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Women Developers Summit セッションレポート(AD)

子育て中のエンジニアコミュニティ活動奮闘記録――ライフステージに合わせた働き方や学びへの工夫【デブサミウーマン】

【B-5】子育て中のエンジニア奮闘記 10年を振り返る

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 プライベートでは10歳の子どもの母親で、札幌からリモートワークでエンジニアとして働く藤原さん。PHP歴20年、エンジニア歴15年というキャリアを擁し、社内外問わず、数名~全国規模のカンファレンス主催など多くのエンジニア向けイベントに携わってきた。妊娠出産を経ての仕事復帰や離婚、転職、引っ越し、コロナ禍と、嵐のように過ぎ去った10年間を子育てのタイムラインとともに振り返った。また、藤原さんの働き方や学びの工夫などへの質疑応答についても紹介する。

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株式会社ゆめみ マーケティングソリューション事業部 藤原麻希氏
株式会社ゆめみ マーケティングソリューション事業部 藤原麻希氏

育児中にカンファレンススタッフとして活躍できた理由

 札幌でリモートワーカーとして働く藤原さん。デブサミウーマンにも自宅からのリモート参加となった。エンジニアとしての仕事の傍ら、社外勉強会にも積極的に参加しており、Sapporo.phpやTwitterで知り合った仲間とのもくもく会、LaravelとVue.jsの勉強会などの主催・参加のほか、PHPMatsuriやPHPカンファレンス北海道(2019)などの主催・スタッフを務めるなど、幅広く活躍している。

 プライベートでは24歳で結婚し、29歳で長女を出産。出産時については2月の予定日に向けて体調が安定しない7〜8月には休業し、その後はいつ入院してもいいような体制をとるべく、調査系のタスクを担当し、上司との連携を密に図っていたという。そして前年の年末まで仕事を続け、最後の1カ月はタクシーで通勤していた。

 そして予定日の2週間前から、車で20〜30分の実家に里帰りし、出産後の4月末まで滞在。自宅近所の認可保育園にたまたま0歳児の空きがあり、生後5カ月から通園できることになる。

 保活ゼロ日で入園できたことについて、藤原さんは「最寄り駅から徒歩15分、延長保育もないために人気がなかったというのが、ラッキーだったと思います。母乳がうまくいっていないこともあり、さっくり諦めて粉ミルクにしたことで、自分だけでなく皆に手伝ってもらえる環境を整えることができたのも大きかったです」と振り返る。

 そして、翌年2012年、長女が1歳9カ月の時に福岡の「PHP Matsuri」に参加。「スタッフをやります」といったことをきっかけに、翌年開催の「PHP Matsuri」には青年団団長として参加することとなる。この時、長女が2歳3カ月というタイミングだったが青年団スタッフは東京のほか全国各地におり、FacebookグループとGoogleスプレッドシートでリモート運営ができていたため、特に不自由はなかったという。

 当日は全国から集まったエンジニアによる24時間耐久ハッカソンを開催したが、土曜日の保育園送迎および日曜日の子守を夫が担当し、なんとか乗り切ることができた。

 そして、コロナ禍の前年2019年には「PHPカンファレンス北海道」をオフラインにて開催する。この年には8つものPHPカンファレンスが開催され、スタンプラリーが行われるほどの盛況ぶりだった。藤原さんはその怒涛の日々をこのように評する。

 「この時もノリと勢いだけで開催宣言をしてしまい、できたばかりの新しい会場をおさえにいきました。札幌在住のスタッフが月1で集まってミーティングを行い、それ以外のやり取りは、Slackで管理していました。言い出しっぺの法則で、実行委員⻑に就任したものの、開催宣言から当日の間に転職することになり、転職先からのイベントスポンサーももらい、東京方面からも数名登壇・参加してもらうなど協力してもらえました」

 そして2019年には、米国で行われたAWSカンファレンス「re:Invent 2019」にも会社から派遣される形で渡米。以上のイベントについて、藤原さんは改めてタイムラインで振り返り、紹介した。その中には2014年に離婚を経験したことで実家の近くで2人暮らしを始めたことや、小学校になって延長保育ができなくなったこと、自宅の引っ越しなどプライベートのイベントも含まれている。

 藤原さんはこの10年を「娘や家族の理解・協力が不可欠」と改めて振り返り、会社からの学びに対する支援も大きかったと改めて謝意を述べた。特に、転職先である「ゆめみ」からの支援は大きく、技術書購入や資格取得などはもちろん、カンファレンスへの参加にかかる参加料・交通費などについてもアウトプットを出せれば(会社から)支援を受けられるという。

