項目
- ビルドに関連付けられた作業項目のタイトルや作業項目に関連付けられたチェックインなどを表示する
チームビルドはウィザードを使用して容易に作成できますのでうまく活用できれば大きな戦力になると思われます。なお、単体テストやコード分析を設定して実行する際には、ビルドを行うマシンにそれを実行可能なクライアント製品がインストールされている必要があるので注意してください。
レポート
レポートは主に作業項目に入力された値から図表を自動生成して表示する機能で、プロジェクトの状況を視覚的に把握したり分析したりできます。レポートはMSF Agileでは20種類、CMMIでは19種類のレポートが提供されています。すべては紹介できませんが一部を取り上げて紹介します。
- バグ率
- 日ごとにアクティブなバグの累計、新規および再アクティブ済みのバグ数、解決済みのバグ数を折れ線グラフで表示する
- バグ
- 発生したバグの数を作業項目の「バグ」の優先度(1、2、3、unknown)に分類し、日ごとにそれらの状態(アクティブか、解決済みか等)がどう遷移したのかを棒グラフで表示
- 関連作業項目
- 関連付けられている作業項目のタイトルや状態、担当者などをツリー形式で表示する。
- 残存作業
- プロジェクト内の作業項目の状態(アクティブ、解決済み、終了など)を日ごとに折れ線グラフで表示する。このことにより残存作業がどのくらいあるか、どんな傾向で遷移しているか、いつ終わりそうかなどを推測することができる。
レポートはVSTSのクライアント製品からチームエクスプローラを使用して参照できますが、レポートサイトにアクセスしてブラウザでも見ることができます。またcsvなど他の形式で出力する事もできるので、例えば紙に出力しての進捗会議で活用するなど、都合に合ったやり方で現状を把握できます。
まとめ
TFSの機能について簡単に説明してきましたがTFSは現場の作業者だけでなく、プロジェクトリーダーなど進捗の管理者にも役立ち、プロジェクト全体をサポートできることがお分かりいただけたかと思います。もし今のTFSの機能で用途に合わない部分(例えば作業項目に入力したい項目が用意されていないなど)があれば、それらはカスタマイズによって実現可能になる可能性があります。今回紹介した4つの機能はすべてカスタマイズ可能な部分があります。場合によってはカスタマイズをすることでより使いやすいツールに変貌するかもしれません。いずれにしても本稿がTFS導入検討のご参考になれば幸いです。
この回にてVisual Studio 2005 Team Systemの全体像を知る(全6回)の連載は終了です。第1回のときに紹介した次の図7に含まれるほとんどの機能の概要を解説してきました。
一口にVSTSと言っても数多くの製品、数多くの機能が存在し、実にさまざまなことができる(またはできそうだ)ということがおわかりいただけたのではないかと思います。このシリーズでは機能紹介がメインでしたが、また別のシリーズにてそれぞれの機能の具体的な利用方法や利用シーンについて解説していく予定ですのでご期待ください。
参考資料
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山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)
静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるLaravel実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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WINGSプロジェクト りばてぃ/FUJIKO/ナオキ(リバティ, フジコ, ナオキ)
<WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。 2026年時点での登録メンバは約50名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書、記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook
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