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Women Developers Summit 2023 セッションレポート(AD)

女性エンジニアが多い博報堂テクノロジーズ、女性が活躍する会社でのやりがいとは?

【B-3】広告会社でエンジニア女子が働くということは。~飲んで食べて開発するエンジニア婦人会~

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 株式会社博報堂テクノロジーズは、博報堂DYグループのテクノロジー戦略会社として、2022年4月1日に設立、同年8月より営業を開始した。主にクライアントの課題解決に向けたテクノロジー戦略の立案や実施、およびそのためのプロダクト、ソリューション、サービスなどの開発を行う。グループ会社の多種多様なテクノロジー人材が集約され、現在社員数は340名近くいる。2年で100名採用という目標を掲げ、中途採用も強化しているところだ。同社の開発チームが取り組んでいるプロジェクトやチームの雰囲気について、同社でマネジメントをしている小山裕香氏と麻生亜耶氏が解説する。

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マネジメントで活躍する2人の女性

 今回登壇するのは博報堂テクノロジーズでマネジメントをしている女性二人。

 1人目は博報堂テクノロジーズ メディアDXセンター BIソリューション開発部で部長を務めている小山裕香氏。インターネット専業広告代理店を経て、2007年に博報堂DYグループに入社した。デジタル広告やダイレクトマーケティングなどの部署を経験し、現在では博報堂テクノロジーズにてBIの提案から開発、運用を行うチームのマネジメントをしている。

株式会社博報堂テクノロジーズ メディアDXセンターBIソリューション開発部 部長 小山裕香氏
株式会社博報堂テクノロジーズ メディアDXセンター BIソリューション開発部 部長 小山裕香氏

 もう1人は同 マーケティングDXセンター プロデュース2部で部長を務めている麻生亜耶氏。新卒でSIerに入社後、一貫してシステムエンジニアをしてきた。前職で広告業界に入り、2013年に博報堂に入社した。マーケティングシステムの開発、マーケティングデータの整備や分析、グローバル領域でのナレッジ開発などを経験し、2020年ごろからプラットフォーム開発に従事するようになり、現在に至る。

株式会社博報堂テクノロジーズ マーケティングDXセンタープロデュース2部 部長 麻生亜耶氏
株式会社博報堂テクノロジーズ マーケティングDXセンタープロデュース2部 部長 麻生亜耶氏

メディアDXセンター:広告ビジネスのサービス化「AaaS」の開発を語る

 二人はそれぞれの部署でどのような事業や開発をしているかを詳しく解説した。

 まずは小山氏が所属しているメディアDXセンターは、博報堂DYグループでは広告メディアビジネスの次世代型モデルとなるAaaS(Advertising as a Service)に関わるサービスの開発を担当している。例えばメディアやマーケティング施策の投資配分を最適化してKPIを設定するAnalytics AaaS、テレビとデジタルを統合的に管理して効果的・効率的に運用するTele-Digi AaaS、広告効果を最大化するテレビCMの運用サービスとなるTV AaaS、多様なデータを活用して実成果につなげるデジタル広告の運用Digital AaaSなどがある。

 これらAaaSは、広告メディア活動において、これまで分断され可視化が難しい要素が多かったために生じていた無駄をテクノロジーで排除し、メディア投資効果を最大化することで広告主の事業成長に貢献するのが狙いだ。また博報堂DYグループと媒体社やクライアントが常時つながるメディアPDCA業務基盤へと進化していくことをビジョンとして掲げている。小山氏は「広告ビジネスを、従来の広告枠を売りものにしたビジネスから、効果を売りものにしたビジネスへと脱却させ、広告のサービス化を目指しています」と話す。

メディアDXセンター AaaSについて
メディアDXセンター AaaSについて

 メディアDXセンターのなかでも、小山氏のチームはクライアントのマーケティング要件ごとにカスタマイズしたダッシュボード構築、活用のコンサルティング、開発や運用を一気通貫で実施している。若手中心に30人のメンバーがいて、半数が女性だ。

マーケティングDXセンター:それぞれの専門領域で新たな価値創造

 続いて、麻生氏が所属するマーケティングDXセンターは4つの部署に分かれている。それぞれ博報堂DYグループ内のツール開発、業界別SaaSプロダクト開発、最先端テクノロジー領域のプロトタイプ開発、マーケやITコンサル支援などに取り組んでいる。生活者の課題や、その背景にある社会課題などを把握し「生活者インターフェース市場」として、それぞれ新たな価値創造や提供に向けて開発を進めている。組織の強みとして、麻生氏は事業貢献に向けた面の広さ、100%内製を可能とするサービス開発力、博報堂DYグループが持つマーケティング領域の知見を挙げる。

マーケティングDXセンターが取り組む施策(主な事例)
マーケティングDXセンターが取り組む施策(主な事例)

 麻生氏が所属するのはプロデュース2部で、社外向けサービスとして業界別SaaSプロダクトを開発している。主にモビリティ、ヘルスケア、自治体、小売り業など、博報堂のクライアントの業種領域に、博報堂DYグループ独自のテクノロジーを掛け合わせて新しいSaaSサービス「XT.H(クロステックエイチ)」を開発、構築している。サービスはWebアプリケーション、スマホアプリ、LINEミニアプリ、デスクトップアプリなどで提供され、これらのアプリケーション開発だけではなくサービス横断の認証基盤、ライブラリ開発、インフラ構築、保守運用まですべて内製で行っているのが特徴だ。

