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今さら聞けない! Amazon Web Servicesによるクラウド超入門

業務でAmazon Web Services(AWS)を使い始める前に知っておきたいクラウドの基本のキ

今さら聞けない! Amazon Web Servicesによるクラウド超入門 第1回


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企業が持つデータセンターの問題点

 これらのデータセンターを企業が保有する場合、多額の建設費用がかかるだけでなく、維持管理にも莫大な費用が必要です。

 例えば、サーバや空調を動かすための電気代、ネットワークの通信料、サーバの保守費用、インフラ/運用エンジニアの人件費などです。これらの多くは、システム利用の多い少ないにかかわらず、決まった額の費用(固定費)がかかり、企業にとって、経営を圧迫する要因の一つにもなります。

 また企業の多くは、データセンターに設置したサーバのリソースをフル活用できているわけではありません。

 具体的に説明するため、銀行でお金の預け入れを行うシステムを例に考えてみましょう。多くの一般企業では、五十日(ごとおび)と呼ばれる、5で割り切れる日および月末日に決済を行います。そのため、30日は多くの企業の給料日が重なるのでATMが長蛇の列で混雑しますが、28日や29日は、比較的空いています。

システム利用者とシステム負荷の例(オンプレミスの場合)
システム利用者とシステム負荷の例(オンプレミスの場合)

 銀行にとって基幹業務システムであるATMの停止は、大変なダメージになります。そのため、たとえリソースに無駄な日があっても、ピーク時の負荷に耐えうるシステム基盤を用意する必要があります。

 このように、企業はシステムを「保有」する形で長年運用してきましたが、経営者の多くは、もっと効率よくシステムを「利用」できないかと考えるようになりました。

クラウドシステムって?

 システムを「保有」するのではなく、必要に応じてシステムの「利用」ができないかという要望に応じて出てきたシステムの利用形態の一つが「クラウド」です。

クラウドの概要

 クラウドとは、ネットワーク上にあるさまざまなサービスを、必要に応じて利用するシステム形態のことを指します。ここで、企業システムのシステム構成を理解するうえで、重要な3つの形態について整理します。

オンプレミス(on-premises)

 企業システムでこれまで多く採用されてきた、自社でデータセンターを保有してシステム構築から運用までを行う形態を「オンプレミス」と呼びます。メインフレームの時代からWebシステムに至るまで、数多くの企業で採用されてきた形態です。

オンプレミスの例
オンプレミスの例
パブリッククラウド(public cloud)

 インターネットを介して不特定多数に提供されるクラウドサービスです。データセンターを保有しないので、初期投資が不要です。利用したいサービスを選んで、利用した分だけ料金を支払うシステム形態をとります。提供するサービスによって、IaaS/PaaS/SaaSなどがあります。

パブリッククラウドの例
パブリッククラウドの例
プライベートクラウド(private cloud)

 特定の企業グループのみに提供されるクラウドサービスです。例えば、グループ企業内などでデータセンターを共同保有するようなイメージです。パブリッククラウドが不特定多数に対して提供されているのに対し、利用者を限定できるのでセキュリティが担保しやすかったり、独自の機能やサービスを追加しやすかったりします。オンプレミスとバブリッククラウドの中間にあるような位置づけです。

プライベートクラウドの例
プライベートクラウドの例

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 阿佐 志保(アサ シホ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

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