IoEであらゆる業界のビジネスが変革する
IoE(Internet of Everything)の世界では、さまざまなものがネットワークでつながるようになる。自動車はコネクテッドカーとなり、コネクテッドシティやコネクテッドインフラとリアルタイムにやり取りをし、それらのデータはクラウドに蓄積され、機械学習をさせることで最適なトラフィックパターンを計画することもできるようになる。また自動車の製造ラインのデータと連携すれば、自動車の故障の根本原因の解析などにも活用できるかもしれない。
「コネクテッドカーの実現は、完成車メーカーをはじめ、自動車に直接関わるビジネスのあり方を変革するだけではなく、保険会社はもちろん、エネルギー業界、さらには自治体などすべての業界が影響を受ける」とコノリー氏は説明する。インフラ分野はすでに変革が起こっている。住宅にスマートメータが設置され、電力網にもメーターを搭載されることで、エネルギーの最適供給ができるようになり、経費の効率的活用が可能になっている。そのほかにも、保険業界、リテール業界、通信業界なども大きな変革を遂げている。
このように現在のビジネス・社会では、データが発生した瞬間からライフサイクルを通じてデータを最大限活用している。データの格納に関して、「Hadoopは中心的な役割を果たし、最大の価値をもたらす」とコノリー氏。Hadoop以外にもApache Stormなど、「これらのオープンソース技術もイノベーションが起こっている」とコノリー氏は言うのだ。
エンタープライズの要求は、データからいかに収益を生むことができるようにするかである。「それに答えていくのが私たちのミッション。つまり私たちのゴールはデータから付加価値を引き出すようなアプリケーションに昇華させていくことだ」とコノリー氏は言う。すでに、同社の顧客の中でも変革が起こっている企業があるという。
例えば新しい収益源を見つけた会社として、コノリー氏はジョン・ディアというトラクターを製造しているディア・アンド・カンパニーを挙げ、「自社のトラクターに取り付けたセンサーが取得したデータを農家に送り、農作物の量を最適化したり、土の分析をするというように、分析業に変わってきている」と紹介する。そして「このような新しいストーリーが出てくることを楽しみにしている。そのためにも、これからはアジアやヨーロッパなどに注力して、ビジネスの拡大に努めていきたい」と語り、セッションを締めた。
リクルートグループによるHadoop活用事例
続いて、セッションを行ったのは、リクルートテクノロジーズ ビッグデータ商品開発グループ グループマネジャーの石川伸行氏である。「リクルートにおけるHadoopの影響について話をしたい」と語り、英語でセッションをスタートさせた。
リクルートの主要ビジネスのビジネスモデルは、情報を探しているカスタマーと企業をマッチングさせるというマッチングビジネス。就職や転職、進学、結婚というライフイベントエリアと、ビューティケアや旅行、グルメなどのライフスタイルエリアに対して、マッチングのための情報を提供している。リクルート・テクノロジーズは、これらのリクルートのマッチングビジネスを支えるため、インフラ環境、セキュリティなどを含めたITソリューションをリクルートグループに提供している。
そんなリクルートがいつ、Hadoopと出会い、活用してきたのか。リクルートがHadoopを本格的に活用し出したのは2011年。いろんなサービスで活用できるようHadoopの環境をグループの中で最適化してきたという。14年にはHadoopはデータのエコシステムとして活用されるようになり、「オンラインの処理や本格的なHBaseでの活用が進んできた」と石川氏は語る。15年にはデータ量は1ペタバイトを超え、エコシステムとしてSparkも活用するようになった。
Hadoopで分析するデータ量は急速に増えているが、これは「あくまでもリクルートグループが所有しているデータの一部だ。Hadoopは現在、マッチングロジックはもちろん、検索、コンテンツのレコメンデーション、クロスリファレンスなどに活用している。これからは分析できるデータタイプやビジョン、アルゴリズムなどを増やしていくことを行っていく」と石川氏は語る。それが実現すると、さまざまなデータの活用がHadoopの上にプラットフォーム載ってくることになる。だからこそ、「それぞれのサービスに合わせた最適化が重要になる」というわけだ。
例えばマッチングロジックのサービス適用例の1つが、今年6月17日にリリースしたリクルートエージェントの新しいスカウトサービス「CAST」だ。CASTはリクルートエージェントの持つ膨大なマッチングデータを活用し、企業におすすめの人材を提案する。「どんな人材が合格したのかなど求職者の情報や行動、また企業の採用行動などを同時に分析し、学習させていくことで、よりその企業に応募してくれる確率の高い人材を提案するというようになる。これはデータ分析の素晴らしさが生かされた事例だ」と石川氏は説明する。
またもう一つの事例は結婚情報メディア「ゼクシィ」のパーソナライゼーションである。「2000万人の人に毎日、パーソナライズした15記事を提供している」と石川氏は語る。このようにリクルートでは、HadoopをユーザーのUXを高めていくことにも活用しているのだ。
リクルートでは、同社提供のサービスのほとんどでリクルートIDを利用している。そこで同社では各ビジネス間でのクロスユースレコメンドの仕組みをHortonworksのソリューションを活用して構築した。「例えばじゃらんでホテルを予約すると、ポンパレモールのとある商品を推奨してくれるような、そんなインフラを開発した。今やHadoopはリクルートにおいて主要なテクノロジーとなっている」と石川氏は語る。
さらに石川氏は「リクルートには社内に画像やテキスト、動画などのさまざまな非構造データが散在している。これをもっと有効活用していきたい」と話す。非構造化データを効率的に活用できる技術を採用していくことに加え、利用用途をある程度想定するなどユーティリティポリシーなども同時に検討していかなければならないという。
非構造データが機械で扱えるようになった今、リクルートではレコメンドや帳票レポートに加え、「作業代替・支援」という新分野でのデータ解析ソリューションが増えつつあるという。「このようなソリューションを提供することで、当社の人材はクリエイティブな作業に集中できるようになる。その代表例が、『A3RT』という社内向けソリューションだ」と石川氏。A3RTは誰でも気軽に機械学習を用いたビッグデータソリューションを利用できる仕組みである。「データは営業、クリエーション作業でも活用されるべきだと考え、さまざまなソリューションを用意している」と石川氏は語る。
このようにリクルートにおいて、Hadoopはもはや無くてはならないものとなっている。最後に石川氏は「これからも私たちはHadoopの進化に貢献していきたい。Hadoopのおかげでゾウにも恋をするようになった。ありがとう」とジョークを交えてセッションを締めた。
