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Developers Summit 2025 Summer セッションレポート(AD)

「孤軍奮闘するエース」のためのIaC×Observability入門──東京エレクトロンデバイスが示すツール導入にとどまらない可能性

【18-B-8】脱属人化・ブラックボックス化!チーム全体でインフラを理解する IaC × Observability 入門編

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 インフラ運用が特定の担当者に依存し、構成や状態がブラックボックス化してしまう──多くの開発組織が直面するこの課題に対し、東京エレクトロンデバイスの中林稔氏と小野瀬つばさ氏が解決策を提示した。IaC(Infrastructure as Code)とObservability(可観測性)ツールを段階的に導入し、「孤軍奮闘する1人のエース」から「チーム全体で理解するインフラ」への転換を図る実践的なアプローチについて、ツール導入の技術論から組織文化の醸成まで説明する。

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アジャイル組織に適したインフラ運用とは──複雑化と属人化に立ち向かう

 東京エレクトロンデバイスでHashiCorp製品の技術担当を務める中林稔氏は、現代のインフラ運用が抱える根本的な課題から講演を始めた。「以前は、リリースに1年ぐらいかけてじっくり開発、リリースしていたが、アジャイル開発になって、数週間ごとに新機能をどんどんリリースする形が増えてきた」と現状を分析する。

 こうした開発速度の向上に対し、インフラ側も複雑化が進んでいる。コンテナやサーバーレス、マイクロサービスといったテクノロジーの普及により、システム構成は以前とは比較にならないほど複雑になった。さらに、頻繁なリリースに伴ってシステムが微細に変更され続けるため、対応に日々追われる状況が見られるようになった。

東京エレクトロン デバイス株式会社 コンピュータネットワーク事業部 ソリューションエンジニア 中林 稔氏
東京エレクトロン デバイス株式会社 コンピュータネットワーク事業部 ソリューションエンジニア 中林 稔氏

 中林氏は理想的なインフラ運用の姿として、「クラウド事業者のベストプラクティスにあるように、標準化されて、一貫したインフラ」を挙げる。しかし現実には、知識が特定の人に偏ってしまう場合や、チームごとに使用するツールがバラバラになる状況が頻発する。

 中林氏は「従来のような手作業や勘に頼った運用が続いていると、ビジネス速度が低下するだけではなく、運用コストも増える。そういうジレンマに陥ってしまう」と課題の深刻さを指摘した。

インフラ運用における理想と現実のギャップ
インフラ運用における理想と現実のギャップ

 こうした課題に対し、中林氏は2つの軸からなる解決アプローチを提示した。構築面におけるIaCツールによる自動化と、運用面におけるObservabilityツールによるシステム内部状態の可視化である。

 IaCの導入効果について中林氏は「インフラの変更が多い場合や、開発環境と同じ構成の異なる環境で再現させるには、GUIを使った設定では難しく、IaCが欠かせない」と強調する。さらに、IaCツールを使用することで「ポリシーのチェックもコードで自動化できるようになる。これによって統一性と安全性を両立した、インフラの運用が可能になる」と付け加えた。

 一方、Observabilityの重要性については、マイクロサービスのような複雑に絡み合ったシステムへの対応を理由に挙げた。「従来の死活監視だと何か問題が起こった際に、原因の特定が結構難しい」ため、システム全体をエンドツーエンドで監視する可観測性の考え方が不可欠だという。

 ここで中林氏は、IaCツールとObservabilityツールの具体例として、「HCP Terraform」と「Datadog」の組み合わせを挙げた。これらのツールを併せて利用することで、変化に強いインフラを実現できると紹介する。

 「HCP Terraformであれば、承認フローを導入して属人化を排除することができる。一方でDatadogでは、システムがいつもと違う状況のときに、メトリクスやログ、トレースなど多面的なデータを活用して、チームの意思決定を促進し、適切な対応が迅速に取れるようになる」(中林氏)

自動化と可視化で、理想的なインフラ運用を実現
自動化と可視化で、理想的なインフラ運用を実現

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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