 また、コロナ禍の影響で多くの勉強会がリモートになったことも藤原さんにとってはメリットになったようだ。子育て中は、子供を預けて夜の時間帯に外出するのは難しい。子供が小さいうちは、たとえ地元で開催されている勉強会があっても、平日の夜に参加することは難しいことが多かった。子供が手離れしてきたタイミングでのコロナ渦となり、今まで参加したくても参加できなかった全国各地の勉強会が自宅にいながらリモートで参加できるようになった。嬉しくなってあれもこれも参加したいと参加申込をしていたら、カレンダーが予定で一杯になってしまったこともあった。今後は参加者同士の交流が課題だという。

手を上げて自らを追い込み、呼吸するように学びを取り入れる

 藤原さんの発表の後、Ask the Speakerの時間が設けられた。藤原さんの経験や悩みに対して寄せられた共感の声および質問について一問一答で紹介する。

Q.「小1の壁(延長保育がなくなり、小学校が午後2時位で終わってしまうことにより、保育園・幼稚園に通っていた頃と比べて仕事との両立が難しくなる問題)」の悩みが深いです。どのように乗り越えたのでしょうか。

藤原さん:自治体によって環境はかなり異なり、一概には言えませんが、札幌は学童保育が充実していたのでそれを利用しました。1年生から6年生まで標準時間帯(学校がある日は下校~18時まで、土曜日や長期休暇などの休日は8時45分~18時が標準時間帯)は無償で預かりが可能となっており、早朝・夕方延長分だけ費用がかかるシステムでした。夏休みに早朝から行けるようにした程度で十分働く時間を確保できました。

Q.育児中に勉強会に参加するコツはありますか?

藤原さん:夜の時間帯に勉強会があるときは、開始前に夕食を終わらせるようにしています。子供が一人でお風呂に入れるようになったのも助かりました。勉強会を入れていることを伝え、食事を早めることを伝えるようにしました。

Q.夕方の勉強会は食事がかぶりがち。どのように調整すべきでしょうか。

藤原さん:食事は前倒ししています。お風呂は9歳頃から1人で入れるようになったので、かなり夜の時間を使えるようになりました。

Q.子育て中も、積極的に学びや社外活動に参加するために、コツや心がけなどがあればお聞きしたいです。

藤原さん:スタッフ活動については、衝動が先に来て、「やりたい」とまずは手を上げてやらざるを得ない状況をつくることが大切です。インプットについては「勉強しなきゃ」という義務感があるというより、息をするように申し込んでいます。Twitterを見ると、アウトプットしている人に刺激を受け、勉強会のお知らせが来たら参加申し込みをします。気負わず、日々のサイクルの中に取り入れるのがコツです。仕事と生活、勉強の境目がなくなっており、それがいい方に影響しているのだと思います。

Q.子どもとの時間はどのくらいとれているか。どのようにして取るようにしているか。

藤原さん:なかなか難しいところです。子どもも10歳になり、自分の時間を多くとるようになったので、朝食や夕食などでしか話す時間が取れていないが、できるだけいろいろなことを話すようにしています。

Q.一般事務からエンジニアへキャリアチェンジしたきっかけなどについて伺いたい。

藤原さん:毎日淡々と同じ仕事をすることが向いていないと思いました。もともと会社がIT系で、周囲にエンジニアも多かったことから、身近な存在として認識していました。そのためハードルは感じていなかったものの、自分がエンジニアになれるとは思えず、まずは辞書のような分厚い本を購入し、数年勉強してから社内での異動願を提出しました。今は勉強会などいろいろ学べる機会があるので、挑戦のハードルは下がっているはず。ぜひ、興味のある人は挑戦してほしいです。

テクノロジーで環境改善――エンジニア職は女性に向いている

 最後に藤原さんは、「一番つらかったのは、乳児期の産後復帰が決まっていない頃です。乳児保育はとにかく大変で、勉強会からも足が遠のいており、保活の大変さばかりが情報として入ってくるたびに不安感を募らせていました。そこでたまったフラストレーションが2013年頃に爆発し、衝動的にカンファレンススタッフに名乗りを上げたのだと思います」と語り、「そんなエンジニアの生き方もありといえばあり」と笑った。

 そして、「10年前は、エンジニアの仕事のブラックさばかりが強調される傾向があり、女性の仕事としてどうかと思う人も多かったと思います。しかし、近年はテストの自動化などテクノロジーの進化もあって、リリース前のバグ探しが格段に楽になり、普通に人間らしい生活ができるようになってきました。働く環境が整い、基本的にデスクワークで、リモートワークでも仕事が進めやすいので、女性にも向いている仕事のはずです」と語った。

 最後に、現在所属する株式会社ゆめみについて、「Webやモバイルのサービスデザインの企画・運営・保守までを得意としている会社で、エンジニアが働きやすい環境が整っています。ぜひ、興味がある人は問い合わせてほしいです」と紹介し、セッションを終えた。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/15326 2022/01/06 12:00

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