表現を変えたいときに引く
文章に変化を付けたいときも、辞書を引きましょう。
同じ言葉が続けて出てくると、文章が単調になります。変化を付けるため、別の言葉にしたくなります。といっても、テクニカルライティングでは、名詞を安易に変えてしまうわけにはいきません。例えば、最初に「オーバーフロー」と書いて、次に出てくるときにそれを「桁あふれ」と書いてしまうと、読者は違うことだと誤解するかもしれないのです。動詞も、例えばファイルを「保存する」と「セーブする」は(この例はまず大丈夫ですが念のために)、どちらか一方だけに統一します。そういった誤解をあまり心配せずに表現を変えられるのは、形容の言葉です。
例として「Aさんの書いたコードはすばらしい。Bさんのもすばらしい。」という文を考えてみましょう。「すばらしい」が繰り返し登場してダサいですね。「すばらしい」を言い換える言葉を探してみましょう。
そのような目的には、シソーラス(類語)の載っている辞書が適しています。Web上でもそのような辞書が公開されています。「類語 同義語 辞典」といった検索ワードでググってみてください。
私の使っている学研国語大辞典には「すばらしい」のシソーラスが掲載されています(次の画像)。「見事(みごと)です」や「天晴(あっぱれ)です」あたりは使えそうですね。
また、全文検索も活用できます。電子辞書によっては、全文検索の代わりに説明文を対象に検索できるものもあります。Webの辞書には、そのような全文検索機能を備えているサイトもあります。そんな機能がWebサイトにないときは、サイトを指定してググればいいですね(例えばGoogleなら「検索オプション」のページで「サイトまたはドメイン」欄に指定します)。
手元の辞書を「すばらしい」で全文検索してみると、次の画像のような言葉が見つかりました。いずれも1998年発行の電子辞書です。
故事ことわざ辞典からの「舌を巻く出来栄えです」、漢和大字典の「絶妙(ぜつみょう)です」/「素敵(すてき)です」(「絶妙」の3つ上)なども使えそうです。
まとめ
辞書には、知らない単語を調べるほかに、使い分けを調べたり言い換えを調べたりといった活用法もあります。昔は図書館で机の上に何冊も辞書を広げて調べたものですが、今では電子辞書やWebを使って場所も時間も取らずに探索できます。テクニカルライティングに限らず文章を書くときには、辞書を上手く使いましょう。