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デザインパターンの使い方

デザインパターンの使い方: State

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 アプリケーションを作成する上で条件ロジックを欠くことはできません。しかし、あまりに多用すると入り組んできて分かりにくくなります。このような事態をできるだけ避けるために、私はStateデザインパターンを使ってコードをすっきりさせています。本稿では、Stateデザインパターンの利用方法を例を示しながら説明します。

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Stateパターンの例

 アプリケーションを作成する上で条件ロジックを欠くことはできません。しかし、あまりに多用すると入り組んできて分かりにくくなります。私が作成する多くのアプリケーションでは、オブジェクトはさまざまな状態で存在し、状態ごとにそれぞれ異なる動作をします。if文と複雑な条件分岐を多用する「直球型」の実装では、すぐに複雑怪奇なソリューションになってしまいます。このような事態をできるだけ避けるために、私はStateデザインパターンを使ってコードをすっきりさせています。

 図書館の取り置き本を例に説明しましょう。取り置き本(Holding)オブジェクトは、本(Book)オブジェクト(リスト1を参照)のコピーです(今回の実装では、BookはISBNの分類情報にすぎません。従って、各Holdingオブジェクトはコピー番号とBookオブジェクトを参照します)。Holdingオブジェクトの状態として、貸し出しと返却があります。図書館と図書館の間での移動もあります。利用者に所持されたり、保管庫に入れられたりもします。これらの各イベントによって、Holdingオブジェクトはさまざまな規則が適用される状態に遷移します。例えば、「貸し出し中」状態の本を保管庫で保管することはできません。

リスト1 Bookクラス
// BookTest.java
import static org.junit.Assert.*;
import org.junit.*;

public class BookTest {
   public static final Book CATCH22 = new Book("0-671-12805-1",
      "Catch-22", "Heller, Joseph", "1961");

   @Test
   public void create() {
      assertEquals("0-671-12805-1", CATCH22.getIsbn());
      assertEquals("Catch-22", CATCH22.getTitle());
      assertEquals("Heller, Joseph", CATCH22.getAuthor());
      assertEquals("1961", CATCH22.getYear());
   }
}

// Book.java
public class Book {
   private final String isbn;
   private final String title;
   private final String author;
   private final String year;

   public Book(String isbn, String title, String author,
      String year) {
      this.isbn = isbn;
      this.title = title;
      this.author = author;
      this.year = year;
   }

   public String getIsbn() {
      return isbn;
   }

   public String getTitle() {
      return title;
   }

   public String getAuthor() {
      return author;
   }

   public String getYear() {
      return year;
   }
}

 リスト2に、Holdingの最初の実装を示します(利用者IDとの関連はまだ考慮していません)。

リスト2 Holdingの最初の実装
import static org.junit.Assert.*;
import java.util.Date;
import org.junit.*;

public class HoldingTest {
   private Holding holding;
   private static final Date NOW = new Date();
   private static final String PATRON_ID = "12345";

   @Before
   public void initialize() {
      Book book = BookTest.CATCH22;
      int copyNumber = 1;
      holding = new Holding(book, copyNumber);
   }

   @Test
   public void create() {
      assertSame(BookTest.CATCH22, holding.getBook());
      assertEquals(1, holding.getCopyNumber());
      assertFalse(holding.isOnLoan());
   }

   @Test
   public void checkout() {
      holding.checkout(NOW, PATRON_ID);
      assertTrue(holding.isOnLoan());
      assertEquals(NOW, holding.getLoanDate());
   }

   @Test
   public void checkin() {
      Date later = new Date(NOW.getTime() + 1);
      holding.checkout(NOW, PATRON_ID);
      holding.checkin(later);
      assertFalse(holding.isOnLoan());
   }
}

// Holding.java
import java.util.Date;

public class Holding {
   private final Book book;
   private final int copyNumber;
   private Date checkoutDate;

   public Holding(Book book, int copyNumber) {
      this.book = book;
      this.copyNumber = copyNumber;
   }

   public Book getBook() {
      return book;
   }

   public int getCopyNumber() {
      return copyNumber;
   }

   public boolean isOnLoan() {
      return checkoutDate != null;
   }

   public Date getLoanDate() {
      return checkoutDate;
   }

   public void checkout(Date date, String patronId) {
      checkoutDate = date;
   }

   public void checkin(Date date) {
      checkoutDate = null;
   }
}

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Jeff Langr(Jeff Langr)

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