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5分でわかるActiveReports帳票-Mapコントロール

ActiveReports for .NET 9.0Jで作るサンプル帳票(5)

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 本連載では、帳票コンポーネント「ActiveReports for .NET 9.0J」の新機能を使用して帳票アプリケーションを作成する方法を解説します。第5回の今回は、9.0Jで追加された新機能である「Mapコントロール」の使い方を紹介します。なお、MapコントロールはProfessional版のみの機能です。また、ページレポートおよびRDLレポートで使用できます。

備考

 ActiveReportsを使用した帳票アプリケーションの基本的な作成方法については、これまでの連載記事も併せてご参照ください。特に、1つ前のバージョンである7.0Jをもとに解説した2013年度版の記事は、9.0Jでもそのままご利用いただける内容となっています。また、2007/2008年度版の記事は3.0Jをもとに解説していますが、3.0Jのレポートと9.0Jのセクションレポートは名前空間や一部のAPIを除いて同じレポート形式であるため、セクションレポートの概念や基本的な使い方についてはこちらもご活用ください。

対象読者

  • Visual Basicまたは、Visual C#を使ってプログラムを作ったことのある方
  • 帳票作成ツールに興味のある方
  • 帳票に地図を表示したい方
  • 地理情報を持つ分析レポートを作成したい方

必要な環境

  • Visual Studio 2010/2012/2013/2015のいずれかでプログラムが作れる環境
    • Express EditionではActiveReportsをインストールできません。また、Visual Studio 2015についてはService Pack 2で対応しています。

 本記事のサンプルコードは、C# 5.0/Visual Basic 2012で記述しています。

Mapコントロールの機能

 Mapコントロールは、レポート上に地図を表示するレポートコントロールです。また、複数のレイヤーを使用して、地図上に分析データを重ねて表示(例:地図上に店舗別の売上金額を表示)することが可能です。使用できるレイヤーの種類は、以下の通りです。

レイヤーの種類 表示できるデータ
タイルレイヤー タイル画像(地図、航空写真、地形などの画像)を表示します。
多角形レイヤー ポリゴンデータ(都道府県、市町村などの区域情報)を表示します。
線レイヤー ラインデータ(道路、線路などの線情報)を表示します。
ポイントレイヤー ポイントデータ(都市、名所旧跡などの位置情報)を表示します。

構成要素

 Mapコントロールは、ビューポート、カラースケール、距離スケール、凡例、およびタイトルで構成されます。また、デザイン時にはレイヤーペインおよびコントローラペインが表示されます。

Mapコントロールの構成要素
Mapコントロールの構成要素

 各構成要素の機能は、以下の通りです。

構成要素 機能
ビューポート 地図を表示するメインエリアです。複数のレイヤーを使用して、空間データ(地図)や分析データ(統計)を表示できます。
カラースケール マップの色に対応する情報を表示します。
距離スケール 距離情報を表示します。
凡例 分析データの情報を表示します。
タイトル タイトルを表示します。
レイヤーペイン レイヤーの追加および表示方法を設定します。複数のレイヤーを使用できます。
※このペインは、デザイン時にのみ表示されます。
コントローラペイン 地図の表示位置およびズーム値を設定します。
※このペインは、デザイン時にのみ表示されます。

