はじめに
PHPは、この12月にバージョン8.2となりました。前バージョンである8.1から1年ぶりのリリースになります。PHPは、導入のしやすさと使い勝手の良さでリリース当時から人気があり、このバージョン8.2にも洗練と使い勝手の向上を目指した機能が多数実装、改良されました。本連載では、このPHPの最新バージョンである8.2にフォーカスし、その強化・変更ポイントをそれ以前のバージョンからの流れも押さえながら紹介していきます。
分類 | 機能 | 概要 |
---|---|---|
データ型 | 選言的標準形 | UNION型と交差型を同時に利用可能に |
readonlyクラス | 読み出し専用のクラスが定義可能に | |
null型とfalse型 | nullとfalseしか入れられない型が定義可能に | |
true型 | trueしか入れられない型が定義可能に | |
動的プロパティ禁止 | 動的なプロパティの生成を禁止するように | |
定数式中のenumプロパティ | 定数式の中でenumのプロパティを利用可能に | |
トレイト内の定数 | トレイトに定数を記述可能に | |
コールバック | 一部callableの構文削除とその拡張 | callableの矛盾する一部の構文を削除 |
データベース | MySQLiにmysqli_execute_queryを追加 | MySQLiにクエリ実行のための新しい関数mysqli_execute_queryを追加 |
MySQLのモジュールlibmysqlを削除 | mysqlndへ一本化 | |
関数 | 乱数拡張とその改良 | 乱数の生成方法を改良 |
ロケール非依存の関数 | strtolowerなどの関数をロケール非依存に | |
utf8_decodeとutf8_encodeを廃止 | mb_convert_encodingの利用へ一本化 | |
その他 | 新アトリビュート#[\SensitiveParameter] | 引数のスタックトレースへの出力を止める仕組みを追加 |
iterator_to_arrayとiterator_countがiterable受け入れ可 | iterator_to_arrayとiterator_countにiterableを渡すことを可能に | |
文字列内変数展開を一部廃止 | 文字列内変数の展開書式を一部廃止 |
対象読者
- PHPの最新バージョンの機能を把握したい方
- PHPの経験者で、PHPに改めて入門したい方
- プログラミング言語の最新パラダイムに関心のある方
必要な環境
本記事のサンプルコードは、以下の環境で動作を確認しています。
-
macOS Ventura
- PHP(8.2.1)
- Visual Studio Code 1.74(PHP Extension Pack 1.0.3)
サンプルの実行
掲載サンプルは、それぞれの.phpファイルに記述されています。動作確認は、PHP 8.2をHomebrewでインストールしたmacOS上で、拡張機能「PHP Extension Pack」をインストールしたVSCode(Visual Studio Code)のデバッグコンソールに出力させることで行っています。