英Scott Logicは、2023年におけるWebAssemblyの現状を明らかにすることを目的とした調査「The State of WebAssembly 2023」の結果を、10月18日(現地時間)に発表した。
調査結果によれば、WebAssemblyを利用するアプリケーションを開発する際に、もっとも多く用いられるプログラミング言語は3年連続で「Rust」となり、「JavaScript」がそれに続いている。
WebAssemblyでのアプリケーション開発で、将来どのプログラミング言語を使用したいかを尋ねた質問でも、「Rust」が最多となり、「JavaScript」がそれに続いた。
どのランタイムについて聞いたことがあるか、または使ったことがあるかを尋ねたところ、Bytecode Allianceの「wasmtime」を挙げる回答がもっとも多く、「wasmer」が2位となっている。
現在、WebAssemblyを何に使用しているかを尋ねた質問では、「Webアプリケーションの開発」が依然として最多ではあるものの、2位の「プラグイン開発」との差がわずかに縮まった。
所属先の組織における、WebAssemblyの導入状況を尋ねたところ、回答者の41%が実稼働環境でWebAssemblyを使用しており、28%が試験的に使用しているか、2024年中には使用する予定であることが明らかになっている。
WebAssemblyのさらなる導入を促進するには、何が必要かを尋ねた質問では、WASI(WebAssembly System Interface)によるブラウザ以外との統合の改善を挙げる回答がもっとも多かった。また、「デバッグサポートの向上」が2位にランクインしている。
WebAssemblyにもっとも望む機能としては、「スレッド」「コンポーネントモデル」「ガベージコレクション」が上位を占めた。
一方、WASIにもっとも望む機能としては、「ファイルシステム」「HTTP」「ソケット」といったI/O関連が上位となっている。
WebAssemblyとWASIの進化に、どの程度満足しているかを尋ねたところ、「満足している」(「とても満足している」+「満足している」)という回答の割合は、WebAssemblyが半数弱、WASIに至っては2割強程度に留まった。
そのほか、WebAssemblyにもっとも興奮していることを尋ねた質問では、以下のような回答が寄せられている。
- 移植性と、さまざまなプラットフォームでコードを実行できる機能
- 異なる言語とWeb間の相互運用性
- ネイティブのパフォーマンスと効率性
- 既存のコードとライブラリへのアクセス
- 新しい言語とツールの可能性
- セキュリティとサンドボックス機能
- コンテナを置き換えてブラウザで複雑なスタックを実行する機能
- ユニバーサルバイナリフォーマットの可能性
- 一度書けばどこでも実行できる
- パフォーマンスと速度の向上
- コンポーネントモデルとコードを再利用する機能
- JavaScriptへの依存の削減または排除
- 言語選択の柔軟性と選択肢の増加
- プラグインシステムの可能性
- ブラウザで複雑なアプリケーションを実行できる可能性
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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