SoftLayerにより、海外展開においてもサービス品質を維持しつつ
「撤退しやすく成功時にはそのまま拡張も行える」サービスを実現
――DATAHOTEL for App.にSoftLayerを利用するに至った背景や経緯について教えてください。
冨成氏:DATAHOTEL for App.は、対コストのパフォーマンスにこだわっているので、データセンターも国内でかつ自社のリソースでのサービスを基本に展開していました。また、サーバも仮想化されたものだけでなく実機によるホスティングにもこだわっています。
しかし近年、ソーシャルアプリやゲームなどの海外進出の事例が増え、レイテンシの問題から現地サーバでの運営のニーズが高まってきています。具体的には北米や東南アジアのユーザーに自社のゲームやアプリを展開したい場合、日本のサーバだけで運用していると、国や回線の条件によって反応が遅れたりパフォーマンスがでないことがあります。ゲームなどはレスポンスが重要なものもありますから、この点は重要です。
低コストで実機サーバのパフォーマンスも得られるDATAHOTEL for App.の特徴を生かしながら、企業の海外展開のニーズを満たすため、自社のデータセンターを海外に展開するのは、膨大な投資が必要なのであまり現実的ではありません。SoftLayerのデータセンターは、北米、EU、東南アジアとグローバルに展開していて、かつ実機サーバによるホスティング基盤を提供しており、弊社の戦略やポリシーとも一致していたので導入しました。
DATAHOTEL for App.で海外展開するお客様は、現在SoftLayerの基盤により海外サーバでのサービス提供を選択できるようになっています。
――DATAHOTEL for App.のサービスでSoftLayerの基盤を使うことによる利用者のメリットはどんなところにありますか。
冨成氏:仮想サーバと実機サーバを統合された環境で使える点(補足1)は、機能テストやサービスの初期段階をスモールスタートで行い、性能テストや本運用時に実機サーバに簡単に切り替えることができます。このとき、テスト中は無料試用期間を利用してサービスイン時にDATAHOTEL for App.の課金が開始されるような使い方も可能です。このようなメリットに加え、SoftLayerならではのストレージサービス、信頼性の高いネットワーク回線、マネージドサービスといった機能を利用できます。
他にも、サーバ構成などデザインテンプレートの適用範囲が広いという特徴もあります。IaaSの種類によっては、仮想化サーバ構成などの自由度があまりないサービスもありますが、仮想サーバと実機サーバのハイブリッド環境を提供し、システム設計やサービス企画の段階からかかわることの多い弊社のマネージドサービスの場合、柔軟な構成が可能です。
SoftLayerは、「Flex Images」という技術によって物理環境/仮想環境間をシームレスに移行でき、柔軟なシステム構成を取れる特長がある。
他社サービスの導入がもたらした、自社サービス開発との相乗効果
――最後に、今後の課題や抱負、あるいはSoftLayerに対する希望などあれば教えてください。
冨成氏:ローカライズという点で細かい希望はありますが、SoftLayerのサポートは24時間体制で対応が早いので、とても役立っています。質問や問い合わせに対して翌日までには回答が得られます。また、IBMのエンジニアも技術的な質問や相談などにきちんと答えてくれています。
現状でゲームやアプリベンダーの利用者が多いと言いましたが、DATAHOTEL for App.やSoftLayerの用途はもっと広いので、今後は業務システムなどへの利用を広げたいと思っています。海外のデータセンターということを活かしてディザスタリカバリ(DR)への応用などもアピールしていきたいですね。例えば、災害などによって、国内のサーバやデータセンターがダウンした場合、海外のサーバにバックアップイメージをリストアして、すぐにサービスを再開するといった使い方です。
今回、ホスティングに外部のサービスを導入したことになるのですが、他社のサービスやシステムに触れることで、自社の既存サービスを見直したりと社内的にはいい刺激になっています。この動きを広げて、SoftLayerの機能と自社機能をもっと連携させて、サービスを拡張できたらよいと思っています。
――本日はどうもありがとうございました。