最終プレゼンレポート②
折り紙を3Dプリンターで、女性の非エンジニア2人が作った「patan」
物理的な体験とAIプロダクトを掛け合わせたチームもある。チーム「デジタルコンテンツ」の「patan」だ。「折り紙なインテリアを、3Dプリンターで」というキャッチのとおり、テンプレートをAIと編集し、折って組み立てるインテリアをデザインできるWebサービスになっている。
テンプレートから型紙を選び、AIに相談しながら調整し、エクスポートして3Dプリンターで印刷する。スマホスタンドのほか、箱やピアスホルダーなど、用途は広い。
さらに、デモ動画では、災害時の利用についても触れられた。避難所となった体育館で、机や椅子、仕切りを「patan」で作ったという設定だ。薄く印刷して畳んで運べるため震災時や物資の運搬で扱いやすく、3Dプリンターで折り目を付けられるので折ってパーツをつなげるだけで立体物になる。
OpenAIのAPIは、主に展開図の生成に使われた。テンプレートの内容でチューニングを行い、溝の位置などをそろえたままカスタマイズすることが可能になっている。
同チームのメンバーはいずれも、日常的にプログラミングをしていたわけではない。2人が一緒に受けていた昨年8月の大学院の授業で、互いに電子工作をしていたがプログラミングの経験は少なく、そのタイミングでCodexを知ったという。今回の参加にあたっては、Codexの運用ルールを定め、別々のCodexが相手の変更を壊さないよう、参照する仕様書の策定、上書きの禁止、テスト後のPR統合など、アウトプットを最大化するための工夫を行った。
優勝はAIネイティブな動画制作SaaS「Poietra」
最後に登場したのは、チーム「Poietra」が開発した同名のプロダクト「Poietra」だ。掲げたキャッチは「全ての人に快適な動画制作を〜AI-nativeな動画制作SaaS〜」。
着想は発表者自身の中学・高校時代にさかのぼる。高性能なパソコンを持っておらず、動画編集がしたくてAdobe After Effectsを買ったものの、そもそも動かなかった。代わりにAviUtlなどのソフトでモーショングラフィックスやシネマティックなムービーを趣味で作っていたが、プレビューのたびに動作は重い。「作りたいイメージが頭の中にあるのに、機材や操作の難しさにとらわれて実現できない」という悩みが出発点だった。
では生成AIで動画を作ればよいかというと、そこにも不満があった。「AIで動画生成してしまうとガチャガチャした感じになってしまって、1回1回動画を作ったとしても、それは再現性がありません」。良い動画が出るまでプロンプト調整を繰り返すのは本質的ではない、と考えていた。
そこで開発したのが、Canvaのようにブラウザ上で動く動画制作Web SaaSだ。自然言語による制作指示と、人間による直接編集・共同編集を組み合わせ、生成後も文字や動きを調整できる体験を目指す。想定する対象はプロの映像制作者だけでなく、学生、教育者、企業の広報担当者など「映像で何かを伝えたい人」である。
デモでは、キャンバス上のチャットに「@Codex」とメンションして「円を描いて」と指示するとAIがソフトウェア上で動いてオブジェクトを生成し、「Apply」で反映される様子が示された。続けて「円をロケットにして」と投げ、アニメーションまで生成してみせる。プレゼンで流したデモ動画そのものが、このプロダクトで作られたものだった。
Codexで何が変わったかという問いには、「意図を汲んでくれる印象があった」と答えた。本ハッカソンに参加した各チームがデモ動画を30分ほどで作り上げたことを引き合いに、プリミティブの組み合わせやアニメーションの付け方をさらに工夫できれば「比較的短時間で作れる高品質な動画が、人間によって作れるようになっていくのではないか」と展望を示す。
Codexの活用も具体的だ。AGENTS.mdを最初に定義して共通ルールを明文化し、Skillsで作業手順を再利用する。専門担当へ委任してサブエージェントを作成し、実行結果で検証、必要に応じHooksを使い、Fast modeも使用した。プロトタイピングではComputer Useを最大限活用し、Figmaでの細かな差分作成をChatGPTに任せ、新規画面の作成は人間が行うことで品質とスピードを両立させた。
