本稿は、連載『5分でわかるActiveReports帳票(2007年度版)』(渡辺俊史・宮本奈紗 著)の増補改訂版です。
対象読者
- Visual Basic.NETまたはVisual C#を使ってプログラムを作ったことのある方
- 帳票作成ツールに興味のある方
必要な環境
-
Visual Studio 2008 SP1/2010/2012のいずれかでプログラムが作れる環境
(Express EditionではActiveReportsをインストールできません)
本記事のサンプルコードは、C#/Visual Basic 2012で記述しています。
グループ化・集計
ActiveReportsが提供する集計機能を利用すると、データソースやSQLの構造を複雑にすることなくデータの総合計やグループごとの小計、ページ数といった集計データを簡単に表示させることができます。ここでは、そうしたデータを集計して表示する帳票を作成します。
グループ化したレポート
今回作成する帳票は、お店の注文伝票を注文日付・注文番号ごとに、一覧化・集計した「注文表」です。
データベースは前回と同じく、ActiveReports 7.0J付属のNwind.mdbを使用し、注文伝票(Orders)、注文伝票明細(Order Details)、商品(Products)の3テーブルにアクセスします。
SELECT Orders.OrderDate, Orders.OrderID, Products.ProductID, Products.ProductName, Round([Order Details].UnitPrice, 0) As UnitPrice, [Order Details].Quantity, [Order Details].Discount, Round(Round([Order Details].UnitPrice,0) * [Quantity] * (1 - [Discount]), 0) AS Price FROM Orders INNER JOIN (Products INNER JOIN [Order Details] ON Products.ProductID = [Order Details].ProductID) ON Orders.OrderID = [Order Details].OrderID ORDER BY Orders.OrderDate, Orders.OrderID,Products.ProductID ;
グループ
帳票では、同じデータが続く行のまとまりを「グループ」として扱います。グループの中にさらにグループを入れ子にすることもできます。
データテーブルに「フィールド1」と「フィールド2」が定義されているとします。外側のグループが「フィールド1」をもとにグループ化されるように設定した場合、下図「データのグループ化」のデータソース図の左側の赤字のようにグループ分けがされます。一方、内側のグループが「フィールド2」をもとにグループ化されるように設定した場合、データソース図の右側の青じのようにグループ分けがされます。「フィールド2」の20や30のように同じ値が並んでいても、外側のグループが別のグループになれば内側のグループも別のグループになることに注意してください。
セクションレポートでは、デザイナ画面上で「グループヘッダ/フッタ」のセクションを追加することによってグループを配置します。グループヘッダセクションはグループの最初に表示され、グループフッタセクションはグループの最後に表示されることになります(表示させないことも可能です)。
グループヘッダセクションのDataFieldプロパティにフィールド名を設定することで、グループ化の基準となるフィールドを指定します。
なお、グループ化が正しく働くためには、出力するデータをあらかじめグループ化したい順番に整列させておく必要があります。上記のSQL文では、ORDER BY句でデータを整列させています。
今回は、「注文日付」「注文番号」ごとにグループ化を行うので、グループヘッダ/フッタを2重に追加し、外側のグループヘッダのDataFieldプロパティに「OrderDate(注文日付)」、内側のグループヘッダのDataFieldプロパティに「OrderID(注文番号)」を設定します。また、内側のグループヘッダのUnderlayNextプロパティをTrueに設定します。
コントロールの追加
次に、ツールボックスからコントロールをドロップして、帳票レイアウトに貼り付けていきます。帳票タイトルなどの固定値表示や集計のないデータ項目表示はLabelコントロールとTextBoxコントロールのどちらを使用しても構いませんが、Labelコントロールは集計設定のためのSummaryプロパティを持たないため、集計値の表示欄にはTextBoxコントロールを使う必要があります。
今回集計値を表示するのは、以下4か所です。
- PageHeader1右上のページ番号と総ページ数
- その下の価格総計表示
- GroupFooter2の「注文小計」
- GroupFooter1の「当日小計」