第2章 Zend Server 8 英語版のインストール
Zend Server 8 英語版は、パッケージとして非常に簡単にインストールすることができます。より、スムーズにインストールするためのポイントを解説します。
インストール準備
Zend Server 8 英語版で、どのようなPHP環境を構築するのかをインストール前に決めておきます。項目は、OSとWebサーバの2点です。Zend Server は、Linux、Windows、OS X、IBM iに対応しています。需要の多いLinuxとWindowsについて詳しく説明します。
OSの選択
Zend Server 8 英語版は、次のOS環境に対応しています。インストール対象が対応しているかどうかを確認してください。
Linux | Red Hat Enterprise Linux 6.x/7.x |
---|---|
Oracle Enterprise Linux 6.x/7.x | |
CentOS 6.x/7.x | |
SLES 11 | |
OpenSUSE 12.x | |
Debian GNU/Linux 7.x/8.x | |
Ubuntu Linux 12.04/14.04/14.10 | |
Windows | Windows 7/8 |
Windows Server 2008 R2 | |
Windows Server 2012 R2 |
Webサーバの選択
OSによって、対応するWebサーバが異なります。Linuxでは、ApacheとNginxを選択できます。Windowsでは、IISとApache 2.2を選択できます。
Apache 2.2 | Apache 2.4 | Nginx | IIS | |
---|---|---|---|---|
Linux | ○ | ○ | ○ | |
Windows |
○ バンドル |
○ 事前にインストール |
インストール手順と注意点
インストールを実施した際の具体的な注意点を解説します。
Linux版
Linux版のインストールは、yumやdpkgコマンドを使用したシェルスクリプトベースです。インストーラのパラメータとして、PHPバージョンとWebサーバなどを指定します。依存関係があるパッケージは、自動的にインストールされます。PHPバイナリは、Zend Techのレポジトリからテスト済のPHPバイナリを導入します。
(1)圧縮ファイルの入手
Zend社サイトからLinuxインストールファイルを入手します。ダウンロードには、Zend社サイトのユーザ登録(無料)が必要です。ダウンロードページのURLは、こちらです。
Linuxのインストールファイルは、こちらの1種類のみです。
- ZendServer-8.5.1-RepositoryInstaller-linux.tar.gz(2015年9月9日現在)
(2)ユーザ権限とSE Linuxへの対応
管理者権限ユーザで、インストールを実施してください。SE Linuxが有効な環境の場合には、インストーラがSE Linuxをコントロールできるように以下のコマンドを投入します。
> setenforce permissive
(3)圧縮ファイルの展開
圧縮ファイルを適当なディレクトリに配置して、tarコマンドで展開します。
> tar zxvf ZendServer-8.5.1-RepositoryInstaller-linux.tar.gz
(4)インストールコマンド
インストールコマンドは、以下のとおりです。
install.sh |
5.5 5.6 |
nginx java |
PHPバージョンの指定 |
Nginxの使用または Java Bridgeの使用 |
例えば、PHP 5.6をインストールする場合には、以下のコマンドです。
>./install_zs.sh 5.6
アンインストールは、以下のコマンドで実施することができます。
>./uninstall.sh
Windows版
Windows版は、ウィザード形式のインストーラとなっています。インストールファイルの段階で、PHP 5.5と5.6を選択する必要があります。インストール中にどのようなモジュールをインストールするかを指定することができます。
(1)圧縮ファイルの入手
Zend社サイトからWindowsインストールファイルを入手します。ダウンロードには、Zend社サイトのユーザ登録(無料)が必要です。ダウンロードページのURLは、こちらです。
インストールファイルは、PHPバージョンによって、2つに分かれています。
PHP 5.5.x | ZendServer-8.5.1-php-5.5.26-Windows_x86.exe |
PHP 5.6.x | ZendServer-8.5.1-php-5.6.10-Windows_x86.exe |
(2)ユーザ権限とインストールファイルの実行
管理者権限ユーザで、インストールを実施してください。インストールファイルを実行します。ウィザード形式のため、インストール範囲(Typical/Full/Custom)とWebサーバの選択が必要です。
アンインストールは、[プログラムと機能]から「Zend Server 8.5」を選択して実行します。
最初のログイン
