読み出し専用のプロパティとクラス
PHP 8.1以降では、プロパティとクラスを読み出し専用とする機能もサポートされました。
readonlyアクセス修飾子[PHP 8.1]
readonlyアクセス修飾子は、PHP 8.1でサポートされました。readonlyアクセス修飾子の指定されたプロパティは初期化のみが可能で、その後は読み出しのみが許可されます。privateアクセス修飾子やprotectedアクセス修飾子によってプロパティを隠し、ゲッタメソッドを使うという手間なしに、読み出しのみができるプロパティを定義できます。
以下のリストは、読み出し専用プロパティの例です。インスタンス生成後、valueプロパティに値を代入しようとすると「Cannot modify readonly property」のエラーとなります。
class ReadOnlyProp { public function __construct(public readonly int $value) {} } $rof = new ReadOnlyProp(10); $rof->value = 20; // Cannot modify readonly propertyエラーとなる
readonlyクラス[PHP 8.2]
readonlyアクセス修飾子によって、プロパティを読み出し専用にすることができました。PHP 8.2でサポートされたreadonlyクラスは、同じくreadonlyアクセス修飾子によって、特定のプロパティに限らずクラス全体を読み出し専用とするものです。オブジェクトの初期化に関わる代入以外は、初期化済みのフィールドの変更や動的プロパティの追加もできません。また、静的プロパティや型宣言のないプロパティをreadonlyにはできませんし、readonlyクラスに含めることもできません。
以下のリストは、読み出し専用クラスの例です。インスタンス生成後、valueプロパティに値を代入しようとすると「Cannot modify readonly property」のエラーとなり、存在しないpropプロパティに値を代入しようとすると「Cannot create dynamic property」のエラーとなります。
readonly class ReadOnlyClass { public function __construct(public int $value) {} } $roc = new ReadOnlyClass(100); $roc->value = 200; // Cannot modify readonly propertyエラーとなる $roc->prop = 300; // Cannot create dynamic propertyエラーとなる
なお、読み出し専用クラスを継承できるのは読み出し専用クラスのみという制約があります。読み出し専用クラスを継承するには、子クラスも読み出し専用とする必要があります。また、読み出し専用でない普通のクラスを読み出し専用クラスに継承することはできません。
finalクラス定数[PHP 8.1]
readonlyアクセス修飾子に関連した機能に、PHP 8.1で利用可能になったクラス定数へのfinal修飾子があります。これにより、継承されたクラスで変更できない定数を定義できるようになりました。これまで利用可能であったfinalクラス、finalメソッドに加えて、finalクラス定数も利用できるようになります。
ただし、プロパティにはfinal修飾子は指定できないため、変更できないプロパティが必要なときは、上記のreadonlyアクセス修飾子を指定するという方法があります。readonlyアクセス修飾子を指定されたプロパティは、サブクラスからも上書きできなくなります。
まとめ
今回は、PHP 8.2における新機能のうち、選言的標準形や列挙型に関連する機能を中心に紹介しました。
次回は、callable(コールバック)に関連する機能強化と、標準関数についての強化や変更などについて紹介します。