プロパティ

 Mapコントロールで設定できる主なプロパティについて説明します。

プロパティ 機能
Viewport ビューポートエリアの設定を行います。
CoordinateSystem 座標系を設定します。
「Planner」は、地図を単にXY平面として表示します。「Geographic」は、投影法を使用して経度/緯度で表示します。通常、空間データを使用する場合にはGeographicを使用します。
Meridians 経線を設定します。
非表示にする場合は、HiddenプロパティをTrueに設定します。
Parallels 緯線を設定します。
非表示にする場合は、HiddenプロパティをTrueに設定します。
Projection 投影法(メルカトル図法など)の種類を設定します。
View 表示位置(経度/緯度)およびズームを設定します。
中心点は、CenterX/CenterYプロパティを設定します。ズーム値は、Zoomプロパティで設定します。
ColorScale カラースケールを設定します。
非表示にする場合は、HiddenプロパティをTrueに設定します。
ビューポート外に表示する場合は、Location.DockOutsideViewportプロパティをTrueに設定します。
DistanceScale 距離スケールを設定します。
非表示にする場合は、HiddenプロパティをTrueに設定します。
ビューポート外に表示する場合は、Location.DockOutsideViewportプロパティをTrueに設定します。
Legends 凡例を設定します。
非表示にする場合は、HiddenプロパティをTrueに設定します。
ビューポート外に表示する場合は、Location.DockOutsideViewportプロパティをTrueに設定します。
Titles タイトルを設定します。
非表示にする場合は、HiddenプロパティをTrueに設定します。
ビューポート外に表示する場合は、Location.DockOutsideViewportプロパティをTrueに設定します。
表示位置の変更は、Location.DockPositionプロパティを設定します。

Googleマップの表示

 レポート上に手軽に地図を表示したい場合、GoogleマップやOpenStreetMap(オープンストリートマップ)などのWeb地図を利用する方法があります。

 ここでは、Googleマップを表示する手順を説明します。付属のサンプルは、「01_Googleマップの表示.rdlx」をご参照ください。

タイル画像

 Googleマップは、世界地図を細かくタイル状に分割した画像ファイル(タイル画像)として公開されています。このタイル画像を表示するには、「タイルレイヤー」を使用します。タイルレイヤーで表示できるタイルプロバイダーは、以下の通りです(※1)。

タイルプロバイダー URL 地図の種類
Bing Maps http://www.bing.com/maps/ 道路、航空写真、ハイブリッド(道路、航空写真)
Googleマップ https://www.google.co.jp/maps/ 道路、航空写真、ハイブリッド(道路、航空写真)、地形
CloudMade http://cloudmade.com/ 道路
MapQuest http://www.mapquest.com/ 道路、航空写真、ハイブリッド(道路、航空写真)
OpenStreetMap https://www.openstreetmap.org/ 道路

 なお、これ以外のタイルプロバイダーを利用することも可能です。詳細については、製品ヘルプの[カスタムタイルプロバイダーの追加]をご参照ください。

 タイル画像を表示するには、表示したいエリアの中心点の座標(経度/緯度)およびズームを指定します。これらの設定はデザイン時にGUI操作で設定でき、GoogleマップのAPIは特に意識する必要はありません。なお、設定した情報をもとにGoogleマップのタイルサーバーから画像を取得してレポート上に表示するため、インターネット接続が必要となります(※2)。

※1 実際の使用にあたっては、各タイルプロバイダーの利用規約に従ってご利用ください。

※2 タイル画像の設定情報はレポート定義ファイル(.rdlx)に埋め込むことができます。これにより、タイル画像の表示に要する時間を短縮できます。ただし、タイル画像そのものを埋め込むものではないため、インターネット接続が不要になるわけではありません。ご注意ください。なお、タイル画像の設定情報をレポート定義ファイルに埋め込む方法については、製品ヘルプの[レイヤーの使用]をご参照ください。

タイルレイヤーの表示

 Googleマップを表示するためのレイヤーを追加します。

 Mapコントロールをレポートデザイナ上に配置すると、「マップテンプレートの選択」に以下のメニューが表示されます。

1) 空のマップ

  • 空の地図を表示します

2) USAマップ

  • アメリカ合衆国の地図データを表示します

3) シェープファイル

  • シェープファイルを読み込んで表示します

 ここでは、「空のマップ」を選択します。

空のマップ

空のマップ

 次に、Mapコントロールが選択された状態でもう1回クリックして、[レイヤーペイン]を表示します。[レイヤーペイン]上で右クリックして[タイルレイヤーの追加]を選択します。

