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イベントレポート

エンジニアはどうすればモテるのか? TECH VALLEY#8で明かされたクリエイター集団「つくる女」の本音

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清潔感、ファッション、言葉遣い……努力すべき部分はたくさんある

 アナウンサーの大河原あゆみさんはエンジニアに「もったいない」と感じる部分があるという。それは、優れた開発技術を持っているのにアピール、プロモーションできていないということ。言いかえればコミュニケーション力が足りていないのだ。

大河原あゆみさん

 モテるようになるアドバイスには、「清潔感、ファッション、仕草、マナー、言葉遣いへの配慮、心遣いや、あらゆるジャンルの方に対応するための幅広い知識など、努力すべき部分はたくさんある」と辛辣。ここまで3人ともに清潔感というキーワードが登場しているが、世のエンジニアはどれほど清潔感がないというのだろう。皆さんはそうしたイメージを作ってしまった先人の負の遺産に悩まされているのか、それともみずからそのイメージを発信してしまっているのか、どちらだろう?

専門用語を使うので女性が理解できない

 シナリオライターの田中麻美さんは実に端的に言いきってくれている。エンジニアのよくない点は、不健康、寝不足、女性とは違う頭の構造だそうだ。不健康と寝不足はデスマーチというネガティブワードを連想しがちな業界にはつきもの。女性と会って話すとき、不健康さが見えると楽しく話しづらいのだ。

田中麻美さん

 田中さんの最大の懸念は、エンジニアは仕事や業界の話になると夢中になり専門用語を使い始めること。同業者ならまだしも、他業界で働く女性が理解できるはずもない。そこで、誰とでも盛り上がれる世間話ができること、ファッションや髪型にも気を配ることが大事だとアドバイスをしてくれている。相手と楽しく話せるかどうかはとても重要なモテポイントだ。

評価に繋がる仕事をこなす

 ここで第一部の講演「ゲームエンジニアのキャリアアップの道」を振り返りたい。蛭田さんはプログラマーからキャリアスタートし、多くの企業で実績を重ねながらリードプログラマーや部門長、そしてCTOを経験し、いまはヤフーでエグゼクティブプロデューサーの地位にある。そのキャリアは必ずしも直線的な右肩上がりではなく、上がったり下がったりしながら、少しずつ上昇していったという。

第一部講演
蛭田健司さんによる第一部講演

 実際、エグゼクティブプロデューサーはCTOより少し下の地位にある。だが、キャリアアップを考えるうえで、右肩上がりの昇進は現実的ではない。特にエンジニアはプロジェクトが終わればリードプログラマーから外れ、次のプロジェクトでは新たな地位で仕事をすることになる場合が多い。だからこそ、長期的なキャリアプランをイメージし、次の地位に上がるにはどんな仕事をすべきか常々考える必要があるという。

 パネルディスカッションでも、キャリアアップに必要なこととして3人に共通していたのは「自分のタスク以外のことができ、仲間をサポートできるようになること」「いまの立場より少し上の立場の仕事ができるようになること」といったことだった。つまり、いまどんな仕事をすれば昇進できるかを見定めて業務に取り組まなければならないのだ。最低限の仕事だけでは、もちろん昇進は難しい。

 蛭田さんが意識すべき点として挙げたのが、評価基準を把握して評価に繋がる仕事をしようということ。そのためのおすすめが広範な技術知識を身につけ、情報発信することだ。自分の専門以外のことも知っていれば、新しい技術を導入したい上司の相談を受けられる。同僚や部下に情報を発信できるなら、まずはあなたに知ってもらおう、調べてもらおうと上司の第一の選択肢となる。それが評価に繋がる。

 また、転職によるキャリアアップについて、現状に不満があるときは踏ん張りどころなのだと力説。転職すべきときは社内に目指すポジションがないとき。不満をモチベーションに転職すると、結局転職先でも不満を募らせてしまうのである。

 本イベントはゲームエンジニアのキャリアアップをテーマとしていたが、蛭田さんが語ったのはあらゆる業界で通じるキャリアアップの方法論だった。

スペシャリストか、ジェネラリストか

 蛭田さんの講演やパネルディスカッションでも話題に上がったのが、スペシャリストとジェネラリスト、どちらを目指すべきかということ。

パネルディスカッション

 今回登壇された3人は、いずれもスペシャリストから少しずつジェネラリスト的になっていったという。それは初めから目指していたというよりは、まず得意領域を極めて、その後に自分の知識・技術の幅を広げていったことによる。佐々木さん率いるヒストリアはジェネラリストの集団だとのことだが、それは使用するツール――Unreal Engineがスペシャリスト部分をサポートしてくれるからなのだ。

 佐々木さんによれば、まだツールがなく個人がそれぞれに持っている専門技術で作っていかなければならない時代はスペシャリストが必要で、汎用ツールが登場してきたら何でもできるジェネラリストが必要になるという。例えばいまやスマートフォンのゲーム制作にはジェネラリストが求められており、VRやARの領域はスペシャリストが足りないのである。時代と趨勢を見極めて、自分の目標を定めなければならないのだ。

 エンジニアの中にはマネジメントに興味がない、やりたくないという方もいるかもしれないが、キャリアアップには不可欠であり、人生にも役立つスキルとなる。本イベントはそう締めくくられた。

 蛭田さんのより詳しいキャリアに興味がある方は、こちらの記事を読んでみてもらいたい。また、ゲーム業界に興味がある方は蛭田さんの著書『ゲームクリエイターの仕事』がおすすめだ。

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9558 2016/07/20 08:00

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