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【デブサミ2015】セッションレポート

【デブサミ2015】19-D-1 レポート
日本マイクロソフト 最新技術責任者が語る、秘蔵の最新研究成果とこれからの技術トレンド

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 現在、マイクロソフトはこれまでにない大きな変化を次々と見せてきている。「モバイルファースト、クラウドファースト」 を中心に、IoT 向け、モバイル向けのWindowsの無償化、Office for iOS/Androidのリリース、.NETテクノロジーのオープンソース化などだ。マイクロソフト在籍26年の加治佐俊一氏の本セッションでは、マイクロソフトの研究開発部門の最新の研究成果が披露され、その技術トレンドと目指す方向性を通じ、どういったものを生み出そうとしているのか、どのような潮流を作ろうとしているのかが示された。

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マイクロソフトディベロップメント株式会社 代表取締役社長
日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐 俊一氏
マイクロソフトディベロップメント株式会社 代表取締役社長 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐 俊一氏

モバイルファースト、クラウドファーストをアジャイル開発で加速

 2014年2月、サティア・ナデラがマイクロソフトのCEOに就任し、「モバイルファースト、クラウドファースト」を中心に、次々と新たな動きを見せている。

 マイクロソフトの研究開発部門の中で、OSやアプリケーション、ソリューション、クラウド、デバイスなどの製品やサービスの開発に関わる部門は5つに分かれ、全世界で約3万人が在籍している。加えて3年以上先に製品になるかもしれないような、基礎研究を行っている部門が2つある。ヒューマンインターフェースからビッグデータまで、非常に幅広い研究をしており、その成果がどんどん製品の中に反映されている状況だ。

開発モデルと方向性
開発モデルと方向性

 マイクロソフトにおける製品、サービスの開発手法は、ここ数年で劇的に変わった。Windows 8までの開発はOfficeも含め、3年ごとにリリースしていた。それが今、すべてアジャイル開発に移行している。

 現在Windows 10がTech Previewという形で出ているが、ほぼ毎月アップデートされている。ユーザーがどう使っているかなどのデータを製品開発に生かしながら、この作業は正式リリースまで続けられる。

 パートナーシップということでは、従来では手を組まなかったところとも、マイクロソフトのクラウドをベースにしながらパートナーシップを築いている。

 オープンソースとの連携は、マルチプラットフォームにも関連するが、それ以上にデバイス、クラウドの世界で連携を深めている。マイクロソフト オープンテクノロジーズという別会社を作り、オープンソースと連携する場合に起こりうる知的財産権に関わる問題を、クリアしながら進めているところだ。

 またクラウドサービスを信頼できるものにするためには、サイバーセキュリティ、データプライバシー、コンプライアンス、透明性がキーワードとなる。

 その中でデータプライバシーに関しては、設計時からプライバシーを重視し、広告目的ではなく、より良いサービスを提供するためだけにユーザーの情報を利用する。また業界標準と組織のコンプライアンスに対してのコミットメントも重視している。

 クラウドの使い道としてこれから重要になっていくのは、あらゆるものがインターネットに繋がるIoTだ。2020年には300億台のデバイス、センサーが接続されるといわれているが、マイクロソフトは既存のIT資産から始めている。現在接続可能なものをクラウド上でセキュアに繋ぎ、データの解析などを串刺しで行えるようして価値を生む。それを一旦やりながら、順次繋げるものを増やしていく、という戦略だ。

 機械学習(ML)については、検索エンジンのBingやXboxのKinectなどで、性能、機能、ユーザー体験の向上のために活用されている。同時にその経験、技術をAzure MLというサービスとして外部に提供している。この分野は動きが激しく、数多くのスタートアップ、ベンチャーが生まれている状況だ。

 さらにマルチプラットフォームに関しては、Windowsだけでなく、iOS、Androidに対してもサポートを広げている。

 マイクロソフトが重要と考えている技術の中でキーになるのは、データがあるクラウドだ。現在、200以上のサービスがあり、毎年倍以上のペースでリソースを増やしている。その中で開発環境として非常に重要なのがAzureである。これもアジャイル開発で、すごい勢いで機能が追加されている。世界中で19のデータセンターが稼働しており、日本では震災への備えという意味もあり、東西に分かれて設置されている。

 続けて加治佐氏が紹介したのは、ナチュラル・ユーザー・インターフェース開発への取り組みだ。ゲーム機Xbox 360を身体の動きや音声で操作するKinectが、Windowsでも使えるようになった。本セッションではデモムービーが披露され、リアルタイムで指の動きを認識し、画面上に表示するHandposeや、室内に様々なバーチャルアイテムを映し、人間の動きを検知して立体モグラ叩きなどを可能にするRoomAliveが紹介された。

 それらの先にあるものとして今年1月に発表されたのが、Microsoft HoloLensになる。メガネ型のデバイスで、視界に3D映像を重ねて表示するというものだ。振動センサーがついていて、ユーザーの動きに応じて色々なことが出来る。まだ詳細は公開されていないが、Windows 10ベースのホログラム技術により、HoloLens単独で機能するので、操作にスマホやコントローラーなどのデバイスが不要となる。

 またIoTという視点でも人気のシングルボードコンピュータRaspberry Pi 2に、Windows 10が無償提供されることも紹介された。

2020年を見据え、新たな技術とその利用環境の開発を加速

 続けて語られたのは、開発プラットフォームの話題だ。Visual StudioではWindowsに加え、iOS、Androidの開発ができる。中小・中堅企業やオープンソースの開発者であれば、プロフェッショナル版相当のVisual Studio Community 2013を無償で使用可能だ。

 Androidのアプリの開発では、エミュレーターが完全にOSの中で動いているので、非常に安定している。モバイル機器で重要なバッテリーのコントロールの設定も、ディスプレイとは別のパネルからできるようになっている。

 また開発者の支援ということでは、学生、スタートアップ、アプリ開発者それぞれに向けたプログラムが用意されている。

 併せて東京の大手町にあるマイクロソフト・イノベーション・センターでは、C#の入門という基礎的な講座から非常に実践的な講座まで、色々なトレーニングコースが無償提供されている。

 以上の様にマイクロソフトでは、革新のための重要技術を開発し、その利用の機会を提供している。それを誰が活用するのかといえば、開発者だ。

 デバイスの技術、クラウドの技術などをすべて一人で活用することは難しいが、それぞれの分野が得意な人で社内外でうまく連携すれば、すばらしい製品、サービスが生まれていくと期待できる。

 2020年を見通すと、多額のお金が動き、技術にも大きな期待が高まっている。加治佐氏は最後に「今ある技術も進んでいくが、それを加速させる面白いリューションを出すには良い時期だと言える。マイクロソフトも開発者の皆さんと一緒に、2020年に向けた新たなものを作りやすいようにしていきたいと思う」と語り、セッションを閉じた。

2020年に向けた技術
2020年に向けた技術
修正履歴

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https://codezine.jp/article/detail/8547 2015/06/15 13:56

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