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失敗から学ぶテスト自動化——5つの課題を乗り越えた成功への道のり

【14-A-6】テスト自動化、苦しかったときの話をしようか―これからの開発現場を効率化するためのベストプラクティス

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ステークホルダーと一緒に進める

 最後に、「テスト自動化が孤立したときの話」である。

 これまでの課題を乗り越え、テスト自動化を運用フェーズにのせた江村氏。ガイドラインを設けて自動化の品質をキープ、毎日テストを実行してプロダクトの品質をキープ、テストが失敗したらすぐに調査し、不具合があればバグチケットを発行する。「今度こそ、これでうまくいくだろう」と考えたが、開発や手動テストチームといったステークホルダーからクレームが入るという残念な結果になってしまった。

 それはなぜか。江村氏は次のように分析した。

課題5:ステークホルダーと協働していなかった

 テスト自動化チームは、プロジェクトに関係なく毎日テストを実行するし、不具合が見つかったらすぐにバグチケットを発行して開発に依頼を投げるというスタンスだった。これに対し、「サーバーのリソースが圧迫されて、開発に影響が出るし、新しい機能をデバッグしているのだから、バグは出て当たり前。リリースのリハーサルを行うために、データをリセットして入れ直しているのだから、環境は不安定になって当然であり、テストが失敗するのは必然だ。テスト自動化チームのせいでサーバーの保守や調査依頼の対応で負担が増えた」というクレームが開発からあがったのだ。

 他方、手動テストチームからは、「テスト自動化チームのテストはブラックボックスになっていて、何をテストしているのかよくわからない。テスト自動化チームがあることでテストが楽になったという実感はない」と言われ、江村氏は肩を落としたという。

 江村氏は、この課題を解消するために、ステークホルダーと話し合いの場を設けた。テスト自動化の実行環境について開発チームと協議をしたり、手動テストチームとテスト自動化チームの担当箇所を可視化したりした。「テスト自動化チームがあることで、開発チームにとっても手動テストチームにとってもこれだけメリットがあるのだ」と、定量的に示して理解してもらう努力もした。

 最後に江村氏は、「テスト自動化にまつわる苦しい経験を通じて、『テスト自動化の目的を定め、それに沿った計画・実装することが大切であ ること』『自動化の保守性を高めるため、一定のガイドラインが必要であること』『ステークホルダーと協働して、みんながハッピーになるように進め ていくこと』の3つを学んだ。私の失敗が 、みなさんのお役に立つと幸い」と観客にエールを送り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

 フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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