約1ヵ月にわたり「Data for Good」実現に向けてハックする
前述したようにグローバルで開催される「SASハッカソン2023」は、現実のビジネス課題や人道的な課題解決を目指すものだ。今回は、「銀行」「エネルギー」「ヘルスケア&ライフサイエンス」「保険」「IoT」「製造」「公共(パブリックセクター)」「小売り・消費材」「通信・メディア」「その他」という10の領域において挑戦するトラックが用意されている。
たとえば、エネルギートラックでは、高い信頼性をもつ持続可能なエネルギーを実現するための分析手法にフォーカスを当てたり、小売り・消費材トラックでは、弾力性のあるサプライチェーン実現に向けて、機械学習などを用いたデータ分析の活用方法を探ったりなど、各領域において重要かつ社会に還元性のあるテーマ設定が求められている。なお、その他というトラックがあるように、上記以外にも興味のある課題に挑戦することも可能だ。
また、前述したようにハッカソンそのものに取り組む期間として約1ヵ月が設定されているが、実際にはチーム組成やテーマ設定、投票、受賞者の発表なども含めて下記タイムラインでの長期間にわたる開催となる。
- 11月:受付開始、チームとビジネステーマを準備
- 1月~2月:事前準備、SASコミュニティでのテクノロジー有効化、リソースおよびサポートを提供
- 3月15日~4月15日:SASハッカソン開始、データとSAS製品などを活用して課題解決へ
- 4月~5月:審査員による投票
- 6月:製造業トラックと「Technology」および「Regional」受賞者を発表
- 9月:「SAS Explore:An Analytics Experience for Technologists」というイベントで賞を授与
既にハッカソンへの参加受付は開始しており、年明けからの2ヵ月間を準備期間に2023年3月15日からスタートとなる。うまく成果を残すことができれば、2023年9月にはSASの年次イベント「SAS Explore」で授賞式に出席することができるのもグローバル規模のハッカソンならではだろう。
なお、過去参加者の実績はホームページ上でも公開されており、SAS Viyaをはじめ機械学習や自然言語処理、Pythonなどを駆使したソリューションが制作されている。たとえば、JAKSTATという「SASハッカソン2022」優勝チームは、インドネシア経済の大半を占める零細・中小企業に対するコロナ禍での支援金配布を最適化できるプラットフォームを作成。ジャカルタ首都圏の起業家や国全体にわたって貢献する成果を残したというから驚きだ。
「SASハッカソン2023」では、基本的に英語でのドキュメントやサポート提供となるが、基本的にデータ分析などにおいて英語のリファレンスを読んでいるエンジニアなどであれば問題ないレベルのものとなる。ちなみに前回優勝チームのインドネシアにおける英語力は、日本と変わらないといわれており、片言の英語でも社会課題を解決したいという情熱とアイデア、それを具現化するチームの総合力で優勝を勝ち取っている。
今回のような大規模なグローバルハッカソンへの参加は、技術レベルの向上だけでなく、普段の業務とは異なる多様なメンバーと社会課題解決に向けてソリューションを世に送り出すことができるなど、まさに社内だけでは得られない経験を得ることのできる貴重な場となるだろう。学生や企業に在籍している若手社員の自主的な参加はもちろん、チームを束ねているリーダーは、本ハッカソンへの参加を若手に促してみてはいかがだろうか。きっと社内では得ることのできない糧を持ち帰り、組織やチームにも還元してくれるはずだ。
「SASハッカソン2023」への参加を受付中!
記事で紹介した「SASハッカソン2023」は、受付を開始しております。企業に所属するデータサイエンティストやエンジニアはもちろん、事業部門側でデータ分析に取り組みはじめたという初学者の方にも参加いただけるイベントです。ぜひ、皆さまお誘いあわせの上でご参加ください!