IoTの民主化を目指す
2017年にデバイスに埋め込みが可能になったSORACOM SIMはさらに進化し、「2018年にはアクセス回線の種類を問わず、モノをあらゆるクラウドに接続し、デジタライズするための鍵へと進化する」と玉川氏は力強く語る。つまり「IoTの民主化」を目指すということだ。
だが「IoTの世界は奥深い。IoTを格闘技に例えると、立ち競技の選手と寝技の選手が相まみえる総合格闘技系の要素がある」と玉川氏。IoTアプリケーションを作るためには、通信だけではなく、センサー、ゲートウェイデバイス、通信、データ収集、可視化の仕組みが必要になるからだ。
これを簡単に実現するためのソリューションのひとつが、「パートナーエコシステムを活用したリファレンス・デバイスの提供だ」と玉川氏。リファレンス・デバイスも施策から量産までスケーラブルに対応できるようラインナップを増やしており、今回も新たにLTEが使えるモジュールなどを、4つ増やしたという。
またデバイスだけではない。LTE通信モジュールと7種類センサーが搭載されたスターターキットも提供。「これを使えば簡単にプロトタイピングができる」と玉川氏。実際、富士通ではこれを用い、ウィンドサーフィンワールドカップのリアルタイム中継を行ったという。
またデータの収集・可視化を容易にする仕組みとしては、「SORACOM Harvest」を2016年にリリース。ソラコムの中でも急速に利用者が増えているサービスだ。
そしてさらにSORACOM Harvestをより便利に使える新しいサービスが登場した。それが「SORACOM Lagoon」である。「これはSORACOM Harvestで収集した複数のデバイスのデータを簡単に並べて見られる、ダッシュボード作成・共有するためのツール」とソラコム プリンパルソフトウェアエンジニアの片山暁雄氏は説明する。
SORACOM Lagoonが提供するのはダッシュボード作成・共有機能だけではない。閾値を設定し、それを上回ったり下回ったりするとアラートを出す機能も搭載。「ダッシュボードの共有はリンクを作成してメールなどで送付するだけで簡単にできる」と片山氏。PCはもちろんスマートフォンでも閲覧可能だ。利用料金はオペレーター単位。初回は最大2カ月間無料で使えるのもうれしい。
「可視化のサービスは多くあるが、デバイスのデータをいち早く確認したいのであればHarvestが最適。データを共有、アラートを使いたいのであればLagoon、クラウドやオンプレなど複数のデータソース、複雑な可視化、機械学習などのデータを見るという場合は、アダプターを使ってパートナーのソリューションを活用することをオススメする」(玉川氏)
ソラコムはこれからもお客さまがつなげたいモノを安全につなげるようにサポートしていくという。
「新しいモノを作り出している限り『創業』は続き、それが止まると『創業』も終わる。これは私の好きな言葉である。ソラコムもずっとこの言葉のように新しいものを作りつづけていきたい。そして初心を忘れず、IoTのプラットフォームを提供し、日本から世界からたくさんのIoTプレイヤーの創出に貢献したい」(玉川氏)
同社ではそれを実現するため、デベロッパー向けコミュニティ「SORACOM User Group Japan」も積極的に支援。全国に拡大中だ。さらに玉川氏は企業向けUser Group「Enterprise SORACOM Innovation Meister(eSIM)」の発足も発表した。eSIMはSORACOM利用企業の、意思決定者のみが参加できるユーザーコミュニティで、SORACOMビギナー企業の相談にも乗ってくれるという。
また、過酷な状況で使われることの多いIoTデバイス。そのデバイスを補償するためのSORACOMユーザー向けのサービスとして東京海上日動火災保険 情報産業部長の堤伸浩氏が「AOSORA」を紹介するという一コマも。
同サービスは専門家による制度設計のサポート、SORACOMユーザーコンソールとのAPI連携した運営、あらかじめ費用を予算化できるような仕組みの提供という特徴を持つ。「これからIoTビジネスを立ち上げる事業者、IoTビジネスはローンチ済みだが、補償サービス導入していない事業者、すでに補償サービスを導入しているが、運営面で課題をある事業者にはお勧めのサービス」だと堤氏は語る。
ソラコムが掲げるビジョンは「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ」だ。
「素晴らしいプラットフォームを作れるようにチーム一丸となって取り組んでいきたい」
最後に玉川氏はこう語り、キーノートを締めた。
