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『カイゼン・ジャーニー』『チーム・ジャーニー』トークイベント

現場で起きた「カイゼン」とは?『カイゼン・ジャーニー』『チーム・ジャーニー』LT大会レポート

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 「働き方が変わり、時間の使い方が変わり、コミュニケーションのスタイルが変化しています」イベント募集ページの冒頭で言及されているように、コロナ禍の影響を受け私たちの在り方は変化を余儀なくされています。そんな状況で開催された『カイゼン・ジャーニー』、そして『チーム・ジャーニー』を手に取った人々のLT大会について詳しくレポートしていきます。

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カイゼン・ジャーニー編

1. ハヤシアキラさん 「官公庁・カイゼン・ジャーニー」

3年間の孤軍奮闘

 トップバッターは、開発者ではなく研究者だという林さん。

 林さんが従事されている業務は「資源評価」。いわしの漁獲量などを計算し、計算した結果をもとに漁獲可能枠など決めていくという重要な業務です。この業務は、林さんいわく「暗黙知ウォーターフォール」であるとのこと。ExcelとWordをフル活用しながらも暗黙知に依拠するところが大きく、入社してからずっとカイゼンするために孤軍奮闘していたとのことです。

カイゼンジャーニーとの出会い

 孤軍奮闘から3年。2019年に開発チームが結成され、いよいよ林さんの宿願であるカイゼンに着手していきました。

 プロダクトの方向性を明確にしないまま進んだ結果、大きな方向転換など必要になり、順風満帆とはいかなかったようですが、孤軍奮闘の日々を思えば仲間がいるだけで十分に楽しい日々だったようです。

 かといってなんとか……というときに『カイゼン・ジャーニー』と出会い、チーム開発の方法論を初めて知ったとのこと。仲間にも伝え、概念や問題を表現する言葉を得ることができたそうです。書籍がもつ力ってまさにこれですよね、共通言語の形成。

仕事とは価値づくり

 見える化はできたものの、ビジネスに食い込めたという実感はまだ得られていないとのこと。「じぶんたちのやっていたことはアジャイルごっこだった」と厳しい自己評価を下しつつ、「仕事とは価値づくりだ」という気づきを得た林さん。

 官公庁でこういったカイゼンの動きがあるというのは、「この国は、まだやれる。」という希望を我々にもたらしてくれますね。

2. ニシグチエイイチ(西口瑛一)さん 「社内勉強会からはじめる越境」

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 ベルフェイスで自社プロダクトのbellFaceのリプレイス中、最近スクラムマスターを始めたという西口さんからは「会社であった越境」についての話。

事業部ごとのエンジニアの境界

 ある程度の規模の会社になると、事業部門によって境界ができてしまうというのはよくある話。西口さんの現場も例外ではなく、保守/リプレイス部門の間に境界線が生まれ、お互いに「よくわからない」という状況が出来上がってしまったとのこと。

 その状況を打破すべく、社内勉強会を今年の一月からはじめたのですが、これがなんと隔週で継続するなどかなり活況を呈しています。

 「リプレイスするためには保守・リプレイスどちらのスキルも必要だ」という必要に迫られたところから始まった勉強会は、いまではエンジニアに限らず幅広い職種が参加し、広範囲に越境する場になりつつあるとのことです。

越境のサイクルを作り出す

 この状況を作り出すために、西口さんはカイゼン・ジャーニーの「越境のサイクル」を参考にしました。その越境のサイクルをベースにした勉強会が生み出した効果は以下のとおり。

  • 社内だけでなく、社外へも登壇
  • 社内勉強会がきっかけで施策が生まれた
  • 合計参加部署が13、大きく越境していった
  • 広報を味方につけた
  • 業務でかかわった人が困っていたことを勉強会で取り上げた

 終了後の質疑応答で、西口さんは「最初は人が集まらず、辛かった」とお話されていました。しかしそのつまずきにめげず「ふみだす・あらわす・まきこむ」を繰り返した結果が、前述の成果につながっていると考えると、やはり継続は力なり、ということを実感します。

3. モリタケヤスフミさん 「『カイゼン・ジャーニー係』のジャーニー」

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組織変更を期待マネジメントで乗り切る

 medibaのエンジニア、モリタケさんはなんと「カイゼン・ジャーニー係」。「書籍カイゼン・ジャーニーをつうじてアジャイル開発の推進やアジャイル開発のマインドセットを伝える係」とのことで、著者公認の係であるとのこと。

 そんなモリタケさんの今日の話は、「期待マネジメント」が軸になっている。今年の春に組織変更があり、チームメンバーの半分が入れ替わり、また評価方法も360度方式に変わったとのこと。その中で感じた課題が「期待値の不一致」でした。

 そこで実践したのが「ドラッカー風エクササイズ」。実際にやってみると、「もっとアジャイル開発を推進してほしい」「さらにスクラムを推進してほしい」というような「カイゼンを強力に推進する」ことを期待するフィードバックが集まりました。

 一方で、モリタケさん自身は強制力のあるような推進はしないように心がけていました。これは、アジャイル開発の実践やスクラム開発の導入は手段であって目的ではなく、内発的動機に基づいて推進していきたいという想いがあるからでしょう。

なによりも対話が大事

 ドラッカー風エクササイズを実施したところ、モリタケさんの想いと現場の期待値にはギャップがあるということがわかりました。ここで気を付けておきたいのは、ギャップがあるからダメ、ということではないという点です。ギャップが明確になっていれば、それを埋めるための行動をどうするか対話することができます。対話が対話を呼ぶ構図ですね。

 モリタケさんは、あらためてチームビルディング3種の神器(インセプションデッキ/ドラッカー風エクササイズ/星取表)の威力を実感したとのことで、イベントでもこれらの実践を推奨していました。

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この記事の著者

小田中 育生(オダナカ イクオ)

 開発(Develop)を愛する人たちの集まり、DevLOVEによく出没する人。 所属する企業においては、研究開発のディレクションとエンジニアがいきいきと働けるDX(Developer eXperience)を重視した風土づくりという両輪を回し続けている。 近年はアジャイル開発に助けられているが、一番助けてくれているのはいつも一緒にいるチームメンバーたちだったりする。 Twitter:@dora_e_m note:https://note.com/dora_e_m 著書『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』(インプレス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/13286 2020/12/18 11:00

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