はじめに
最近の関数型言語ブームの中で、高い生産性と高い品質を誇る言語であると注目を浴びているのが「Scala」です。今回は、このScalaのWebアプリケーションフレームワークである「Play Framework」(以下、Play2)について紹介します。
「Scala」はTwitterやLinkedInなどのサービスで利用されており、2013年は日本で初めてScalaに特化した大規模なカンファレンスが開かれたり、さまざまな情報媒体で取り上げられたりと、ここ1、2年で急激に人気が高まっているのではないでしょうか。
Play2はJVM上で動作し、これまでのJavaで開発するエンタープライズアプリケーションで多く採用されたサーブレットやJSPのアーキテクチャを採用せず、独自のMVCモデルのアーキテクチャを持っており、スケールアウトしやすい構造になっています。
本連載では、開発者にもフレンドリーだと言われるPlay2がどのようなものかを具体例を交えつつ紹介していきます。第1回目は環境構築とスタートアップアプリケーションを紹介し、次回以降は簡単なCRUDアプリケーションの開発方法や、Webアプリケーション、特にエンタープライズアプリケーションの開発における実践的なTipsを紹介していく予定です。
準備に必要なのはJavaとPlayとIDEだけです。IDEとしてはEclipseを使った開発方法を中心に紹介することにします。
マシンスペックによってはレスポンスの遅さは否めませんが、今後改善されていくことを期待して、今回は無償で使えるEclipseを選択しました。
Play2のインストール
インストールするソフトウェアとバージョンは以下のとおりです。OSはWindows 7を使用します。
ソフトウェア | バージョンなど |
---|---|
Play2 | 2.2.1 |
Java | 1.7.0_25 |
Eclipse | Pleiades All in One 4.3.1/32bit/Full Edition(Java版) |
「Eclipse」→「Java」→「Play2」の順にインストールします。
(1)Eclipseのインストール
今回はEclipseの日本語化パッケージである「Pleiades All in One」を使用します。執筆時点での最新バージョンである4.3(Kepler)のJava版「Full Edition」を使用することにします。
下記サイトからダウンロードし、任意のディレクトリへ展開します。筆者は「C:\pleiades」となるよう展開しました。
(2)Javaのインストール
JavaはJDK 6以上が必要なので、(1)でインストールしたPleiadesに同梱されているJava 7を使用することにします。「C:\pleiades\java\7\bin」をパスに追加するだけでOKです。
(3)Play2のインストール
執筆時点での最新バージョン2.2.1を使用します。Play2のインストールは、ダウンロードサイトから取得し任意のディレクトリに展開するだけでOKです。別途Scalaをインストールする必要もありません。
筆者は「C:\pleiades\play\2.2.1」となるよう展開しました。こちらもパスに設定後、「play」コマンドが利用できることを確認しておきましょう。
これだけでPlay2を利用することができます。
プロキシの設定
お使いのインターネット環境がプロキシ経由の場合は、プロキシの設定が必要です。「build.bat」に記述されているjavaコマンドに、以下のオプションを追加しておきましょう。Playコマンドでビルドする際に必要なライブラリをインターネット経由でダウンロードしますが、この設定によりプロキシ経由でダウンロードすることができます。
-Dhttp.proxyHost=<プロキシホスト名> -Dhttp.proxyPort=<プロキシポート番号>
Play2のバージョンを変更する際に毎回追加するのが面倒だという場合は、「HTTP_PROXY=http://<プロキシホスト名>:<プロキシポート番号>」を環境変数に追加するだけでもOKです。