OpenStack Summit Keynote(1日目)
1日目のKeynoteで、OpenStack FoundationのExecutive DirectorであるJonathan Bryce氏から「OpenStack Summit」が次回より「Open Infrastructure Summit」へ変わることが発表されました。現在、世界中で75ものパブリッククラウドのデータセンターがOpenStackで稼働しており、プライベートクラウドも含めれば非常に多くのデータセンターでOpenStackが稼働しています。金融、公共、テレコム、製造業など、さまざまな分野で利用されており、1,000万コアものコンピューティングリソースがOpenStackによって提供されています。
一方で、仮想マシンやデータセンターを管理するOpenStackだけでは、日々変化するクラウド基盤に求められるニーズへ対応するのが難しくなってきており、コンテナやNFV、エッジコンピューティング、GPU、AI、CI/CDといった領域まで「Open Infrastructure Summit」ではスコープを広げようとしています。実際、本イベントでも、OpenStack以外のセッションが数多く取り上げられています。
先日、IBMによる買収が発表されたRed Hatや、2016年からパブリッククラウドサービスを開始したドイツテレコム、VolksWagen、HuaweiなどからOpenStackに関連する取り組みや導入事例が紹介されました。
Red HatからはOpenStackの最新バージョンである「Rocky」をベースとしたRed Hat OpenStack Platform 14のリリース(11月13日)がアナウンスされ、OpenStack上のOpenShiftをより強化していくことが発表されました。IBM買収に関する発表は特にありませんでしたが、スライドの色が赤ではなく、青みがかっていたのがRed Hatの未来を象徴しているかのようで印象的でした。
1999年に創業したフランスのVPS(Virtual Private Server)企業であるOVHは、世界中に28のデータセンターを有し、36万台のサーバ、140万ものお客様を抱えています。商用環境で26万インスタンス(仮想マシン)、Swiftと呼ばれるオブジェクトストレージで150ペタバイトもの大規模な環境をOpenStackで運用していることが紹介されました。すでに稼働している24の地域に加えて、新たに3地域を追加していますが、OpenStack環境の構築自動化により、8時間でデプロイを完了しています。
これだけ大規模な環境の場合、OpenStackのアップグレードが大きな課題となります。OVHは約1年間の研究開発に取り組み、JunoからNewton(いずれもOpenStackのバージョン名)へ、仮想マシンを止めることなく4時間でアップグレードしています。クラウドベンダーや大規模なSNSベンダーの一部は、OpenComputeプロジェクトに代表されるようにサーバやストレージ、データセンターを自ら設計し、製造を専門業者へ委託していますが、OVHは設計だけでなく、サーバを自ら製造し、コスト最適化を実現しています。
KeynoteではOpenStackの更新量についても取り上げられました。OpenStackは、1年間で70,000もの更新が取り込まれており、最新バージョンの「Rocky」では182回もの更新が1日に発生しています。更新は、米国が最も多く、中国、イギリスが続いてますが、4番目に多い国が本イベントを開催したドイツとなっています。日本は、7番目に更新が多い国となっています。OpenStackは、数多くの商用環境で採用されており、昨今では運用者向けの改善や機能追加が増えています。PTG(Project Teams Gathering)と呼ばれる開発者向けのイベントへ運用者の参加も増えており、更新全体の20~30%は運用者によるコミットとなっています。
