育児中にカンファレンススタッフとして活躍できた理由
札幌でリモートワーカーとして働く藤原さん。デブサミウーマンにも自宅からのリモート参加となった。エンジニアとしての仕事の傍ら、社外勉強会にも積極的に参加しており、Sapporo.phpやTwitterで知り合った仲間とのもくもく会、LaravelとVue.jsの勉強会などの主催・参加のほか、PHPMatsuriやPHPカンファレンス北海道(2019)などの主催・スタッフを務めるなど、幅広く活躍している。
プライベートでは24歳で結婚し、29歳で長女を出産。出産時については2月の予定日に向けて体調が安定しない7〜8月には休業し、その後はいつ入院してもいいような体制をとるべく、調査系のタスクを担当し、上司との連携を密に図っていたという。そして前年の年末まで仕事を続け、最後の1カ月はタクシーで通勤していた。
そして予定日の2週間前から、車で20〜30分の実家に里帰りし、出産後の4月末まで滞在。自宅近所の認可保育園にたまたま0歳児の空きがあり、生後5カ月から通園できることになる。
保活ゼロ日で入園できたことについて、藤原さんは「最寄り駅から徒歩15分、延長保育もないために人気がなかったというのが、ラッキーだったと思います。母乳がうまくいっていないこともあり、さっくり諦めて粉ミルクにしたことで、自分だけでなく皆に手伝ってもらえる環境を整えることができたのも大きかったです」と振り返る。
そして、翌年2012年、長女が1歳9カ月の時に福岡の「PHP Matsuri」に参加。「スタッフをやります」といったことをきっかけに、翌年開催の「PHP Matsuri」には青年団団長として参加することとなる。この時、長女が2歳3カ月というタイミングだったが青年団スタッフは東京のほか全国各地におり、FacebookグループとGoogleスプレッドシートでリモート運営ができていたため、特に不自由はなかったという。
当日は全国から集まったエンジニアによる24時間耐久ハッカソンを開催したが、土曜日の保育園送迎および日曜日の子守を夫が担当し、なんとか乗り切ることができた。
そして、コロナ禍の前年2019年には「PHPカンファレンス北海道」をオフラインにて開催する。この年には8つものPHPカンファレンスが開催され、スタンプラリーが行われるほどの盛況ぶりだった。藤原さんはその怒涛の日々をこのように評する。
「この時もノリと勢いだけで開催宣言をしてしまい、できたばかりの新しい会場をおさえにいきました。札幌在住のスタッフが月1で集まってミーティングを行い、それ以外のやり取りは、Slackで管理していました。言い出しっぺの法則で、実行委員⻑に就任したものの、開催宣言から当日の間に転職することになり、転職先からのイベントスポンサーももらい、東京方面からも数名登壇・参加してもらうなど協力してもらえました」
そして2019年には、米国で行われたAWSカンファレンス「re:Invent 2019」にも会社から派遣される形で渡米。以上のイベントについて、藤原さんは改めてタイムラインで振り返り、紹介した。その中には2014年に離婚を経験したことで実家の近くで2人暮らしを始めたことや、小学校になって延長保育ができなくなったこと、自宅の引っ越しなどプライベートのイベントも含まれている。
藤原さんはこの10年を「娘や家族の理解・協力が不可欠」と改めて振り返り、会社からの学びに対する支援も大きかったと改めて謝意を述べた。特に、転職先である「ゆめみ」からの支援は大きく、技術書購入や資格取得などはもちろん、カンファレンスへの参加にかかる参加料・交通費などについてもアウトプットを出せれば(会社から)支援を受けられるという。
また、コロナ禍の影響で多くの勉強会がリモートになったことも藤原さんにとってはメリットになったようだ。子育て中は、子供を預けて夜の時間帯に外出するのは難しい。子供が小さいうちは、たとえ地元で開催されている勉強会があっても、平日の夜に参加することは難しいことが多かった。子供が手離れしてきたタイミングでのコロナ渦となり、今まで参加したくても参加できなかった全国各地の勉強会が自宅にいながらリモートで参加できるようになった。嬉しくなってあれもこれも参加したいと参加申込をしていたら、カレンダーが予定で一杯になってしまったこともあった。今後は参加者同士の交流が課題だという。