執筆
文章執筆
企画やプロットの次は執筆です。執筆に関わるソフトウェアには、以下があります。
- テキストエディタ
- ワードプロセッサ
- アウトラインプロセッサ
- IME
私は前述のとおり「秀丸エディタ」で執筆しています。人によっては、ワードプロセッサや、アウトラインプロセッサで執筆している人もいるようです。また、日本語入力のIMEを、OS標準のものではない別のものに変えているケースもあります。私は「ATOK Passport」を利用しています。さらに、ビジネス書の作者の中には、音声入力を使って書いている人も見かけます。ただ、小説では極めて少数派だと思います。
執筆は、時にタブレット端末で行ないます。単なるテキストファイルで管理しているので、出先で続きを書いたりすることがあります。その場合は、フリック入力で入力することもあれば、キーボードを利用して入力することもあります。タブレットでの執筆は、Androidの「Jota Text Editor」を利用しています。
昔は、タブレットはどうなのかと思っていた時期もあったのですが、ノートパソコンを持ち歩くより軽いので、あまり気にしなくなりました。また、パソコンと違って、すぐに起動して書けるのがよいです。電車の中で、立って書くこともできます。現在は、Amazonの「fire HD8」を利用しています。
辞書
執筆時には辞書も使います。辞書はどれだけ引いても、引きすぎということはないです。それどころか、知っているつもりの言葉ほど危ないです。編集の方に指摘されて、「ああ、そもそも間違って覚えていた」ということは、よくあります。
以下、私がよく利用しているオンライン辞書を掲載しておきます。使用頻度順です。
- Yahoo!辞書 - 国語・英和・和英および専門辞書の検索サービス
- 類語辞典・シソーラス・対義語 - Weblio辞書
- 英語学習・TOEIC対策・英辞郎 on the WEB | アルク
- 日本語用例検索
- goo辞書 - 国語・英語・四字熟語・中国語のオンライン辞書
推敲
推敲用のソフトウェアは、小説を書くなど大量の文章を書く人でないと、あまり探さないジャンルかもしれません。この手のソフトには、以下のものがあります。テキストエディタは、あまりにも当たり前ですので省略します。
- テキスト印刷ソフト
- 校正支援ソフト
- diffソフト
- 音声読み上げソフト
- 推敲補助ソフト
テキスト印刷ソフト
紙に印刷して推敲するのは、非常に有効です。パソコンのモニターでは気付かなかったミスを、多く発見できます。紙の方が、視認性も一覧性もモニターより上です。
特に、「印刷して新人賞に応募する」「本にする」といった、最終出力先が「紙」の場合は、紙での確認は必須です。アプリ開発でも、実機で確認せずエミュレーターだけで試すことは、まずありません。紙で提出する際の実機は「紙」です。紙での確認をしないのは、大きなミスをする可能性があります。
小説の確認を印刷して行なうには、適切な印刷ソフトが必要です。特に、最終出力先が縦書きの場合は、縦書きソフトも必要になります。
1つ目の方法は、「Word」のようなワードプロセッサソフトを使用することです。ワープロソフトでは、縦書きモードがあります。その機能を利用して縦書き印刷します。
小説をテキストファイルで書いている場合は、その都度ワープロソフトに貼りつけて印刷するのは面倒です。縦書きに対応した専用のテキストエディタを利用する方が手軽です。そこで2つ目の方法です。テキストファイルを、縦書きで表示/印刷を行なうソフトを使います。この手のソフトには、以下のようなものがあります。
私は「O's Editor2」を利用しています。小説の新人賞では、各賞によって1行の文字数と1ページの行数が決まっています。一番多いのは1行全角40文字、1ページ40行です。その他にも、専用のスタイルを複数作り、使い分けています。また、原稿用紙換算での文字数を求められることが多いため、そうしたページ数を計算できるという意味でも、この手のソフトは必要になります。
小説を書き始めた当初は、モニター上でも縦書きで書いていたのですが、だんだん老眼が入ってきて縦に40文字納めるのが難しくなりました。そこで、執筆は横書き、確認は印刷して縦書きにしました。モニターを90度回転して使う方法もありますが、現状は横書きにしています。
校正支援ソフト