 XT.Hのプロダクトをいくつか挙げよう。モビリティ領域では「ノッカル」、これはいわば住民同士が支え合うMaaSだ。郊外では自動車がないと移動が難しくなる。そうした地域の移動課題を解決するためにマイカー乗り合い公共交通サービスとして実証実験を行い、2021年より富山県朝日町にて本格サービスインした。国土交通省の事業者協力型自家用有償旅客運送の初事例となった。麻生氏はこれに長いこと取り組んできたためか、この説明には力が入る。

 もう1つ、ヘルスケア領域では「ロコモ年齢」がある。これは日本整形外科学会と博報堂DYグループが開発したロコモ年齢(移動機能の健康度、膝年齢とも言える)測定ツールになる。自分の足腰の強度を把握し、高齢になっても自力で歩けるようにしようという啓発活動の一環となっている。

 他にもヘルスケア領域では企業向けに健康改善度可視化サービス、メンタル・フィジカルのリスク度判定サービス、自治体DX領域ではポイントソリューション、住民とボランティアのマッチングサービスなどを「絶賛開発中」と麻生氏は言う。

 こちらもチームは30歳前後の開発エンジニア、デザイナー、QA、プロダクト企画メンバーで構成され、9割以上が女性となっている。

マネージャーが語る、女性が活躍する会社でのやりがいとは

 ここからは二人のトークとなる。最初のテーマは「なぜチームに女性が多いのか?」

 麻生氏の部署は先述した通り、9割が女性となっている。IT業界の女性は2割程度と考えれば、かなり特殊だ。なぜこれほどまでに多いのか。二人とも明確な理由は見い出せないものの、いくつかの仮説を挙げて考察した。

 1つめの仮説として「リファラル採用が多い」というのがある。女性が女性を紹介することで、女性が増えていくという説だ。麻生氏は「女性だと採用面接で部署の男女比を質問されるケースが多い気がする」と指摘する。女性にとって、自分の性別がマイノリティになるのかは気になるところだ。それなりに女性が多いと分かると安心できるのかもしれない。

 小山氏の部署だと男女半々程度だが、それでもIT業界では女性が多いほうだ。小山氏は「新卒の時点で男女比が半々で配属されて、そのまま維持できているから?」と言う。マネージャーもほぼ男女が比半々で、女性の先輩のロールモデルがいるため安心してキャリアを継続できるのかもしれない。

 続けて麻生氏は「強いて言えば、あまり先端技術を扱わないから」と述べた。同社はDXに取り組んでいるので世間一般から見たら先端技術を扱っているとは言え、エンジニアから見たら最先端というよりは「割と安定した技術」が多いと言える。麻生氏の採用面接での感覚では「男性のほうが新技術に興味があったり、そこにモチベーションを感じたりする印象がある」と話す。裏返すと、割と安定している技術を扱うことが女性エンジニアには好感が持てるのかもしれない。

 あるいはすでに「女性が9割」だと多くの男性にとっては入りづらいのかもしれない(もちろんそうでない男性もいる)。などといろいろと仮説を立てつつも、結論は出ず「よく分からない」となった。無理もない。

 もう1つのテーマは「(女性が多い組織の)マネジメントで大変なこと」。

 これについて二人とも「特にない」と第一声で答えるものの、いろいろと考察した。麻生氏は「部下が若いと大変なことはあるが、女性だからというのはない」と言う。性別によらず仕事にどれだけ没頭したいか、プライベートを重視したいかは個人差があるので、麻生氏は「決めつけることなく、相手と会話していくプロセスが必要」と話し、マネジメントで気を配っているところになるようだ。

 小山氏は「女性のほうが二極化する」と言う。女性のほうが「がむしゃらタイプ」と「ほどほどタイプ」の違いが明確にわかれる。とはいえ、麻生氏同様に「個人に合わせた業務のやり方を考えていく必要がある」と気を配っている。また二人とも、部下に対して丁寧に説明していく必要性があることについては一致していた。

 また女性が多いチームが会議室を使うと「いい香りが残る」と同僚から言われることもあるそうで、これには二人とも大笑い。小山氏によると、いい香りというのは香水だけではなく、誰かの誕生日やイベントでケーキやスイーツを食べることで甘い匂いが残る時もあるようだ。麻生氏は「女性が多くてよかった」と思えることとして「誕生日にケーキを食べて盛り上がれる」と挙げた。

 和気あいあいと楽しめるところは比較的女性が多いからかもしれない。小山氏は「美味しいものを食べて、飲んで、たくさん話せば解決します」と笑う。概して食欲と親密感が満たされれば、些末なことは気にならなくなるものだ。しかし「馴れ合いになりかねないところは注意する必要がある」と麻生氏は言う。

 いずれにしても、二人は女性の割合が高い部署でチームと仲良く仕事をして、マネジメントも楽しんでいるようだ。幸せの笑いが絶えないトークとなった。

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提供:株式会社博報堂テクノロジーズ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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