はじめに
今回は2012年6月のリリースによって発表されたLinux向けコマンドラインツールより、Windows Azure Webサイトを利用する方法について解説します。
対象読者
今回の対象読者は下記のとおりです。
- Linuxに関する知識がある
- 簡単なWindows Azureの知識がある
必要な環境
- Windows Azureサブスクリプション
- Linuxコマンドラインツール
Linux/Mac OS向けコマンドラインツールとは
2012年6月に多くの新機能がリリースされ、Windows Azure Webサイトや新しい仮想マシン(IaaS)によるLinuxサポートなどが実装されましたが、これらの新しいサービスを管理するためのコマンドラインツールも同時にリリースされています。従来のPowerShellベースのコマンドラインツールでは、動作環境がWindowsに限定されていましたが、今回リリースされたコマンドラインツールではLinuxはもちろん、Mac OS、Windowsでも動作します。これにより、各環境よりシームレスにWindows Azureを管理できるようになりました。
このコマンドラインツールには大きく、Webサイトの管理、仮想マシンの管理の2つの機能がサポートされています。ただし、PowerShellのようにクラウドサービス(旧名ホステッドサービス)の管理機能はサポートされていません。
本稿ではコマンドラインツールを用いたWebサイトの作成とアプリケーションの配置について解説します。
コマンドラインツールの準備
はじめにコマンドラインツールの準備をします。
Node.jsのインストール
コマンドラインツールはNode.jsで実装されているため、あらかじめNode.jsのインストールが必要です。Node.jsのインストールは各ディストリビューションの作法に従ってください。ただしコマンドラインツールは依存するパッケージの都合上v0.6.15以降を必要とします。ディストリビューションの中には、既定でインストールされているものが古い可能性があります。各ディストリビューションのパッケージマネージャーへの対応は以下を参照してください。
・「Installing Node.js via package manager」
参考までにUbuntu Linux 12.04で最新のNode.jsのインストール例を示します(リスト1)。パッケージマネージャーが参照するリポジトリ先を追加し、aptコマンドでnodejsとnpmパッケージをインストールしています。以下の例では、最新の安定版であるv0.8系がインストールされます。
~$ sudo apt-get install python-software-properties ... リポジトリ追加に必要なパッケージインストール ~$ sudo add-apt-repository ppa:chris-lea/node.js ... パッケージ取得先リポジトリの追加 ~$ sudo apt-get update ... リポジトリ情報の更新 ~$ sudo apt-get install nodejs npm ... Node.jsとnpmのインストール
コマンドラインツールのインストール
コマンドラインツール本体はNode.jsのパッケージマネージャーであるnpmコマンドからインストールできます(リスト2)。マイクロソフトのダウンロードサイトからは別途tar形式配布物も入手可能です。
~$ sudo npm install -g azure ... コマンドラインツールのインストール ... ~$ which azure ... azureコマンドの確認 /usr/bin/azure
npmコマンドに-gを付けることでシステム共通な場所にインストールされます。whichコマンドでパスが通っていることを確認できれば問題ありません。azureコマンドを引数なしで実行し、図1の画面が表示されれば正しくインストールされているでしょう。