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オープンから1年、LINE KYOTOは今どうなった? 少人数で高い専門性を持つエンジニア集団の実態

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 LINEが京都に開発専門の拠点を開設したのが1年前。あらためてLINEの開発文化にも触れつつ、現在のLINE KYOTOがどう育ったのかLINE 上級執行役員 サービス開発担当 池邉智洋氏と同 Developer Relationsチーム 藤原聖氏に聞く。

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開発カルチャーのキーワード:Take Ownership、Trust and Respect、Be Open

 LINE KYOTOの前に、LINE全体の開発文化に触れておこう。LINEは「LINE」アプリを中心にさまざまなサービスを展開しているのは周知の通り。近年では金融系サービス開発にも積極的だ。また開発者向けにMessaging APIやLIFF(LINE Front-end Framework:LINE内で動作するWebアプリのプラットフォーム)、SDKなども提供している。

 常に約100もの開発プロジェクトが並行して稼働しており、世界全体では約2200人のエンジニアがいる。このLINEの開発環境において、重要なキーワードが3つある。「Take Ownership」「Trust and Respect」「Be Open」だ。

 「Take Ownership」は「オーナーシップを持つ」ということで、主体的に取り組む姿勢を表す。自分が担当するプロジェクトにオーナーとして向き合い、「ユーザーにとって本当に役に立つのか、必要か」と本質から考えていく。

 「Trust and Respect」は「信頼し、尊重する」。LINEでは多様な国や地域、文化、言語に向けたサービスを提供しており、エンジニア仲間も同じように多様だ。例えばコードレビューで意見が分かれたとしても、互いへの信頼と尊重をもっていい方向を見いだしていく。

 「Be Open」は「オープンになる」。開発するなかで自分の意見を伝え、仲間との連携を強めて、よりよいサービスを完成させていく。秘密主義であってはいけないということだ。

 LINE 上級執行役員 サービス開発担当 池邉智洋氏は、こうした開発環境を「心地よい緊張感を持ち、互いを高め合っていく文化があります。技術が好きな人、飽くなき探究心を持つ人、いわばギークが多いです」と語る。

LINE 上級執行役員 サービス開発担当 池邉智洋氏
LINE 上級執行役員 サービス開発担当 池邉智洋氏

 「LINE」のリリース以前から同社で開発に携わってきた。現在はLINE KYOTO責任者、ファミリーサービスに関わる組織のセンター長、Data Labsの室長、さらにはLINE子会社のLINE Growth Technology 代表取締役社長も務めている。

エンジニアのみで高度な開発に専念し、グローバルで和気あいあいとした職場

 LINEのエンジニア拠点は東京本社のほかに、福岡(LINE Fukuoka)と京都(以下、LINE KYOTO)がある。LINE KYOTOは最も新しい。2017年秋の「LINE DEVELOPER DAY 2017」にて構想が発表され、準備期間を経て2018年6月に正式オープンした。

 LINE KYOTO設立を主導してきた池邉氏は、京都を選んだ理由として「これまでの採用実績を見ると、京都をはじめとする関西圏出身者や関西圏にある学校卒業者が一定数いることに気づきました。いろいろなライフステージがあるなか、京都(関西)に戻りたいという要望を拾えると考えました」と話す。実際、現在LINE KYOTOに常駐しているエンジニアの中には京都出身で首都圏在住から異動した人、大阪在住でLINEに転職した人もいる。

 同社 Developer Relationsチーム 藤原聖氏は「京都にいるエンジニアや学生とのタッチポイント」としての役割を挙げる。LINEでは社内外のエンジニアや学生向けに勉強会や交流会を開催することもあり、拠点があればいい接点になる。

LINE Developer Relationsチーム 藤原聖氏
LINE Developer Relationsチーム 藤原聖氏

 藤原氏自身ももともとエンジニアで、現在はエンジニア採用やLINE DEVELOPER DAYなどエンジニア向けのイベントなども担当する。個人でも技術コミュニティへの貢献を行っており、Kotlin Fest 2018ではオーガナイザーを務めた。

 LINE KYOTOの特徴を見ていこう。まず開発に特化した拠点であることが挙げられる。東京や福岡と異なり、営業など開発以外の部署を持たない。基本的にほぼエンジニアだけの拠点なので、エンジニアドリブンのプロジェクトを回していることが多い。例えばLIFFやさまざまなSDKなどの開発者向けプロダクトの開発、AIアシスタント「Clova」のための自然言語処理や音声認識などだ。池邉氏は「LINE KYOTOは現在23人の規模ですが、少人数で高い専門性が必要な領域のプロジェクトを担当している人が多いです」と話す。なおフロントエンドやバックエンド担当もいて、人数の割に専門分野は幅広い。

 とはいえ、どのプロジェクトも1つの拠点だけで完結することはない。実際にはチャットやビデオ会議を通じてコミュニケーションすることが多い。例えばClovaの自然言語処理を担当するエンジニアは頻繁に韓国のエンジニアとコミュニケーションしているという。必要に応じて通訳が入る。通訳は東京にしかいないが、ビデオ会議で通訳が参加することが可能になっている。所属する拠点ごとの特徴はありつつも、仕事は拠点で閉じることはなく進められている。

 多国籍であるのもLINE KYOTOの特徴だ。現時点で所属するエンジニアは日本人と外国人がほぼ半々か、外国人のほうが若干多い。そうなると日本語か英語でコミュニケーションすることが多い。自然に英語が上達したエンジニアも少なくない。藤原氏はこう話す。「最近LINE KYOTO所属のエンジニアと会議した際、全て英語で会話していました。半年前の入社時には『英語はあまり話せません』と言っていたので上達に驚きました。毎日英会話レッスンしてから出社しているそうなので、本人の努力と環境の相乗効果でしょうね」

 ここまで聞くと高い英語力が必要なのではと思うかもしれないが、その心配は要らない。LINE KYOTOのエンジニアたちは「はじめから英語が話せなくても大丈夫」と異口同音に言う。日本語が母国語ではないエンジニアでも日常会話なら不自由なく話す人は多く、日本にきて入社してから日本語が上達した人もいる。エンジニアで大事なのは技術の知見なので、コミュニケーションで困ることはないだろう。入社時点で外国語のスキルは必須ではなく、入社後に希望をすれば語学講座の受講費用の支援も受けられる。

 加えてLINE KYOTOはまだオープンして1年、少人数のオフィスなので和気あいあいとした雰囲気も特徴だ。オフィスが京都の繁華街にあるため、周辺のカフェなどにみんなでランチに行くことも多い。勤務後は気のあう仲間とボードゲームに興じたり、週末にはバーベキューが企画されたりすることもある。オープン間もないこともあり、それぞれ親密さを深めようと交流も盛んだ。

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こぶりなオフィスだと小回りが利く 地元に愛される拠点へと

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/11590 2019/07/05 12:00

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