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Web系開発のトレンドを牽引する
「IBM ソフトウェア・テクノロジー情報」(前編)

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2008/11/11 14:01

目次

『Rational Team Concert』を使ったらSubversion+Trac環境には戻れない

 Jazzは、Open Commercial Software Developmentと呼ばれる新しい製品の開発スタイルで開発され、コミュニティ・サイトのJazz.netにて開発チーム体制、開発プロセス、反復計画、作業項目、障害、機能拡張要求、成果物、ビルドの状況などが英語で公開されており、和田氏は、「IBM ソフトウェア・テクノロジー情報」上で日本語での補足を行っている。なお、Jazzという名称の製品があるわけではなく、今後『Rational』ブランドの製品がJazzのプラットフォームに基づいてリリースされていく。

ソフトウェア事業 ラショナル・テクニカル・セールス シニア ITスペシャリスト 和田洋氏
和田氏

 Jazzの開発メンバーの多くはEclipseの開発者で、IBMの基礎研究・リサーチのメンバーも入っている。和田氏は「デスクトップを統合するEclipseの次のプラットフォームと思っていただいてもかまいません。これまで開発ツールは、UMLのモデリング、構成管理、変更管理、要求管理、テストなど、開発プロセスの個々の工程向けにより専門的なツールとして開発されていました。それらをさらに有効に活用するために、工程をまたいでツールの連携を密にしていこうという形で進んできました。一方Jazzは、ツールの連携ではなく、視点を変えてチームで開発する際に必要なツールという発想で開発されたものです」と背景について語る。

 これまでは、もともとが別々のツールだったので、成果物のフォーマットやフォーマットを保存するリポジトリとの間の通信のやり方などもバラバラ、Eclipseとしてはデスクトップ上に統合されているが、リポジトリは、要求管理のものはデータベースを使ったり、成果物管理は製品固有のもの使っていたりしている。そうなると、スケーラビリティを求められる大規模開発への対応が複雑になる。そこで、現在あるインターネットの技術をうまく利用して構築する考えに至ったという。

 これまで開発ツールのフォーマットは、ファイルベースか、データベースかに大別され、ファイルベースの場合は、取り扱いやすいものの、検索などは苦手。一方データベースの場合は、検索は得意だが、リポジトリとしての取り扱いは面倒であった。インターネットの技術を使えば、成果物の場所をURIという形で特定できればいいし、通信はhttpやrss、atomという一般的なものを使える。検索は将来的にはインターネットの検索エンジンの技術を活用する――というように、IBMが独自に作るのではなく、できるだけ標準的なものを活用していくというコンセプトになっている。

 また和田氏は「現在のソフトウェアの開発は基本的にマルチベンダーで、ツールもさまざま。要求を出す会社とそれを受ける会社、さらにその外注先があるという構造も多いでしょう。個々の会社さんが持っているツールをうまく繋げるようなテクノロジーを目指しています」とした。

 Jazzベースの製品としては、6月にリリースした『Rational Team Concert』がある。これは、アジャイル向けで、かつ拠点が分散している環境をサポートするため、成果物のバージョン管理や、wiki、チャットなどを連携して操作できるよう統合されたチーム開発のためのツールだ。オープンソースの開発で言うと、SubversionとTracをなどを組み合わせて、さらにwikiやチャットも…という環境が一つのパッケージになったものと考えていい。

 このツールのベースになっている考え方として、成果物や各種情報などのリソースの場所の表現形式やリソース間の関連の標準化があるという。和田氏は「例えば、要求という成果物があったら、その要求に基づいたテストケースがあるように、各工程には関連性があります。情報の構造を標準化すれば、ツール間でうまく連携できます。少なくとも情報間の関係という所を標準化できれば、後々上流から下流までのトレーサビリティも確立できるでしょう。すでに、Jazzテクノロジーを利用したパートナーがいらっしゃいます。日本では、『TRICHORD』という製品を開発されているチェンジビジョンさんのようなパートナーさんもいます。こうしたパートナーの存在は、Jazzの今後の発展の一つのポイントになるでしょう」と将来の展望を語った。

 なお、Rational Team Concertは、Jazz.netでユーザー登録すればダウンロードできる。3種類の製品があるが、10名規模の開発を想定したExpress-Cなら、3ユーザーまで無料で使える。最後に和田氏は、「ダウンロードしてすぐに使えるので、Subversion+Tracの環境より導入が楽だと思います。SubversionやCVSのレポジトリをインポートして、すぐ使える機能もあります。以前Eclipseで開発されていた方で、Rational Team Concertを使った人が『もう以前の環境には戻れない』と言っていました。JAZZ.netは英語なので、今後日本語のチュートリアルを載せていこうと思っています」と、製品に対する自信を覗かせた。

 次回の中編では、浦本直彦氏による「Web2.0セキュリティ」と野口雅人氏の「Dojoツールキット」のインタビューをレポートする。



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著者プロフィール

  • 森 英信(モリ ヒデノブ)

    スマホアプリやWebサイト、出版物といったコンテンツの企画制作を手がける株式会社アンジーの代表。写真加工アプリ「MyHeartCamera」「PicoSweet」など、提供するアプリは1100万以上のインストールを獲得。2019年にはAR(拡張現実)プログラムに関する特許を取得。自身はIT関連の取材...

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