ユーザーコミュニティ「nest」での交流から改善のヒントを得る
続いて、実際にどのような活動をしているのかが紹介された。その1つがウイングアーク1stが運営する「nest」というユーザーコミュニティだ。「nest」は、ユーザー同士が課題を解決したり、チャットでコメントしあったりする場である。
「文字の伝達だけではなかなか伝わらないことも、画面を見ながら説明することで解決に導くことができるので、お客様にとっても喜ばれる場となっています」(笹原氏)
ウイングアーク1st側としても製品の問題点や課題などを把握することができる。なにより、難易度の高い機能の使い方や課題を解決したことによるユーザーの喜びが直接伝わるため、やりがいや開発のモチベーションにも繋がっているという。
2022年に開催されたウイングアーク1st主催の国内最大級ビジネスカンファレンス「updataDX22」では、ユーザーとのパネルディスカッションも実施された。「nest」で信頼関係を築いてきたからこその距離感で、ステージ上でもかなり濃いトークが展開されたと笹原氏は振り返る。
「製品に関する要望や、すぐには実現できないような意見なども寄せられましたが、それらを素直に言い合える状態で、フィードバックもいただけること自体が嬉しいことだと思っています」(笹原氏)
また、社内にアンテナを張ることも大事だという。ウイングアーク1stにはSE部門があり、顧客の運用や構築、製品の課題に向き合うことも多い。笹原氏らは、週次の定例ミーティングに参加してそれらをヒアリングして解決策を講じたり、新機能の共有を行ってフィードバックを受けるといった連携も行っている。
社内のSEは試用版から使うため、最初のユーザーでもある。現場の反応やフィードバックがリリース前に把握できるのは非常に大きいと言える。
その他にも笹原氏は、月に1回「TORU SASAHARAのSumタイム」と題したZoomのウェビナーを社内向けに行っている。
「Dr.Sumの最新情報や、これまでの歴史についてCTOとの対談、開発メンバーとのぶっちゃけトークなど、毎回さまざまなゲストを招き、開発秘話やエンジニアの顔を知ってもらうことで、プロダクトエンゲージメントを高めています」(笹原氏)
こうしたプロダクトエンゲージメントの活動を続けることで、開発エンジニアの意識にも変化が見られるようになった。例えば手動のセル幅変更など、スモールユーザビリティの改善であっても、ユーザーが使い続けたいと思えるかどうか。そしてすぐ対応できるマインドを大切にすることで、より良い製品を作っていきたいと、新たな決意を語った。
ウイングアーク1stのエンジニアたちの熱い挑戦は、テックブログで発信しているそうなので、興味のある人はぜひチェックしていただきたい。