ゲーム開発において波は乗るのではなく起こすもの
座右の銘として「波は乗るのではなく、波は起こすもの」を掲げる森下氏は、ネイティブアプリが流行ってきているからその波に乗るといった考え方に異を唱える。世の中のユーザーにとって、ブラウザなのかネイティブなのかはどうでもいいこと。パズドラをネイティブアプリにしたのは、求める表現を実現できる選択肢が他になかっただけ、という。
また、趣味のサーフィンにおける「最初に波のピークに乗ったサーファーしか、その波に乗れないというマナー」を引き合いに出し、外的要因による着想には否定的で、あくまで自分の創りたいものを考える。その内容に応じて適切な開発手法やプラットフォームを選択する。と、自身の発想を縮める必要がないことを論じた。
「旧産業中央…… 旧東京第一…… そんなものは知った事ではありません!!!」をアレンジ
「ガンホーでは御前会議はない、御前会議ほど無駄なものはない」と企画に対し積極性を示す森下氏は、ボツになった企画を一つも捨てない。タイミングや展開次第でいつか他で活かせるかもしれない、宝の山だと述べた。
「この世に無駄な研究なんかはない」をアレンジ
新規オリジナルタイトルについて森下氏は、「事業計画は本当に要らない。開発者にとって無駄な時間だと思う。はっきり言って絵に描いた餅、空論にすぎないし、そんな暇があったら少しでも開発にリソースを回したほうがいい」と語気を強めた。もちろん自身も会社を経営する身であり、行き過ぎた発言であることは断りつつも、「自分がいけると思っているのか。心から作りたいと思っているのかが大事。お役所的になるべからず」と熱く語った。ここまでで講演時間の半分近くを費やしており、森下氏の企画、ひいてはゲーム制作に対する想いは深い。
「さっきから、都合のいいことばかり書いてんじゃねーぞ! 記録!」をアレンジ
徹底してゲームの核と最終イメージを磨き上げる
続いて、企画をどう現実に落とし込むかという「開発」について。ここでも森下氏は、「お互いをリスペクトしてチームを創る」ことの重要性を第一に挙げ、次にゲームの核と最終イメージを徹底的に練り上げる方針を示した。
当然のように思えるが意外とやられていないと述べた上で、ガンホーではテレビ番組をもじり、午後10時までに仕様が決まるまで帰れま10(テン)、という会議をどんなゲームタイトルに対しても行っていることを明かした。ゲームサイクルをイメージ化し、ゲームリソースを分解して、もう一度矛盾がないか確認する。安易にゲームリソースを追加する行為は危険でゲームサイクルに亀裂が入ることを指摘した。
具体的には、継続的なプレイを促進するエコシステム、修練度と偶発性のバランスを練り込んでいく。特に、リソースを追加したらゲーム全体にどう影響するかというマクロの視点で、システム全体を常を俯瞰することは大事で、全員が個別の役割だけでなく最終イメージを頭に入れておく必要がある。
これに有益なのがプロトタイプ。一般に、本開発のための承認プロセスの一環と位置づけられがちだが、ガンホーでは開発メンバーがゲームの最終イメージを共有するためのものだと考えている。
「刑事なら、目的地くらい頭に入れておくべきだ」をアレンジ
その他にも、「気になる箇所は放置しない」「政治的理由で妥協はしない」「誰かがやってくれると思わない」と、主体的な行動かつ妥協しない心構えの重要性を示した。
「気になる、というのは知的好奇心が刺激されていることを意味する。好奇心を放置しておくことは罪悪だ」をアレンジ
