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近未来の技術トレンドを先取り! 「Tech-Sketch」出張所

Kinectを利用した簡単3Dモデル作成と3Dモデル活用法

近未来の技術トレンドを先取り! 「Tech-Sketch」出張所 第4回


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KScan3D,Artecとの比較

 本稿では、Kinect Fusionを利用した3Dスキャンとブラウザでの表示を実施しました。最初に触れましたが、Kinectを使った3Dスキャンをするアプリケーションは他にもいくつか存在します。そこで、当社で検証した3Dスキャンの比較結果を簡単にまとめてみました。

比較対象 Kinect Fusion Kscan3D Artec Studio
モデル作成にかかる労力 少ない 多い 多い
出力フォーマット .obj, .stl .ply,.obj,.stl,.fbx.,3d3,.asc .ply,.obj,.stl,.wrl,.asc,.aop,.ptx
テクスチャの出力 × △(※1
Veltex Colorの出力 ×
価格 無料 $299 USD(※2 € 500(※2
要求仕様(PCのスペック) 高い(参考 普通(参考 高い(参考
※1

 合成する前の3Dモデルであればテクスチャの出力が可能。

※2

 KScan3D、Artec Studioともに試用版があります。試用版では作成した3Dモデルを出力できません。

 使ってみた感覚は以下のとおりです。

Kinect Fusion サンプルを動かせばすぐに3Dモデルが作れる。ただし、色は取れない。また、高精度のモデルを作ろうと思うとちょっと厳しい。データの修正/加工をしようと思うと3Dモデリングツールの知識が必要。ソースコードが公開されており、Kinect Fusionのエンジンを利用した独自のアプリケーションを構築できるので、Kinectをハックしていろいろと遊びたいならいい感じ。ただし、高スペックなPCとグラフィックカードが必要。
KScan3D ハイスペックなPCを要求されない。写真を取るようにして重ね合わせていくため、作成に時間がかかるのと、重畳がうまくいかなくなると職人芸が必要になる。KScan3Dの機能で3Dモデルのデータ量を減らしたりできる。また、Vertex Colorであれば色も出力できるので便利。
ArtecStudio テクスチャを自動生成してくれるような高級な機能がたくさんある。ただし、高スペックなPCやグラフィックカードが必要なことに加えて、Artec Studioに慣れるまでかなり時間がかかる。

 というわけで、2013年6月の時点では「簡単に試してみたい場合はKinect Fusion」「あまり高スペックなPCを持っていない場合はKScan3D」「テクスチャの自動生成も欲しい場合はArtec Studio」という感じでした。そのため、Kinect Fusionのサンプルでは機能が足りない場合(例えばテクスチャや色も同時に取得したい場合)は、Kinect Fusionを使って新たなアプリケーションを開発するか、有償のアプリケーションの購入を検討することになるのではないかと思います。

Kinect Fusionを使った応用例

 今回はサンプルアプリを利用して3Dモデルを作成しましたが、Kinect Fusionのエンジンを利用してサンプルアプリにない機能を持ったアプリケーションを新たに作成することも可能です。その場合、サンプルアプリケーションの中の「Kinect Fusion Basics-D2D」や「Kinect Fusion Basics-WPF」などシンプルな構成になっているので参考になると思います。

 また、Microsoft Researchでは、Kinect Fusionを使った動画があがっています。

 上記リンク先の動画では、作成した3Dモデルに色をつけるようなサンプルや現実世界の物体から3Dモデルを作成するだけでなく、作成した3Dモデル空間上でリアルタイムに絵を書いたり物理シミュレーションを実施するなど、とても面白い取り組みが紹介されています。このようにKinect Fusionを使うことで3Dモデルの作成はもとより、他にもいろいろなことが実現できるようになります。

おわりに

 今回は、Kinect Fusionを用いて3Dスキャンを実施し、作成した3DモデルをWebブラウザで表示しました。今回紹介したKinect Fusionや、KScan3D、Artec Studioを使うことで今までは敷居の高かった3Dモデル作成を「誰でも」「簡単に」、しかも「安価で」作れる時代が到来しつつあることが実感していただければ幸いです。

 次回は、オープンソースのワークフローエンジン「Activiti」について、機能を紹介します。また、Activiti付属のサンプルアプリケーションを用いて、”使い方のポイント”をソースコードレベルで解説します。

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この記事の著者

藤田 泰生(TIS株式会社)(フジタ ヤスオ)

TIS株式会社 コーポレート本部 戦略技術センター所属。入社から全文検索やCMS等検索技術やフロントエンド側の業務に従事。現在はHTML5やJavaScriptに関する技術動向の調査を行っている。 また、KinectなどのデバイスやIOTに必要な技術であるセンサーに関する検証も実施している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/7183 2013/07/17 16:23

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