現状、校正支援ソフトは、JustSystemsの「Just Right!」一択です。それなりの価格のソフトですが、その値段に見合うだけの価値があります。単純な文法的な間違い、言い回しの誤用など、多くのミスを、かなりの精度で見つけてくれます。私の経験から言うと、推敲期間が2週間ぐらい短縮されます。
「Just Right!」は、数年に一度バージョンアップされているのですが、その都度お布施として更新料を支払っています。最近は、劇的な改良がなくなってきたようですが、辞書のメンテナンスの意味も込めて課金し続けています。
diffソフト
原稿を確認する際、以前の版との差分を調べるには、diffソフトがよいです。diffソフトには、「行単位の差分」と「文字単位の差分」を表示できるものがあります。プログラムは行単位でよいのでしょうが、小説では文字単位が望ましいです。
そうした観点から、私は「kdiff3」を利用しています。このソフトは、ショートカットを用意しておき、2ファイルをドロップすることで差分表示が手軽にできます(diffソフトには、ドラッグ&ドロップに対応していないものもある)。また、元のテキストファイルを修正したあと、F5で再読み込みしてくれるので、その点でも使いやすいです。いくつかこの手のソフトを使い比べましたが、現状「kdiff3」が、私の用途には一番合っているようです。
音声読み上げソフト
音声読み上げソフトも、文法ミスや、誤った文章の発見に有効です。ネットには、無料の音声読み上げソフトが、複数公開されています。そのため、そうしたものを利用することができます。私の場合は、「Just Right!」購入後、音声読み上げソフトの使用頻度は劇的に下がりました。時間をかけずとも、瞬時にミスを発見してくれるためです。
無料で利用できる音声読み上げソフトは、その音声合成エンジンから、いくつかに分類できます。一番勢力が大きいのは、Microsoftの「SAPI」(Speech Application Programming Interface)を利用したものです。これは、最近のWindowsには標準で入っているので、多くのソフトで採用されています。他にも「Open JTalk」を利用したものなどもあります。
プログラマーの方は、音声合成エンジンを利用して、自分専用の読み上げソフトを作ることもできます。私も、自分専用のソフトを作り、確認していました。
以下、非常に簡単な、SAPI5を利用した読み上げプログラムです。「speech.wsf」というファイル名にして、Windowsで実行すると、音声を読み上げてくれます。
<job id="main"> <script language="JavaScript"> // SAPIの初期化 var sp = WScript.CreateObject('SAPI.SpVoice'); sp.Rate = 0; // 数字を大きくすると早くなる sp.Volume = 100; // ボリューム0~100 var pitch = 0; // 数字を大きくすると声が高くなる var txt = '音声読み上げのテストです。'; // SAPIの実行 try { if (pitch == 0) { sp.Speak(txt); } else { sp.Speak( '<pitch absmiddle="' + pitch + '">' + txt + '</pitch>', 0x08 ); } } catch(e) { WScript.Quit(1); // 読み上げエラー } WScript.Quit(0); // 正常終了 </script> </job>
推敲補助ソフト
校正支援ソフトと同様に、このジャンルのソフトも種類は少ないです。そこで自分のために、『小説推敲補助ソフト「Novel Supporter」』というソフトを開発しています。同じ単語が近い範囲で連続していないか、文末が連続していないか、段落頭が連続していないかなど、様々な観点から、推敲対象になり得る場所を可視化するソフトです。
小説を書いた本人は、自分の原稿を客観的に見ることが難しいです。しかし、他人から見ると、目立って見えてしまうところは非常に多いです。そうしたところを色付けして強調することで、推敲の際に注意すべき場所を可視化します。ソフトには、可視化のためのツールを多数搭載しています。以下、左ペインがエディタ、右ペインが出力結果になります。