エン・ジャパンが抱えていたテスト自動化の課題
続いて登壇したのは、Testimを導入したエン・ジャパンの齊藤氏だ。齊藤氏は、テスト自動化の推進のほか、QA組織運営やAIを活用した業務改善に携わっている。

「エン転職」「エンゲージ」「engage」「ASHIATO」などの求人メディア・採用支援ツール・リファレンスチェックといったHRサービスを提供しているエン・ジャパンでは、以前から商用のE2Eテスト自動化ツールを活用していた。だが既存ツールには、「契約面、機能面、運用面という3点で課題があった」と齊藤氏は明かす。
契約面の課題とは、利用規約や約款に疑義があるとの法務からの指摘が入ったこと。加えて、同社ではengageを中心に自動化ツールを利用していたが、他のプロダクトにも利用を拡大した際に、コストが膨らむとの試算結果が出たことだ。
機能面では、既存ツールが機能不足で柔軟な実装ができず、テストケースの作成やメンテナンスの効率が落ちていたという。「メンバーからも、使いにくいのでどうにかしてほしいという声が上がっていました」と齊藤氏は話す。
運用面の課題は、同一プロダクトに対して複数の商用テスト自動化ツールを併用していたことだ。「利用コストはもちろん、テストケース作成やメンテナンスなどの運用コストも高い状態で、なんとかしなければならないと思っていました」(齊藤氏)
こうした課題を解決するために、併用していた商用ツールのいずれかに統一する案や、昨今注目を集めるMicrosoftが提供するオープンソースのテスト自動化フレームワーク「Playwright」を用いてコードベースで実装する案も検討したという。しかし「予算の問題やQAエンジニアの体制事情から、こうした移行案の実現は難しく頭を悩ませていました。そんなときに出会ったのがTestimでした」と齊藤氏は振り返る。
Playwrightも検討、それでもTestimを選んだ4つの理由
Testimに惹かれたポイントは4つある。
1点目はローコードであること。プログラミングを前提とせず、開発エンジニア以外でもテストの作成とメンテナンスを容易に行える点だ。
2点目は豊富な機能。GUI操作でのアクション登録に加え、JavaScriptによるコードベースの拡張にも対応しており、統合管理などの管理機能も充実していたことだ。
3点目は迅速かつ効率的なテストが可能で、並列実行によりテスト実行時間を短縮できること。「特にポイントとなったのは、ローカル、クラウド双方の環境を利用できることだ」と齊藤氏は言う。
4点目はコスト削減と高い費用対効果。利用ユーザー数やプロジェクト数、テストケース数が無制限で、テスト実行回数もローカル、クラウドともに無制限だ。「この点もメリットが大きいと感じました」(齊藤氏)
Testimは片倉氏も紹介したように、豊富な機能を備えている。その中で齊藤氏が魅力的に感じた機能の一部が紹介された。第1はプロジェクト機能。「単一のワークスペース内で複数のプロジェクトを作成でき、オブジェクトが階層構造であるため、複数のプロダクトの管理も容易です。例えば、同一プロダクトでもプロジェクトを分けることで、機能別やチーム単位で分けて運用・管理できます」(齊藤氏)
第2に、GitHubライクなブランチ機能。masterに指定したブランチに読み取り専用の保護ルールを設定でき、UIでプルリクエストの作成やブランチ運用が行える点も魅力だった。
第3はAPIテスト機能。APIクライアントのような画面でAPIテストを実装できる。その他にもマルチプラットフォーム対応、JavaScriptで複雑なアクションを実装できるCustom Action Steps、CIとの連携が容易で開発フローへシームレスに統合できるCI連携機能が紹介された。
