Python 3.7の新機能
- タイトル:What's new in Python 3.7
- 発表者:STEPHANE WIRTEL
- セッション動画
このセッションではPython 3.7の新機能の紹介がありました(Python 3.7の開発ロードマップはこちらからPEP-537)。
セッションで紹介されたPython 3.7のリリース新機能について紹介します。
[PEP-553] Built-in breakpoint()
Python 3.7から新たに組み込みブレークポイントが追加されました。
これまでデバッガといえば次のようなものがありました。
- pdb
- ipdb
- pudb
- pdbpp
しかし、ブレークポイントを設定する場合、下記のように記述をするため、これまでいくつかの問題点が挙げられていました。
foo() import pdb; pdb.set_trace() bar()
問題点
- 27文字と多く入力が大変
- タイプミスをしやすい
- Linterに一行の中に2つのステートメントが入っていると注意されることがある
- プログラムからデバッガを起動するコードに一貫性がない
これらの理由からデバッガの環境が複雑になったため、デバッガの汎用APIとして今回追加されたものが、breakpoint()
です。
これまでと同様に、コード中にbreakpoint()
と記述することでデバッガを起動することができます。
これにより共通のインターフェースでデバッガを使用することができるようになりました。
def divide(e, f): breakpoint() return f / e a, b = 0, 1 print(divide(a, b))
$ python bugs.py > /tmp/bugs.py(3)divide() -> return f / e (pdb)
上記のようにデバッグが可能になり、デフォルトでbreakpoint()
はpdb.set_trace()
を使用します。
また、PYTHONBREAKPOINT
により各種設定が可能です。
PYTHONBREAKPOINT=0 # デバッグを無効化 PYTHONBREAKPOINT='' or PYTHONBREAKPOINT= # デフォルトのpdbを使用 PYTHONBREAKPOINT=callable # 任意のデバッガを指定(例:pudb.set_trace)
[PEP-557] Data Classes
Python 3.7からクラスに@dataclass
を付与することで__init__
、__repr__
、__eq__
等のメソッドを自動作成する機能が追加されました。
@dataclass class Position: name: str latitude: float = 0.0 longitude: float = 0.0
特定のメソッドのみの有効化や無効化も引数を用いて指定ができます。
init=True # __init__ repr=True # __repr__ eq=True # __eq__ order=True # __lt__, __le__, __gt__, __ge__ frozen=False # __setattr__, __getattr__ ...
>>> @dataclass(frozen=True) ... class Person: ... firstname: str ... lastname: str ... age: int ... >>> person = Person('code', 'zine', 25) >>> person.age = 26 # dataclasses.FrozenInstanceError: cannnot assign to field 'age'
[PEP-563] Postponed Evaluation of Annotations
今まででは型の前方参照ができない問題があり、下記のようなコードは実行時に未定義となってしまいました。
class Node: def __init__(self, left: Node, right: Node) -> None: self.left = left self.right = right -> NameError: name 'Node' is not defined
しかし、Python 3.7ではannotations
を利用することで、実行時まで評価を遅延されることで型の前方参照ができるようになりました。
from __features_ import annotations class Node: def __init__(self, left: Node, right: Node) -> None: self.left = left self.right = right
[PEP-564] Add new time functions with nanosecond resolution
timeモジュールに6つのナノ精度の関数がサポートされました。
従来、Pythonのfloat型は104日制限という問題があり、これは64bitのIEEE 754フォーマットの浮動小数点型は、この制限により104日以降にナノ秒の精度を失うという問題です。
その問題以外にも、多くのベンチマーク計測などでは関数の呼び出し時間が100ns未満であることから、数ナノ秒の差の計測が重要となっていました。
そこで、これらの問題を解決するために新たにナノ精度の関数がtimeモジュールに追加されました。
time.clock_gettime_ns time.clock_settime_ns time.monotonic_ns time.perf_counter_ns time.process_time_ns time.time_ns
[PEP-565] Show DeprecationWarning in __main__
Python3.2のDeprecationWarningはデフォルトで非表示となっていたため、開発者が非推奨であることに気がつくのが遅れるという問題がありました。
そこで__main__
でも表示されるように新たに変更されました。
Class | 意味 |
---|---|
FutureWarning | デフォルトで常に警告を表示する |
DeprecationWarning | __main__とテスト時に警告を表示する |
PendingDeprecationWarning | テスト実行時のみ警告を表示する |
[PEP-567] Context Variables
非同期環境でも動作するコンテキスト変数としてcontextvarsモジュールとContext、ContextVarクラスが追加されました。
import contextvars var = contextvars.ContextVar('var', default=42) print('without context', var.get()) # 42 var.set('spam') def main(): print('inside', var.get()) # inside spam var.set('ham') print('inside', var.get()) # inside ham ctx = contextvars.copy_context() ctx.run(main) print('outside', var.get()) # outside spam
[PEP-545] Python Documentation Translations
Pythonドキュメントの翻訳に日本語、フランス語、韓国語が追加されました。
今後中国語などの追加も検討しているようです。
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