醍醐味は「開発したソリューションでクライアントの課題が解消する」こと
元々はコードが書くのが好きで、「バグ修正でもコードが書けるだけで楽しかった」という野尻氏。そんな野尻氏が選んだキャリアトラックは「ソリューションエンジニア」だった。ロジックを考えることが好きな人は「AIエンジニア」になるという選択肢もあるが、野尻氏はなぜソリューションエンジニアを選んだのか。
「AIエンジニアが作ったロジックをソリューションとして整えて、お客さまに提案をしていくことに面白さを感じたからです」
現在はこう語る野尻氏だが、配属された当初は「クライアントコミュニケーションは苦手だなと思っていました」と語る。だが、気づいたらクライアントと機能改善や機能追加のコミュニケーションができるようになり、プロジェクトを回すことができるようになっていた。
「ソリューションエンジニアとして携わる方が、自分たちが作ったものを使ってもらえる確率が高くなる」と考えたことも、ソリューションエンジニアを選択した理由の一つだ。さらに、AIエンジニアを志望する人が多いことも背景にあるという。
「みんなとは違うことに携わることもいいなと。とはいえ、当社のキャリアトラックはパキッと明確に分かれているわけではなく、私もロジックの開発などに携わることがあります。ARISE analyticsのプロジェクトを進めていくには、データサイエンス力、データエンジニアリング力、ビジネス力の3つのスキルが求められます。4つのキャリアトラックはいずれも、どの力がより強く求められるかの違いだと思っています。自分の強みを求められるスキルセットに当てはめたとき、最もマッチしていたのがソリューションエンジニアでした」
クライアントとAIエンジニアとの架け橋を目指して
では具体的にソリューションエンジニアとしてどのような業務に携わっているのか。
「AIエンジニアが作ったロジックとクライアント側の課題を照らし合わせて、『この課題を解決するならこのロジックが使える』『この課題を解決するためにこういうロジックを作ってほしい』というように、技術とお客さまの課題を繋げていく架け橋のような役割です」
AIエンジニアが作ったロジックだけでは、お客さまの課題を解決することは難しい。それをソリューションとして整えて提案するのがソリューションエンジニアだというわけだ。
そのため求められるスキルの幅は広く、「クライアントの課題を理解する力はもちろん、AIに関するロジックの概要や種類などの知識が求められます。さらにお客さまに提供する際にはソリューションやシステムとして仕上げていく必要があるので、プログラミングやシステム構築の能力も必要になります」と野尻氏は語る。
ソリューションエンジニアとして活躍するための能力をどうやって身につけてきたのか。野尻氏は「例えばレコメンドエンジンに関する知見は、先輩から教わったことを基に、自分たちで考えたことを実際に実装して結果を出していくことで身につけていきました。社内には高い専門性を持った人たちがたくさんいて、そういう人たちからOJTを通じて学べる環境はとてもありがたいです。私も後輩にコードの可読性など、コードを書く上で気をつけるべきポイントなどを伝えるようになりました」
OJTの充実、同社の「自ら学び」「教えあい」「共に成長する」文化をサポートしているのが、ARISE analyticsの教育制度、ARISE universityだ。トレーニング、ラーニング、キャリアという3つのカテゴリーごとにさまざまなメニューが用意されており、例えば毎週金曜日の午前中は自己研鑽の時間として設定されており、各種勉強会やLightning Talk(LT)を実施する時間が用意されている。「機械学習や統計などに関する専門知識をメンバーが披露してくれるんです。またLTは技術の話だけではありません。人事部の人たちが法務回りの知識を紹介することもあり、とにかく勉強になります」
研修や勉強会だけではない。自分が作ったロジックを試すことができるインフラ環境の補助も用意されているという。
このように、自由に学べる環境が用意されていることも関係しているのだろう。社員たちはさまざまなワーキンググループ活動やギルド活動を立ち上げ、組織力および個人のスキル向上に取り組んでいる。野尻氏も「コミュニケーションワーキンググループ」や「SDGs推進事務局」「ARISE図書委員会」などの活動に従事している。
「例えば、コミュニケーションワーキンググループでは、情報システムに関する質問を自動返信するSlackボット、図書委員会では、社内の蔵書『ARISE library』の貸し出しシステムのレコメンドエンジンを作りました」
野尻氏が、社内横断的な活動に精力的に取り組んでいるのも、とにかく困りごとを解決したいという思いからだ。
「AIエンジニアたちが作ったロジックをソリューションエンジニアとして世の中に届けることで、自分以外の多くの人に『作ったものが使ってもらえる』喜びを味わってほしい。そのためにも機械学習の知識やクライアントを理解する力をさらに身につけ、クライアントとAIエンジニアの架け橋になり、課題解決に導く新たなソリューションを一緒に生み出していきたいと思います」