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今さら聞けない! Amazon Web Servicesによるクラウド超入門

業務でAmazon Web Services(AWS)を使い始める前に知っておきたいクラウドの基本のキ

今さら聞けない! Amazon Web Servicesによるクラウド超入門 第1回


クラウドのサービス(IaaS/PaaS/SaaS)

 クラウドは、ネットワーク経由で企業にシステムをサービスとして提供しているということを説明しましたが、具体的にはどのようなサービスでしょうか?

 クラウドが提供する代表的なサービスは、提供するサービスレイヤーごとに次のようなものがあります。

IaaS/PaaS/SaaS
IaaS/PaaS/SaaS
IaaS(Infrastructure as a Service)

 サーバやOS/ネットワークなどを提供するサービスです。データを保存する領域も提供します。サーバのスペック/データ容量はもちろん、信頼性/可用性などで利用料金が決まります。システムの要件に応じてこれらのサービスを選んで、組み合わせて使うことができます。

 本連載では、このIaaSのサービスを中心に説明していきます。

PaaS(Platform as a Service)

 ハードウエアに加えて、開発環境などミドルウエアをまとめて提供します。開発に必要なライブラリはもちろん、本番環境へのデプロイからサーバの監視を自動で行う機能まで提供しているものもあります。このサービスを利用すると、開発者はプログラミングに注力できるのが特徴です。

SaaS(Software as a Service)

 すでに出来上がった機能をサービスとして提供します。クラウドベンダーが提供するシステムをWeb経由でそのまま利用します。ユーザはシステムを一から開発する必要がないので、要件に合致するサービスがあればかなり速いスピードでシステムを利用できるのが特徴です。

 このほかにも、企業システムで利用するクライアント端末の機能を提供するDaaS(Desktop as a Service)なども大きな注目を集めています。

 クラウドを導入すると、企業はシステムを資産として持たないため、初期投資を抑えることができます。また、すでにあるシステムを利用しますので、システム構築にかかる時間が劇的に短くなります。そして、システムの負荷に応じてサーバのスペックや構成を臨機応変に変更できるため、リソースを無駄なく使うことが可能です。

システム利用者とシステム負荷の例(クラウドにおけるオートスケール機能の場合)
システム利用者とシステム負荷の例(クラウドにおけるオートスケール機能の場合)

代表的なパブリッククラウドサービス

 ここでは、代表的なパブリッククラウドサービスをいくつか紹介します。

Amazon Web Servives(AWS)

 米Amazonが提供するクラウドサービスで、2002年からサービスを開始しています。東京にもデータセンターがあり、大規模システムや基幹業務システムでの実績が数多くあります。AWSは、提供サービスの数が豊富であるのが特徴です。

Microsoft Windows Azure

 米Microsoftが提供するクラウドサービスで、2010年からサービスを開始しています。現行の企業システムで多く使われているMicrosoft技術との親和性が高いのが特徴です。2014年2月には日本のデータセンターが開設され、今後の動向に注目しています。

クラウドは万能か?

 クラウドを使うと、初期投資を抑え無駄のないシステムを短期間で構築できるという大きなメリットがありますが、デメリットもあります。

 ここでは、クラウドに向いていないケースをいくつかご紹介します。

高い可用性が求められる

 システムの可用性は、クラウドベンダーが保障しています。99.9%の可用性であっても、ネットワークの瞬断が許されないシステムでは本番運用できません。

機密性の高いデータを扱う

 データの厳密な保存場所は、クラウドベンダーが決めます。例えばAWSの場合、データセンターの所在地は非公開で、クラウドを利用するユーザはデータの保管場所を知ることができません。そのため、物理的な保管場所を明確にする必要のあるデータは、クラウド上には保管できません。

特殊な要件がある

 汎用的ではないデバイスや、特殊なプラットフォームでしか動かないシステムを構築/移行する必要がある場合、クラウドベンダーが対応していなければ利用できません。

トータルコストが高くなる

 長期間にわたって多くのユーザが頻繁に使うシステムでは、ユーザごとにシステム利用が課金される場合、トータルとしてシステム投資が高くなってしまうことがあります。そのときは、初期投資が多少かかってもオンプレミスで構築したほうが、経済的です。

 既存システムからの移行を考える場合は、どのシステムをオンプレミスで残し、どのシステムをクラウドに移行するか、また新システムの導入を考えるときは、オンプレミスとクラウドではどちらが適しているのかを見極める目が重要になります。

 筆者は、すべての企業システムがクラウド上で稼働するのは難しいと考えています。ということは、クラウドとオンプレミスの混在環境でシステムを運用しなければならない場合もあります。

 複数の技術要素の混在環境や、他システムとの連携があるインフラ基盤の構築/運用は難易度が高く、クラウドを利用するといえども、豊富な経験や高度な知識を持つインフラエンジニアが必要になってくるのはいうまでもありません。これらのことを踏まえ、システム全体を俯瞰的に考えて、インフラ設計/構築していくことが重要です。

おわりに

 今回の記事では、企業システムを支えるシステム基盤についてのおさらいとクラウドシステムの概要を紹介しました。

 次回以降の記事では、Amazon社が提供するクラウドサービスであるAWSの概要と主要なサービスを紹介します。また、AWSが提供するIaaSの主要サービスであるEC2についても触れていきます。EC2の持つサーバ機能の概要や、実際にEC2を使ってLinuxサーバを構築する手順、負荷分散システムを構築するポイントを説明します。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるLaravel実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 阿佐 志保(アサ シホ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。 2026年時点での登録メンバは約50名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

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