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【デブサミ2012】セッションレポート

【デブサミ2012】16-D-3 レポート
HTML5が抱える課題~Yahoo! JAPANの導入事例と今後の戦略

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HTML5の今後を占う上でのポイント

 このように、Yahoo! JAPANの新たな取り組みの中で重要な位置を占めているHTML5だが、是井氏はなおHTML5にはいくつかの点で課題があると指摘する。

 「W3Cの仕様策定作業のスピード感には、正直言って不満がある。標準仕様がなかなか固まらないと、どうしてもベンダー独自の実装が増えてくるが、これも標準化という観点では問題をはらんでいる。またセキュリティ面でも、HTML5はどうしてもクライアント側の処理が増えるため、懸念が拭いきれない。さらには、これまでのWeb開発の中で培われてきたナレッジやリソースを、どの程度HTML5に流用できるか。これも難しい課題だ」

 こうした課題が解決されることを期待しつつ、今後もYahoo! JAPANではユーザーに価値を届けるための手段の1つとして、HTML5への取り組みを続けていくという。そこで重要になってくるポイントとして、是井氏は4点を挙げる。

 1つ目は「スマートフォンやタブレット以外のデバイス」、例えばテレビやゲーム機など、幅広い種類のデバイスへHTML5の適用が広がりつつある「デバイス種別を超えた標準化」の動き。

 2つ目が「パフォーマンスの向上」。スマートフォンのユーザーが爆発的に増え、回線の帯域が圧迫されてきている中、パフォーマンス向上の取り組みはこれまでになく重要性を増している。

 そして3つ目が「開発フレームワーク」だ。HTML5による開発のためのフレームワークを整備することで、実装のスピードが上がるだけでなく、何かあったときに確実にロールバックできるため開発リスクが大幅に低減する。

 そして最後が「ネイティブアプリとWebアプリの棲み分け」。ネイティブアプリとWebアプリを併用したハイブリッド構成にするのか、それともWebアプリのみに傾注するのか。このどちらの方針を選択するかは、サービスの性格や戦略によって異なってくるが、Yahoo! JAPANでは当面は前者の戦略をとると述べた上で、是井氏は次のようにセッションを結んだ。

 「先ほども述べた通り、我々は適材適所でネイティブアプリとWebアプリを使い分けていく。玉虫色でつまらない戦略のように聞こえるかもしれないが、とはいえ我々はやはりWeb企業なので、ある程度はWebアプリの方に重点を置いていきたいと考えている」(是井氏)

HTML5が抱える課題
HTML5が抱える課題

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/6439 2012/03/12 14:00

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