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生成AIを「よくあるチャットボット」で終わらせないために──セゾンテクノロジーに学ぶデータと業務の整理方法

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レガシーとモダン、技術の二面性がカギになる

 生成AI活用の取り組みについては、同社においてもまだ段階的に整備しているところではあるが徐々に成果は見えてきているという。これまで挙げてきたように、象徴的なものはサポート業務における回答支援だ。ただしAIが回答するのは仕様を確認するものが中心で、不具合に関する問い合わせなど慎重な対応が必要なものにはまだAIを使わないようにしている。この辺りの使い分けも実運用では配慮が必要なところだ。

 取り組みでは回答品質を維持しながら、サポートエンジニアの工数削減を目指している。高坂氏は「まだ取り組みをスタートしたばかりなので、現時点では(工数削減)効果は1%未満かと思いますが、将来的に大きな効果が見込めるとして我々が最も注目しているものの1つになります」と話す。

 他にもセキュリティチェックなどExcelの定型フォームへの自動記入についても改善が進んでいる。これまで人間が自由記入していて回答にばらつきがあったものを、生成AIが回答を仮に入力することで入力や集計の工数を減らすことが期待されている。PoCにおける試算だが、工数削減効果は56.5%と見込まれている。

 これまでの取り組みのなかで、同社ならではのバイモーダルな強さが発揮できたところもいくつかある。例えば顧客からGoogleのGeminiを使いたいという要望があった。しかし肝心のデータがまだクラウドになかった。そこで同社の製品やオンプレミス環境のノウハウやデータ転送技術が生きたという。

 あるいは取り組みのなかで壁に直面することもある。そうした時に、かつてのウォーターフォール型の開発を経験した人の昔ながらの発想や知見が状況打開のいいヒントになったこともあるという。高坂氏は「我々はいろんな二面性を持っています。レガシーとモダン、ソフトウェアメーカーとSIer、生成AI活用と汎用機の基幹システム。こうした二面性がケイパビリティを伸ばしている側面もあります。生成AIだからモダンな技術が得意なエンジニアだけで構成するのではなく、レガシーを経験したエンジニアが活躍する場面もあり、過去の知見が復活したところがありました」と話す。

 最後に高坂氏はあらためて地道にかつ堅実にいくことの大切さをかみしめた。「生成AIでいろんなことができるようになったように見えますが、よく見るとそれっぽい回答を返しているだけというケースが多くあります。本当に業務に有効とするには、もう一度業務に踏み込むことが大事です。最近生まれたMCPやAIエージェントもまだ発展途上の技術です。今一度、特定のユースケースにフォーカスして、その業務の目的は何なのか、確実に誰かが助かるようなシステムを作って行くことが大事だと考えています。そういった特定のユースケースにフォーカスして作ったものが、ゆくゆくはMCPサーバーでありAIエージェントとなってさまざまな方の役に立つことを期待しています」

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

ミヨグラフィ(ミヨグラフィ)

フットワークが窒素よりも軽いフリーランスフォトグラファー。ポートレート、取材、イベントなど主に人物撮影をしています。英語・中国語対応可能。趣味は電子工作・3Dプリント・ポールダンス。 Webサイト

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社セゾンテクノロジー

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