インストーラ終了後にWebブラウザを使用して、Zend Server 8.5 英語版の管理画面にアクセスします。
管理画面では、使用権許諾条文(EULA)の承認、Zend Server Typeの選択(Developmentをお勧めします)、管理者(admin)と一般利用者(developer)のパスワード設定などを入力します。最後にZend FrameworkとSymfonyのダウンロードを実行して完了です。次のようなWebページが表示されれば、インストールは完了です。
この画面は、Linux環境にインストールした場合の管理画面です。Windowsは、[DEPLOY NOW]および[DEPLOY SAMPLE APPS]が利用できません。グレイアウトとなっています。
Zend Server 8 英語版へのリモートからのログイン
Zend Server 8 英語版の管理画面は、ローカル(Zend Server 8 英語版をインストールしたマシン自身)からのみアクセスできます。Zend Server 8 英語版の管理画面にリモートからアクセスする場合には、セキュリティ設定を変更する必要があります。
Linuxの場合、lighttpdが管理者ページを動作させています。そのため、lighttpdの環境設定ファイルの設定を変更する必要があります。具体的には、141行目の"127.0.0.1"を"@@ALLOWED_IPS@@"に置き換えます。
#$HTTP["remoteip"] !~ "127.0.0.1" { $HTTP["url"] =~ "^/phpmyadmin/" { url.access-deny = ( "" ) server.errorfile-prefix = "/usr/local/zend/gui/lighttpd/share/lighttpd-custom-errors/errorcode-" } }
変更後は、以下のコマンドで、Zend Server 8 英語版をリスタートします。
./zendctl restart
Windowsの場合、Windowsファイアウォールのパブリックネットワーク側でアクセスが制限されています。10081ポートの受信を許可することにより、リモートからアクセスが可能になります。
推奨設定
Zend Server 8 英語版は、エンタープライズ/ミッションクリティカル用途で有用な高度な機能を有しています。これらの機能は、特殊な用途で効果を発揮するものです。開発者向けの支援機能を中心にお試しいただく場合には、○印のモジュールを有効化することをお勧めします。
Component | カテゴリ | 内容 | 推奨 |
---|---|---|---|
Zend Code Tracing | 監視 | 実行状況の記録/保管 | ○ |
Zend Data Cache | 高速化 | キャッシュAPIの提供 | ○ |
Zend Debugger | デバッグ | デバッグモジュール | ○ |
Zend Deployment | 管理 | パッケージ管理 | 必須 |
Zend Guard Loader | セキュリティ | 暗号化PHPコードのデコーダー | ○ |
Zend Java Bridge | JVM共有 | Java VMの共有化 | |
Zend Job Queue | 非同期実行 | PHPコードの非同期実行/Job化 | |
Zend Monitor | 監視 | ルールに基づく監視機能 | ○ |
Zend OPcache | 高速化 | パース処理済PHPコードの保存/実行 | ○ |
Zend Page Cache | 高速化 | Webページの保存/再表示 | ○ |
Zend Session Clustering | スケーラビリティ | サーバ間でセッション情報を共有 | |
Z-Ray | デバッグ | 実行状況の自動添付 | 必須 |
Zend Statistics | 監視 | 負荷状況のレポート | ○ |
Zend URL Insight | 監視 | URL毎のアクセスを集計 | 必須 |
評価期間終了後の動作と管理
Zend Server 8 英語版をインストールすると、その日から30日間すべての機能が使用できます。インストールから30日間が経過すると、これらの機能は使用できなくなります。また、管理画面へのアクセスもできなくなります。
評価ライセンスの残存日数は、管理画面[Getting Start]の右上で確認することができます。この例では、「30 days for trial」と表示されているので、30日後に評価期間が終了します。
インストールから30日間が経過すると、管理画面にアクセスできなくなります。製品版の購入を促すメッセージを表示します。Zend Serverはコミュニティ版PHPと同様に機能のみになります。コミュニティ版PHPの実行環境としては、評価期間終了後も引き続き利用可能です。
なお、注意点として、Zend Serverが提供する各種機能のコンポーネントは、評価期間終了直前の設定です。GUIが有効な評価期間内に無効にしておくとよいでしょう。デーモンやサービスは、そのまま動作しています。特にPHP実行環境には悪影響はありません。気になるようでしたら、停止することも可能です。しかし、zendctlコマンドが利用できなくなります。ご注意ください。