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プラットフォームづくりを成功に導く!開発者のための「Platform Engineering」入門

Platform Engineeringとは何か? なぜ注目されているのか

第1回 Platform Engineeringのメリットと、登場の背景

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Platform Engineeringの登場と、その役割

 こういった背景から登場したのが、Platform Engineeringです。

 開発者の認知負荷軽減と生産性向上を第一の目的とし、負荷の根源となっている諸々を解決する基盤=プラットフォームを構築・運用する。また、それを行う専任チームを作っていくという考え方です。

 PlatformもEngineeringも汎用的な言葉のため、Platform EngineeringないしはPlatform Engineerという表現は様々な場所で散見されました。ですが、本連載で解説する、体系化された技術分野としてのPlatform Engineeringは、2019年に出版された書籍『Team Topologies』をきっかけとして登場しました。価値あるソフトウェアを素早く届けるためのチームのあり方を解説したのが本書ですが、その中で取り上げられていたチームタイプの一つが、『Platformチーム』でした。前述した、開発者の認知負荷を下げ、自律的に仕事を届けられるような仕組みを作る専任チームを指しています。このチーム、およびそこで作られるプラットフォームについてより深掘りし、体系化されたものが現在のPlatform Engineeringといえます。

 その後、Platform Engineeringのミートアップやカンファレンスの開催を通じて盛り上がりを見せたほか、2022年にはGartner社のテクノロジー ハイプ・サイクルに登場したことで急速に注目を浴びることとなりました。

 このように、Team TopologiesはPlatform Engineeringと密接に関連しているため、プラットフォームに携わるエンジニアはぜひ学んでおくとよいでしょう。本連載でも、Team Topologiesを解説する回を設ける予定です。

 Platformチームの仕事は多岐に渡ります。たとえば、アプリケーションをデプロイする先となるクラウド環境の構築と提供、ソースコードリポジトリの作成、CI/CD環境の構築、モニタリング周りの設定のほか、これらを利用していくための設定テンプレートの提供なども行います。サービスやアプリケーションの種類に依らず、共通して必要になりそうな要素は大体、Platformチームがコントロールしていくことになります。

 これらの仕事をひっくるめて表現するのによく利用される表現が、「ゴールデンパス」です。たとえば、ソースコードリポジトリひとつをとっても、GitHub、GitLab、AWS CodeCommit等さまざまな選択肢があります。クラウドやCI/CDも同様です。これらの選択肢の中から、会社として利用するものはこれとこれであり、利用するための設定はこうですよ、参照すべきドキュメントはここですよと、開発者が迷わず仕事を進められるための道筋を立ててあげる。それが、ゴールデンパスです。このゴールデンパスを作り上げていくのが、Platformチームのミッションと言えます。

 ゴールデンパスによって作られたドキュメントやテンプレートの公開先として、また各種プラットフォーム機能へのリンクなどを記載する先として、Internal Developer Portalと呼ばれるポータルを作成し、育てていきます。また、サービスが成長しチームが増えるにつれ、開発者がセルフサービスでプラットフォームを利用できるようにする、Internal Developer Platformと呼ばれる仕組みを作るのがよいとされています。これらの考え方については、また別の回で解説を行います。

次のページ
失敗したプラットフォームにならないための考え方

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この記事の著者

草間 一人(jacopen)(クサマ カズト)

 PagerDuty JapanのProduct Evangelist。一般社団法人クラウドネイティブイノベーターズ協会の代表理事も務めており、クラウドネイティブ技術やPlatform Engineeringの普及に貢献している。Platform Engineering MeetupやCloudNa...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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