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クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略

クラウドはライブラリ以上の必須スキル――クラウド時代の開発者の学びをソラコム 片山暁雄さんに聞く

クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略 第1回(後編)

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開発者は、ビジネス側の視点を持てば幅が広がる

吉羽 次に、これから開発者の向かうべき方向について話を聞きたいんですけど、今まで片山さんから聞いた話を振り返ると、自分の中の品揃え増やすことが重要なのでしょうか。

片山 あとはその、IT自体が何かの目的を達成するための道具であると思うので、目的をどう達成させるのかという意識。それを持っている人がいいんじゃないかなと思いますね。

吉羽 わかりやすく言うとビジネス側の視点を持つこと?

片山 一つはそうですね。IoTも、要は今まで取れなかった情報を使って何かしようという世界観じゃないですか。ただ、取ってきたデータを何に生かすかとか、こういう目的のためにはどんなデータを取らなくてはならないという思考って、もっと必要になってくると思うんですね。だからITで改善するだけじゃなく、新しいビジネスをどう作るかを考えることが大事。

吉羽 0から1を考えられること。

片山 そうそう。それがもしできるならば、プログラムが書ければ全部お膳立てが整う。そういうところを目指していけるといいと思いますね。

吉羽 自分ですごくいいアイディアを思いつけたら絶対やるのに、残念ながらそれが浮かばないということが多いですよね。

片山 あと強いビジネスイメージを持ってる人とペアを組んでも大きなビジネスになる可能性はありますね。ビジネスパートナーの意図を汲んで、最短でものを作る。そういうことができる人は、IT開発者の一つのモデルとしていいと思います。

吉羽 トライアンドエラーは早くできなきゃ、ビジネスのスピードに合わない。

片山 特に僕はそんなにビジネスアイディアがあるわけでもないので。それだったら開発の速度を上げる努力をしようとか、「こういうことができますか?」と言われた時に、パッと見せられるスピード感のある開発者を目指してもいいと思います。本当は、特定の業種にすごく強いとかの専門知識があるといいんでしょうけどね。ほとんどの人がそうじゃないと思うので、であれば開発者としての速度を上げる。

吉羽 どっちに張るかですよね。技術側にフォーカスして掘っていくか、スコープを広くして、業界のことよく知るかは。どっちを追うかってのは人によって違う。

片山 ただやっぱり、ITは手段でしかないということになる。一般の、IT以外の業種の方からすると、ITは一つの手段で、かつ重要な手段になってきている。そこの手段の中で働くというイメージを持っておくといいと思いますね。

クラウドが普及すると運用の仕事はなくなるか?

吉羽 一方で、Ops側、運用している人ってどうなっていくのだろう? 例えばサーバレスアーキテクチャになったらどうなるの、だとか、静的サイトだったらS3でオフロードしてCloudFrontでいいじゃんてなるじゃないですか。今まで運用や、監視の設計してた人ってどんどんいらなくなるようにも思うんだけど、こういった人たちはどうすりゃいいんですか?

片山 IT業界全体としては人材が不足してるわけじゃないですか。だからOpsも結局ITの人だし、DevとOpsの境界を作る必要はないと思います。

吉羽 Opsの人もコードを書けばいい、っていう。

片山 コードを書いてもいいと思いますし、ビジネスを実現するための仕組み作りという意味だと、いろいろ役割はある。サーバの監視にしても、単純にLEDが光ってるかどうか確認する仕事はどんどん減っていくと思うんです。でも、サーバを監視したりするっていう仕事ってのはある意味なくならない。サーバの台数はどんどん増えていくわけで、その重要性ってのはどこかしらにあるんですよね。

 じゃあなぜサーバ監視が必要なのかというと、最終的にはビジネスを止めないためですよね。それってインフラだけなのか、ミドルウェアやアプリも見たほうがいいのか、通信もあるのか。むしろIT以外のところでも、ビジネス自体が正しく動いてるのかどうかを監視する視点は、いるとは思うんですね。

吉羽 サーバ監視だけではなく、サービス全体まで視点を上げていかないといけなくなる。

片山 僕はプログラムを書いてますけど、これ自体もなくなる可能性はある。それって、単純に目の前の作業がなくなるかだから、DevでもOpsでも平等だと思うんですよね。

 ただ、何かを監視したり、何か定期的に保守したり、監視や保守の計画を立てるといったスキル自体は、他でも十分生かせる。例えばビジネス側のオペレーションを改善したり、オペレーションが上手く働くような仕組みを作れたりするかもしれない。なのでOpsが減ってくってのは、僕の中ではあんまりイメージがないですね。

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妄想して「何が作れるかな」って考えてみるのが大事

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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吉羽 龍太郎(Ryuzee.com)(ヨシバ リュウタロウ)

 クラウドコンピューティング、DevOps、インフラ構築自動化、アジャイル開発、組織改革を中心にオンサイトでのコンサルティングとトレーニングを提供。 認定スクラムプロフェショナル(CSP) / 認定スクラムマスター(CSM) / 認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)。Developers Summit 2016ベストスピーカー(1位)。 著書に『Amazon Web Services企業導入ガイド』(マイナビ)、...

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