タイルレイヤーの追加
タイルレイヤーの追加

 [Mapタイルレイヤー]ダイアログの[全般]ページで、[プロバイダー]を「Google」に設定します。

[Mapタイルレイヤー]ダイアログ
[Mapタイルレイヤー]ダイアログ

 [OK]をクリックすると、Googleマップの世界地図が表示されます。

Googleマップの表示(Map data ©2015 Google)
Googleマップの表示(Map data ©2015 Google)

 地図の表示範囲を変更するには、Viewport.View.***プロパティを設定します。プロパティグリッドで[Viewport]オブジェクトを選択し、展開(…)ボタンをクリックします。[Mapビューポート]ダイアログが開いたら[ビュー]ページに移動し、地図の中心点およびズームを変更します。

[Mapビューポート]ダイアログ
[Mapビューポート]ダイアログ

 以上の設定により、Googleマップの表示範囲を変更できます。なお、付属のサンプルでは、カラースケールや距離スケールを非表示に設定しています。

仙台市周辺(Googleマップ)(Map data ©2015 Google, ZENRIN)
仙台市周辺(Googleマップ)(Map data ©2015 Google, ZENRIN)

都道府県の白地図を表示する

 レポート上にある特定の都道府県の地図を表示するには、前章で説明したように「タイルレイヤー」にGoogleマップを表示する方法があります。しかし、この方法では画像として地図が表示されるため、地図上に人口や売上などの分析データを重ねて表示したい場合には不向きと言えます。

 ここでは、レポート上に宮城県の白地図を表示する方法として、「多角形レイヤー」にシェープファイルを読み込む手順を説明します。

シェープファイルとは

 シェープファイル(.shp)は、GIS(Geographic Information System、地理情報システム)のデファクトスタンダードといえるファイル形式です。シェープファイルには、以下の情報が含まれます。

1) 空間データ

  • ポリゴン(都道府県、市町村などの区域情報)
  • ライン(道路、線路などの線情報)
  • ポイント(都市、名所旧跡などの位置情報)

2) 属性データ

  • 名称(市町村名、店舗名など)
  • 数値(人口、売上など)

 付属のサンプルでは、国土地理院のサイトで公開されているシェープファイルを加工したものを使用しています。

空間データの表示

 はじめに、シェープファイルの空間データ(宮城県の市町村の区域情報)を表示します。付属のサンプルは、「02_シェープファイル(空間データ)の表示.rdlx」をご参照ください。

 前述のGoogleマップの表示と同様、[レイヤーペイン]からレイヤーを追加します。[レイヤーペイン]上で右クリックして[多角形レイヤーの追加]を選択すると、[Mapレイヤーデータ]ダイアログが表示されます。

[Mapレイヤーデータ]ダイアログ
[Mapレイヤーデータ]ダイアログ

 [全般]ページで[レポートに埋め込まれたデータ]を選択した状態で、[ファイルの選択]をクリックします。[ファイルを開く]ダイアログでシェープファイル(.shp)を選択します。また、このとき、[ファイルを開く]ダイアログの右端にある[マップの解像度]を指定します。これは、地図データの描画品質を設定するものです。高解像度の地図データを利用するには、[マップの解像度]スライダーを[最高品質]に設定します。

シェープファイルを開く
シェープファイルを開く

 シェープファイルを読み込むと、Mapコントロールに宮城県の各市町村の空間データ(ポリゴン)が表示されます。

空間データの表示
空間データの表示

出典

 本地図データは、国土地理院ホームページ - 地球地図日本のデータをもとに、グレープシティ株式会社が作成しました。   

属性データの表示

 次に、シェープファイルに含まれる属性データ(市町村名)を表示します。付属のサンプルは、「03_シェープファイル(属性データ)の表示.rdlx」をご参照ください。

 [レイヤーペイン]上で[PolygonLayer1](「空間データの表示」で追加したレイヤー)を右クリックし[編集]を選択すると、[Map多角形レイヤー]ダイアログが表示されます。

