メイカーとしての心構え
最初のセッションは、セントトーマス大のAnn Marie Thomasによる、Makerとしての心構えの教育、そしてニューヨークシティ大のBen Leduc-Millsの教育におけるオープンソースの活用から始まりました。
AnnはPlayful learning Labという、楽しみながら学ぶための教育を研究する活動をしています。アメリカ発のMaker系の教育話は、なによりも心構えの問題から入ることが多く、「面白がってもらって、自分からアクションを起こさせる」ことを何より重視させます。
AnnMarieのセッションでは、「Makerになるための8つの指針」として、「これまでは、知らない人と喋っちゃダメと教えていた教育から、お互い学び合うように変えていこう」から始まり、
- 答えのない問題を解くので、あきらめないことが大事
- シェアの意味は楽しみを分けることで、相手が面白がらないと意味がない
- 自分からアクションを起こす
など、習う行為から自ら行動する行為に変えていくことを語ります。
続いたBenのセッションも、オープンソースハードウェアの普及に大きく寄与しているアメリカの企業Sparkfunが子供向けのワークショップを多く手がけていることなどを例に挙げ、オープンソースの活動と教師たちが深くつながっていることを紹介。アメリカの大学は特許などにかなり厳しいらしく、それに対して自覚的に教育者のコミュニティと開発者のコミュニティがつながっていこうとしているのは面白い現象です。
オープンソースハードウェア企業の栄光と挫折
個人的に最も興味を惹かれたのは、同じく午前のセッションに登壇したNancy Ouyan。
The Rise and Fall of an Open Source Hardware Company(あるオープンソースハードウェア会社の栄光と挫折)という挑戦的なタイトルのプレゼンでした。
MIT卒のNancyはNarwhalEduを立ち上げ、2年をかけて「オンラインの教育コースがセットになったロボットキット」のプロジェクトをKickstarterに立ち上げ、6ヶ月で2万ドルを超える支援を集めました。それは予測を大幅に上回る支持を集め、この年のMIT組でも大きい方になるほどだったので自信になり、無事ロボットキットの出荷とオンラインコースの運営にも成功したものの、オンライン教育コースので先生を担ってくれる90人の学生への支払いを合計すると、2万ドルを使い尽くしかねない18,843ドルになってしまいました。キットのコストは、開発費を除いた生産費だけでも8,000ドルほどとなり、この時点で既に大赤字です。
最終的には助成金、出資、他の仕事などを含めて会社は続けているものの、家賃(しかもボストンの!)その他の支払いを考えると22ヶ月しか会社のキャッシュが持たなかった、などとコスト表を赤裸々に公開しました。
受諾開発で稼いだ費用や、投資家らから出資してもらった費用を入れても、合計20ヶ月ほどしか会社が継続できない、という残念な状況がわかったことで、開発を加速させ、2回目のKickstarterへ。ところが2回目のプロジェクトは失敗してしまいます。
スリリングな会社運営の中から、彼女は、
「オープンソースかどうかは、カスタマーは気にしていない。けど、自分たちにとってはそのコミュニティやGitHubなどの環境ふくめて大事。」
「開発者仲間だけでなく、もっともっとカスタマーと話すべき」
「スタートだけにフォーカスすると続かないので、サステイナビリティを考えるべき」
「解決するアイデアを最初から持っている人はいないので、まずやるべき」
「お金が回ってないと精神的に参るので気をつけよう」
などの教訓をシェアし、引き続き教育用ロボットを普及させることで、人々のクリエイティビティを伸ばすことができると信じてることを述べてプレゼンを終わらせ、大きな喝采を浴びました。
