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Developers Summit 2025 KANSAI セッションレポート(AD)

サイボウズ流エンジニア組織の作り方──kintoneアップデート件数倍増の裏にあった「EM体制」とは?

【A-6】エンジニアが主導できる組織づくり ー 製品と事業を進化させる体制へのシフト

事業戦略を理解し、成果物最大化に貢献する──サイボウズ流のEMとは

 組織変革の理論的基盤として、上岡氏はSpotifyの組織論で著名なHenrik Knibergの「Alignment enables Autonomy(方向性の一致が自律をもたらす)」概念を紹介した。縦軸をアライメント(何を目指すかという方向性の一致を示す)の高低、横軸を自律性の高低とした4象限において、最も理想的なのは「高いアライメント×高い自律性」の状態だ。

 「サイボウズの組織では、それぞれのチームや個人が問題発見や解決についてはある程度慣れていましたが、アライメントが取れていない状態でした」と上岡氏は分析し、当時の状況を、同じ「川を渡る」という目標でも、あるチームは橋を作り、別のチームはトンネルを掘ってしまう「ミスアライメント(方向性の不一致)」で例える。

方向性が統一されたチームは、同じゴールに向かって進める
方向性が統一されたチームは、同じゴールに向かって進める

 この課題解決の核となったのが、EM体制への転換だ。上岡氏は、その狙いを「従来の職能マネージャーやチームリーダーとは別に、成果物に責任を持つ役割を再定義しました」と説明する。

 EMの責務は明確だ。事業戦略を理解し、チームの意思決定や成果物への説明責任を持ち、成果物最大化に貢献する。「代表者として、プロダクトマネージャーなどのチームの外とチーム内の活動を接続できる形にする」ことで、従来プロダクトマネージャーに集中していた判断をエンジニア主導で行える体制にした。

「EMは部長から技術や成果物への説明責任を委譲されている
「EMは部長から技術や成果物への説明責任を委譲されている

 重要なのは、EMが必ずしも部長職ではない点だ。「部長とEMの役割を兼ねる人もいれば、部の業務マネジメントを委譲する形でEMを任命する場合もあります。また部以下のチーム単位で責任を持つEMも任命しています」と上岡氏は説明し、役割の多様性を強調した。なお、上岡氏自身もチームのEMでありながら複数の部の部長も兼任している。

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トップダウン型に代わる、EM間の対話による段階的なアライメントの強化

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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タナカタイゾー(タナカ タイゾー)

 フリーカメラマン。日本写真映像専門学校卒業後、写真スタジオを経て独立。関西を拠点に広告、カタログ、雑誌の分野で活動。最近は子どもも成長し、休日は愛犬と一緒に1人と一匹でキャンプを楽しむ。

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