属性データの表示
属性データの表示

 [全般]ページの[ラベルのテキスト]コンボボックスを開き、属性データを設定します。ここでは、「#laa」を選択し、市町村名(ローマ字表記)を表示します。

市町村名(ローマ字表記)の表示
市町村名(ローマ字表記)の表示

 なお、[ラベルの表示]を[True]にするとすべての市町村名が表示されますが、ここでは、表示が重なるのを避けるために[Auto]に設定しておきます。

白地図に外部データを重ねて表示する

 シェープファイルに必要なデータが含まれていない場合や別システムにデータが分散している場合には、外部データを活用することになります。ここでは、宮城県の地図に外部データを重ねて表示する方法を紹介します。

シェープファイルと外部データを関連付ける

 シェープファイルと外部データを連携させるためにはそれぞれに一致するフィールドが必要となりますが、ここでは、総務省が定めた「全国地方公共団体コード」を使用してシェープファイルと外部データと連携させます。

 なお、外部データ(miyagi.mdb)を使用する準備として、レポートにデータソースおよびデータセットを追加しておく必要があります。詳細については、以前の記事(5分でわかるActiveReports帳票(2013年度版)-ページレポート)または、製品ヘルプの[実行時にレポートとデータソースの連結]をご参照ください。

 [レイヤーペイン]上で[PolygonLayer1]を右クリックし[レイヤーデータ]を選択すると、[Mapレイヤーデータ]ダイアログが表示されます。

 [分析データ領域の空間フィールド]ページの[データセット]に、レポートに追加したデータセット名(DataSet1)を設定します。[一致させるフィールド]の[+]ボタンをクリックして、一致させるフィールドを設定します。[空間フィールド]にはシェープファイルの全国地方公共団体コード(adm_code)、[分析フィールド]には外部データ(miyagi.mdb)の全国地方公共団体コード(=Fields!Code.Value)を設定します。

[分析データ領域の空間フィールド]ページ
[分析データ領域の空間フィールド]ページ

 以上の設定により、シェープファイルと外部データの連携が可能となります。

外部データの表示

 シェープファイルに外部データ(日本語表記の市町村名)を重ねて表示します。付属のサンプルは、「04_外部データの表示.rdlx」をご参照ください。

 [レイヤーペイン]上で[PolygonLayer1]を右クリックし[編集]を選択します。[全般]ページの[ラベルのテキスト]コンボボックスを開くと、外部データのフィールド(=Fields!***.Value)が追加されています。ここでは、[Name]フィールド(=Fields!Name.Value)を選択して、市町村名(日本語表記)を表示します。なお、外部データソースのデータはデザイン時には表示されないため、ビューワで確認してください。

外部データ(日本語表記の市町村名)の表示
外部データ(日本語表記の市町村名)の表示

データを色で視覚化する

 外部データ(人口)を視覚化するために、色分けして表示してみます。付属のサンプルは、「05_データを色で視覚化する.rdlx」をご参照ください。

 [レイヤーペイン]上で[PolygonLayer1]を右クリックし[編集]を選択し、[Map多角形レイヤー]ダイアログを表示します。[色のルール]ページを選択し、[色の範囲を使用してデータを表示する]を選択します。[データフィールド]に色で視覚化したいデータを設定します。ここでは、人口(=Fields!Pop.Value)を選択します。

[色のルール]ページ
[色のルール]ページ

 ビューワで表示すると、人口のデータに基づいて色分け表示されていることが確認できます。

データを色で視覚化する
データを色で視覚化する

出典

 人口データは、ウィキペディア - 宮城県をもとにグレープシティ株式会社が作成しました。

まとめ

 今回は、9.0Jの新機能であるMapコントロールを紹介しました。レポート上にGoogleマップやシェープファイルの地図データを簡単に表示できます。また、地図データに売上情報などのビジネスデータを重ねて表示することで、地理情報を持つ分析レポートを手軽に作成することができます。

 次回は、「ActiveReports Server」を使用した帳票運用環境の構築方法を紹介します。

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