エンタープライズアプリケーションの課題
ここまでのようなマルチスクリーンの革命はエンタープライズアプリの世界にも来ており、顧客向け、社内向けの両方のアプリで多くの問題を解決する、とLynch氏は次のように述べる。
インターネットは今や消費者と企業の双方に必要だが、現実は消費者のインターネット利用に比べ、企業向けは遅れている。それを解決できれば競合他社に対して大きく差別化できるだろう。スクリーン上のUIも大事だが、その背後でそれを実現している技術も重要。このエリアは「カスタマエクスペリエンスマネジメント」と呼ばれている。これを実現するための要素として、プロセス、ソーシャル、コンテンツ、分析・最適化の4つを挙げ、中でもコンテンツの対策として買収中のDay Software社が有するCMSのデモが行われた。
マルチスクリーンにおけるユーザー体験向上の課題として、端末ごとにどのように異なって表示されるかを作り手に見せることが大事と説明し、CMS上でデスクトップや携帯端末といった見栄えそのままに編集できる様子を示した。特に柔軟性と簡単に修正できる操作性が必要だと指摘している。
組織的な体験の例としては、トロントの病院で使われているタブレットでMRI画像を閲覧するアプリケーションがデモ動画で紹介された。これには本日ベータ版の提供が発表されたFlex 4.5が使われている。
また、Flash開発者のためにAIRをどう普及させていくかという施策の一つとして、AIRをOSの中に入れ込みマルチタスクを本格搭載したタブレット端末「BlackBerry Playbook」が発表された。Developer Toolkitも本日から提供開始されている。
ゲームでの需要が、Flashの普及や技術向上に貢献
最後のセクションはゲームについて。今日、70%のカジュアルゲームがFlashで動いており、ゲームでの需要がFlashの普及をけん引してきたともいえると説明した。技術的な課題の克服や表現力の部分など、ゲーム以外の部分を良くするのにも貢献したという。
現在いろいろなOSで動かすことが簡単にできるようにもなっており、例として、映画のプロモーション用としてソニーが作ったゲーム「Green Hornet」がPCおよびAndroid端末上で同じように動く様子が紹介された。Android上でFlashベースのアプリを動かすAIR for Androidはすでに使うことができ、SDKも提供されている。
アプリケーションをAIR for Android用にまとめることは容易で、例えばFlash Professionalではプロフィールを変えて、いくつか設定を行うだけだという。
また、Webでのゲームの体験をよりよくするものとして、Flashに対応したゲームコントローラーが近々に登場することをほのめかした。最近のゲームの3D化をサポートするためのGPU活用技術(コードネーム"Molehill")もFlash Playerで近々に実装される予定だとしている。
参加者全員にAndroid端末「Droid 2」のプレゼント
最後にLynch氏は、「ここまで説明したマルチスクリーンのもたらす変革をぜひ有効活用して、最適化された体験を皆さんに作ってほしい」と呼びかけ、講演を締めくくった。
なお、講演終了後にはイベントスポンサーのモトローラ社よりサプライズとして、Android端末のDroid 2が参加者全員に提供された。