クラウドの所有か? 利用か? それが問題だ
海外カンファレンスでのNetfilix社の発表によれば、サービス向けシステム基盤変更の動機として、コストとシステム性能という2つの大きな要素が見てとれます(図4)。
図示しているため、すべての項目を列記することは避けますが、2年半でCPU性能が倍増する我々のIT業界では、システム老朽化や故障・入れ替え・更新などにより確実に定期的に起こり得る作業を簡素化したいという気持ちは常にあります。
ここにサービス向けシステム基盤を利用モデルに切り替えるという方針に至る動機の中に、彼らなりの面白い視点が1つあります。それは、「クラウド事業者での低価格競争」により「常に最新で高性能なコンピューティング資源が安価に手に入れられる」というものです。このような観点も「クラウド使い」たるスタートアップ企業にとっては、極めて重要な意思決定の一要素といえるのでしょう。
こちらも再掲載ですが、サーバー、ネットワーク、ストレージという要素が組み合わさってクラウドコンピューティングのようなサービスが提供されます。USENIX LISA2014で発表された「1万台のコモディティ製品のサーバーが年間で障害に見舞われる割合」でも明確に数値化されましたが、コンピューターは必ず「壊れる」し「停止する」ものなのです(図5)。
加えて、こちらも再掲載ですが、普通の企業であれば到底持つことができない数のサーバを保有管理しているクラウド事業者であれば、システム老朽化や故障・入れ替え・更新などは日常業務なので、やはり得意分野は専門の事業者に任せておいたほうが楽ともいます(図6)。
プライベートクラウド、パブリッククラウド、サーバー仮想化、データセンターの利用など、コンピューティング資源の利用という選択肢はさまざまありますが、根底には「システム老朽化や故障・入れ替え・更新などは日常業務としている企業」と同じことを、スタートアップ企業が行うというのは、やはり経済性という観点で「もったいない」という気持ちになります。だからこそ、Netfilix社の場合には「保有」ではなく「利用」というモデルに転換していったのでしょう。



![図6. Amazon Web Servicesが保有する19"ラック保有数(推定)[2012年]](http://cz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/8649/8649_06_s.gif)