ソーシャルプラットフォームの活用で実現する「企業のソーシャル化」
企業の業務やシステムに、社内外のソーシャルメディアを取り入れる「ソーシャルエンタープライズ」。その実現において岡本氏は「社内、顧客とソーシャル化を進め、最終的に顧客とエンゲージするという3ステップが必要」と語る。それでは、具体的にどのように「企業のソーシャル化」を進めればいいのか。
もともとFacebookなどのソーシャルメディアは、個人的なコミュニケーションを意図として生まれた。しかし、その中には企業活動に有用なものも多く含まれ、その伝達スピードはすさまじく速い。そうしたスピード感を社内に取り込むこと、それがエンタープライズソーシャルの目的だ。つまり、顧客から発信される情報をいかに受け止め、必要な情報を提供していくかが課題となる。それも一方向だけでなく、企業活動の全方位に向けて行われることが必要だ。
これを実現する方法の一つが「ソーシャルプラットフォーム」だ。必要要素としては、流れる情報が一目で分かる「アクティビティストリーム」、関係性を示す「ソーシャルグラフ」、そして個人を識別する「ユーザーアイデンティティ」、交流を活性化する「ソーシャルAPI」、そして「アプリケーションをアドオンできる仕組み」の5つがあげられる。その一つの形がセールスフォースの『Chatter』だ。
ソーシャルAPI開発において、Facebookが他のインフラ上にアプリを準備してリンクしているのに対し、『Chatter』ではそうした横付けタイプはもちろん、Chatterのインフラの上にもアプリを開発することができる。Chatterの中にソーシャルアプリ開発環境の『Force.com』ソーシャルDBの『Database.com』が用意されており、既存言語やOSSなどが使えない分、生産性やスピードに優れている。むろん必要があれば、データベースだけをつかって、Authentication、REST APIやSOAP APIと、HerokuやMobile SDKなどを利用してOSSを使うことも可能だ。
『Database.com』のアーキテクチャでは、データストレージとして、リレーショナルデータやバイナリデータのほか、ソーシャルデータとしてストリームが置ける。ランタイムカーネルには、クエリエンジンなどが対応し、これらがすべてネイティブ対応であることが大きな特徴だ。しかし、データモデルとしては特殊で、自動的にすべてのデータ自体がフィードの主となるように設定されている。例えば、データが変えられると、人がフィードせずともデータ自身がフィードするというわけだ。岡本氏はこれを「データもつぶやく」と表現した。
岡本氏は「用途や目的によって、Force.comとOSSを上手に使い分けるのがベター。自由にフィードをApexコードでプログラミングできるところに可能性を感じてほしい」と語り、「エンタープライズ領域でも早い人はすでに実践し始めている。ぜひ、すぐにでも挑戦してほしい」と語った。