「野良アプリ」はアンチパターンなのか?
そこでアミタが頼ったのがニックスだ。ニックスは1982年設立の歴史あるシステム開発会社で、企業の情報システム開発では豊富な実績がある。ITサービスソリューション部 部長 小川泰弘氏は販売管理システムやクラウドERPの導入、同 課長 夏目裕史氏は受託システム開発を中心に経験を積んできた。
同社では2013年ごろから社員にITコーディネーター資格取得を推奨し、中堅中小企業へクラウドサービスを活用したシステム導入や支援に力を入れている。これまで培ってきた基幹システム構築やデータ連携の高度な知見から、顧客企業が最新のクラウドサービスを効果的に活用できるように支援している。そのなかでサイボウズのkintoneは柔軟性や利便性が高い有力なツールとして活用されている。
最初はアミタの環境認証審査サービスに関する基幹システムをkintoneに移行するプロジェクトから始まり、後に100%リサイクルサービスの受発注システム、出荷管理システム、請求書発行システムなど、重要な業務システムがニックスの手により次々とkintoneへの移行が進められていった。
現状では簡易的なものは現場で自由に作成し、難易度の高い業務システムはニックスの支援を受けるなど、現場での開発とプロの支援をうまく切り分けながらkintone活用を進めている。今ではkintoneのテナントを2つ契約してマルチテナント構成にしており、社内には合計785ものアプリが稼働しているという。
もちろんなかには、いわゆる「野良アプリ」もある。アプリ開発に慣れたユーザーが「こういうのを作ってみました! 使ってみてね!」と嬉々として披露するものの、現場でいまいち定着せず、そのまま放置されてしまうのだ。
どのローコード・ノーコードツールを使うにしても、現場で自由に作れるとなると野良アプリが生まれてしまうのは避けられない。ニックス 小川氏は「kintoneをご活用いただいている会社さんでは、アプリ数は増える傾向にあります。1,000に近いところも珍しくありません」と話す。
アプリの多さ自体は悪いことではない。むしろ少ないと現場でkintoneやアプリ開発の習慣が定着していない表れとも言える。いずれkintoneの活用自体を断念してしまうケースもある。アミタでは10年間kintoneを活用してきたからこそ、現場主導のアプリが増え、同時に重要な基幹システムのkintone移行も進んでいると言える。