はじめに
構成情報の維持および配布を目的とする構成システムは、あらゆるエンタープライズソフトウェアシステムの基幹的コンポーネントです。サーバーが数台しかない小規模の企業では、レジストリ項目と個々の構成ファイルから成る非常に単純な構成管理ソリューションで済みます。しかし、組織の規模が拡大して複雑さが増し、物理的に複数の場所で多くのコンピュータを稼動させるようになると、関連するソフトウェアコンポーネントを正しく構成することは重大な課題になります。本稿では、構成情報の保管に利用できるさまざまなストレージ戦略を説明し、簡単に実装できる構成システムを提案します。
まず、大企業のサーバーとソフトウェアコンポーネントの構成プロパティを管理する便利なシステムに必要な属性を考えてみましょう。このようなシステムの主な特性を優先順位の高い順に示すと、次のようになります。
- ストレージおよび管理の中央集中化
- 設定のローカライズ化
- 信頼性
- スケーラビリティ
ストレージと配布戦略
これまで、ソフトウェア構成情報を保管する主要な方法は、(1)レジストリ、(2).configファイルと.iniファイル、(3)中央集中データベース、および(4)カスタムテキストまたはXMLファイルの4つでした。これらの戦略はそれぞれに長所がありますが(変更の容易さ、ツールの可用性、取得の速さなど)、エンタープライズソフトウェア環境の規模が拡大して複雑さが増すにつれて、それぞれ問題が出てきました(表1を参照)。
ストレージ | 長所 | 短所 |
レジストリ | ローカルストレージ、読み取りが速い、ネットワーク障害やデータベース障害に強い | サーバー数が多いと維持が非常に面倒になる可能性がある |
構成ファイル | ローカルストレージ、読み取りが速い、ネットワーク障害やデータベース障害に強い | ツール不足のために維持が非常に難しい |
中央集中データベース | 中央での一括管理 | 読み取りが遅い、サーバー数の増加に対応しにくい |
カスタムファイル | ローカルストレージ、読み取りが速い、ネットワーク障害やデータベース障害に強い | ツール不足のために維持が非常に難しい |
構成システムを構築する
これから説明する構成システムには2つの目標があります。1つは中央構成ストレージ、もう1つはエンタープライズレベルでの構成プロパティの配布です。